平林 秀裕 院長の独自取材記事
上本町ふるえと頭痛 ・脳神経クリニック
(大阪市天王寺区/大阪上本町駅)
最終更新日:2025/04/07

大阪上本町駅から徒歩約5分、谷町九丁目駅からも徒歩約10分とアクセスの良い場所にある「上本町ふるえと頭痛 ・脳神経クリニック」。院長の平林秀裕先生が、「震えや頭痛に悩む患者さんに適切な治療を届けたい」との思いで開業した同院では、患者一人ひとりの症状の原因を追究し、オーダーメイドの治療計画を立てて対応。CTや刺激装置などの先進治療機器を取りそろえ、精密かつ専門性を要する治療の提供に努めている。「なかなか良くならないからと諦めずに、まずは専門とする医院に相談してほしい」と、語る平林院長に、クリニックの特徴や専門とする分野、新しい機器を使った治療などについて語ってもらった。
(取材日2025年3月10日)
震えや頭痛に悩む人に、適切な治療を届けたい
特徴的なクリニック名ですが、開業の経緯をお聞かせください。

震えや頭痛は、一般の方にとって受診のハードルが高い症状だと私は思っています。身近な病気なのになぜって思われるかもしれませんが、そこがかえって「大したことないよね」「よくある症状だし」「もう年だから……」と受診されない要因となるケースが多いからです。もちろん、すぐに命に関わるようなことは少ないですが、中には大きな病気が隠れていることもあります。また、慢性的な震えや頭痛は、日常生活の質を大きく低下させるものでもあります。例えば、頭が痛くて仕事や家事に身が入らなかったり、手が震えて文字が書きづらかったり、コップのお水が飲みづらかったり。そうした悩める人々が気軽に相談できる場になればという思いを込め、「上本町ふるえと頭痛 ・脳神経クリニック」というクリニック名で開業しました。
震えや頭痛専門のクリニックは珍しいですが、どのような症状に対応しているのですか?
ガンガン、ズキズキする頭痛や重く締めつけられるような頭痛、手足が小刻みに震える、手足が勝手に動く、顔面がピクピクする、手足がしびれる、力が入りづらい、まっすぐ歩けないなどの症状に対応しています。また、震えに似た症状で、手足の硬直やガクガクと震えるけいれん、ふらつき、めまいなども診療しています。これらの症状を起こす疾患は多々ありますが、脳に原因があるものが多く、まずは頭部の検査をすることが重要です。ですが、脳を診てくれる診療科はなかなか身近になかったり、脳神経外科イコール手術のイメージから検査に結びつかなかったりして、「どこを受診すれば良いのかわからない」といった患者さんの声をよく聞きます。そういった時こそ、まずは当院を頼ってほしいなと思います。
こちらでの診療はどのような特徴がありますか?

当院が得意としているのは、定位・機能神経外科領域の治療です。一般的に脳神経外科で扱う病気というと脳腫瘍や脳血管障害などが思い浮かぶでしょうが、当院の診療はパーキンソン病・震え(本態性振戦)・ジストニアなどの勝手に体が動いてしまう不随意運動症、難治性の神経性の痛み、顔面けいれん、痙縮、てんかんなどの神経症状を診療対象としています。このような症状は長年悩まれている方が多いのですが、「どうせ治らないから」と諦めている患者さんもたくさんいらっしゃいます。しかし、中には手術で改善が期待できる疾患もあるため、経験を生かして適切な治療についてアドバイスさせていただきます。治療法はあるのに世間ではまだあまり知られておらず、そういった方に「治療を諦めてほしくない」というのが私の思いです。
投薬や術後管理、「脳を守る」ための予防にも注力
具体的にはどのような治療や検査を行っていますか?

パーキンソンや病や振戦の治療として脳深部刺激療法が行われますが、これらの治療では術後の調整が重要で、当院では刺激調整のお手伝いもしています。この調整は治療効果に直結する重要な工程であり、豊富な知識と経験が求められます。一方、そこまでの治療を必要としない方には、内服薬やボツリヌス毒素製剤の注射といった治療法を選択しています。また、片頭痛には新たな選択肢としてCGRP関連薬にも対応しています。検査体制としては、院内にCT装置や脳波計を備え、MRI検査は連携病院と協力して実施可能です。さらに、脳疾患の予防にも注力しており、脳卒中リスク検査や認知症予防スクリーニングを行うほか、脳卒中の原因となる高血圧・脂質異常症・糖尿病といった生活習慣病の管理・指導・予防にも力を入れています。
てんかん治療にも注力されていますね。
てんかんも体が震える病気で、突然の発作が起こったり、急にボーッとして反応が鈍くなったりと、さまざまな症状が現れる病気です。個人差が大きいため、その治療には専門的な知識・経験が必要とされていますが、専門として診療を行う医師は少ないのが現状です。ですが、当院では、神経疾患のエキスパートによる治療をもっと身近に届けたいという思いから、てんかん治療の専門知識を有する2人の医師による外来診療を設けています。また難治性てんかん診断に欠かすことができないビデオ脳波モニタリングに関しても、提携病院で受けることができる体制を構築しています。お二人とも患者さんの不安や悩みを聞き取り、親身に寄り添うことを大事にされている先生ですよ。
診療の際に、大切にしていることは何ですか?

患者さんの症状が、どこが原因でなぜ起こっているのかということを丁寧に説明するように心がけています。病気について理解してもらわないと、納得して治療に進めないと思うからです。病気についてだけでなく、お薬の飲み方や今後の症状の進み方などについても、お話ししています。中には手術に抵抗がある方もおられますが、そんな時にはこれまでの症例や術後画像をお見せして、患者さんが前向きに治療に臨めるよう心がけています。また、突然の病気に不安もあるでしょうから、日常生活のアドバイスや支援制度など、こちらから積極的に声をかけています。スタッフは患者さんの戸惑いをわかってくれている優しい人ばかりです。どんなことでも、気軽に聞いてください。
これからも患者のためにできることを追求
ところで、なぜ脳神経外科の医師になったのですか?ご経歴についてもお聞かせください。

幼い頃に脳について特集しているテレビを見て、興味を持ったことがきっかけで、脳神経外科の医師になりました。奈良県立医科大学を卒業し、脳卒中や外傷による脳血管の手術に数多く携わってきました。同大学大学院では定位・機能神経外科分野について研究し、スウェーデンに留学していた経験もあります。勤務医として奈良県立医科大学脳神経外科の准教授や国立病院機構奈良医療センターの院長も務めましたが、「まだまだ患者さんのためにやれることがある」と思い、当院を開きました。まずは脳神経疾患に有用な治療があることを知ってもらい、必要な人のところへ治療を届けたいというのが私の目標です。
今後、取り組みたいことはありますか?
磁気刺激装置など専門的な治療を提供する一方で、地域に根差したクリニックとして「脳を守る」ことに取り組んでいきたいですね。そのために取り組んでいるのが健康管理で、高血圧や高脂血症などの生活習慣病の治療、日常生活改善の相談、特定検診、インフルエンザの予防接種など各種ワクチン接種にも対応しています。これらの取り組みは脳卒中の予防にもつながる重要な対策と考えています。脳神経疾患は進行を抑える治療がメインとなることが多いですから、患者さんと長いお付き合いになる中で、さまざまな病気をまとめて長期的にサポートできればと思います。また近隣の大阪医療センターや大阪けいさつ病院、大西脳神経外科病院などは手術の指導にあたっていたこともあり、密な連携で適切な治療へつなぐことができます。発熱者専用の外来も行っていますし、腹痛も診させていただきