岡村 喬之 院長の独自取材記事
おかむらクリニック 内科・消化器
(神戸市西区/西神中央駅)
最終更新日:2024/07/25
西神中央駅から徒歩1分の場所にある宿泊施設の3階に、2024年5月7日に開業した「おかむらクリニック」。院長の岡村喬之先生は、帝京大学医学部附属病院や虎の門病院で、多数の内視鏡検査・治療の実績を残した日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医だ。院内には専門の病院で使用するレベルの内視鏡検査機器を備え、培った技術を駆使して精密かつ苦痛に配慮した検査を提供する。さらに、糖尿病や高血圧症、脂質異常症の治療において豊富な経験を持つ妻の岡村英利奈先生とともに、二人三脚で消化器内科、一般内科の幅広い診療を展開。患者一人ひとりに寄り添いながら専門性に基づいた医療の提供をめざす喬之院長に、クリニックの特徴や診療へのこだわり、今後の展望などについて話を聞いた。
(取材日2024年6月20日)
消化器内視鏡専門医による検査で早期発見・治療に貢献
この場所で開業された経緯を教えてください。
ここ神戸西区は、私が生まれ育った地域です。両親も開業医をしており、西区には母が院長を務める内科医院もあります。私は医学部進学で東京に行き、そのまま東京で勤務していましが、いずれは地元に戻ろうという思いはずっとありましたね。その中で、母の医院を継承するのではなく新たにクリニックを開業したのは、消化器内視鏡専門医という自分の強みを生かしたクリニックをつくりたかったからです。開業にあたりこの場所を選んだのは、母の医院とも近く、将来的には長年母が診てきた患者さんも通院可能で、交通アクセスが良く、広い範囲から通院が可能なので、より多くの患者さんのお役に立てると考えました。オープンしたばかりですが、中には遠方から来られる患者さんもいらっしゃいます。
明るくすっきりとした院内ですが、こだわった点はありますか?
内視鏡検査を行う処置室をゆったりとした空間にしたことです。胃カメラや大腸カメラを挿入し、炎症やポリープ、がんなど病変の有無を観察するための内視鏡検査では、不安や緊張を感じる患者さんも少なくありません。検査中、少しでもリラックスできるよう、居心地の良いスペースにしたいという気持ちがありましたね。何より重要なのは、最もリスクが起こる可能性のある場所だからこそ、さまざまな状況に対応できる十分な広さを取ることです。患者さんをお待たせしないよう複数の処置スペースを配置しつつ、プライバシーを確保しながらゆとりある広さを確保しました。また、モニターを壁かけ式にするなどベッド周りにはできる限り余計なものを置かないことで転倒事故などを防ぎ、スムーズな診療と患者さんとスタッフの安全面にも配慮しています。
検査機器など設備面にも力を入れていると伺いました。
その点もこだわりの一つです。大学病院や専門病院で使われているものと同レベルの胃カメラ・大腸カメラや検査機器を導入し、地域のクリニックでありながら精密な検査を可能にする環境を整えています。今回、地元に戻ってきて実感したのは、内視鏡検査のニーズは高まっている一方で、近隣地域で対応している医療機関が少ないために検査に行く回数が減ってしまったり、新型コロナウイルス感染症の流行を背景にまったく検査を受けていなかったりする患者さんが多い状況です。そうした地域の現状に対して、専門的な内視鏡検査を実施できる環境を整えることは、とても意義があると思います。当院の開業によって適切なタイミングで検査ができる環境を提供し、病気の早期発見・早期治療につながればうれしいですね。
経験に基づいた技術を提供し幅広い診療ニーズに対応
これまでのご経歴と、なぜ内視鏡を専門に選ばれたのかについて教えてください。
医学部時代は外科や循環器などにも興味がありましたが、内視鏡に興味を持ったきっかけは最も難解だったからです。講義や試験では病変を写した内視鏡画像で診断するのですが、写真を見てもさっぱりわからないほど。そこに知的探究心を刺激され、やりがいを感じましたね。内視鏡での診断力を上げていくために必要なのは、一つでも多くの病変を診て経験値を高めることです。そこで「もっと経験を積みたい」と教授に相談し、紹介されたのが虎の門病院でした。大学病院の医局に勤務しながら数年間は虎の門病院に先端の内視鏡検査を学びに行き、その後虎の門病院の勤務医として数多くの内視鏡検査・治療を実施しました。膨大かつ多様な病変を診ていく中で、消化器内視鏡専門医としての技術と知識、診断力を磨きました。
これまでの豊富なご経験が、クリニックの強みとなっているのですね。
そうですね。当院では、すべての内視鏡検査を、消化器内視鏡専門医である私が行います。そこが一番の特徴ですね。これまで数多くの症例を診てきたため、観察力が強みとして生かされています。特に虎の門病院には、さまざまな医療機関から紹介を受けた患者さんが数多く来院されるので、多様な病変の診療に関わることができました。そこで得た知見を生かして、当院で微細な病変の察知につなげ、適切な治療へと導いていきたいと考えています。内視鏡の挿入に関しても、数多くの患者さんに対応する中で負担を少なくするための技術を修得してきました。必要に応じて鎮静剤を使用して痛みや不安の軽減を図り、挿入をスムーズに行うことで観察時間を十分に確保しています。豊富な経験に基づく技術と知見を患者さんに提供できることが、当院の強みだといえますね。
内視鏡検査以外の診療についても教えてください。
私は消化器内視鏡専門医であると同時に、日本消化器病学会消化器病専門医でもあり、食道、胃、十二指腸、大腸、肝臓、胆嚢、膵臓などの病気に関して、専門的な診療を行っています。また、妻は糖尿病を専門とし、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病治療に関して豊富な経験を持つスペシャリストです。今後も、私が内視鏡検査をメインに行いつつ妻が外来診療を担当し、互いに連携し合うことで幅広い診療ニーズに対応していきたいと考えています。
患者一人ひとりに寄り添う町のかかりつけ医として
患者さんと接する際に、心がけていることはありますか?
医師として培ってきた知識を、患者さんにしっかりとフィードバックすることです。単に検査・治療を実施するだけでなく、病変に対して「どんな原因が考えられるのか」「なぜこの治療を行うのか」などをきちんと説明することが大切だと考えています。検査結果についても、内視鏡画像を見せながらわかりやすく説明を行い、その後の治療について理由を含めて患者さんが納得できるよう一緒に考えていきます。まずは、患者さん一人ひとりに寄り添うこと。気軽に相談できる町のかかりつけ医として、地域医療に貢献していければと思っています。
今後の展望について教えてください。
医学の進歩に伴い、内視鏡技術も日々進化しています。カメラの精度や性能はどんどん上がり、微細な病変でも素早い発見がめざせるようになりました。しかしながら依然として大腸がんや胃がんが死亡理由として上位に挙がってくるのは、まだまだ内視鏡検査の普及が不十分だからだと考えます。中でも、がんによる死因のうち女性の1位、男性の2位を占める大腸がんは内視鏡検査で早期に発見することができ、ポリープの段階での短時間での摘出も見込めます。40代になった段階で検査を行い、定期的に続ければ、がん予防の大きな力となるはずです。そうした情報発信を積極的に行い、検査を促進していくのも医師としての重要な役割の一つです。まずは一度内視鏡検査を受け、自身の健康状態としっかり向き合っていただけるよう、来院される患者さんはもちろん、地域全体に働きかけていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
初めて内視鏡検査を受ける方、あるいは数年検査から遠ざかっている方の中には、「検査が怖い」「恥ずかしい」「以前に痛い思いをした」などさまざまな理由で、一歩を踏み出せないという方も多いかと思います。そのような方でも、ちょっとしたきっかけが勇気になるはずです。当院では、内視鏡検査に恐怖心や抵抗感のある方の苦痛や負担をできるだけ軽減できるよう工夫しています。落ち着いて検査が受けられるよう院内で下剤を服用できる体制を整えていますし、消化器内視鏡の専門家である私自身が挿入・観察を行いますのでご安心ください。病気の予防は、まずご自身の体を知るところからスタートします。このページとの出会いを一つのきっかけにしていただければと思います。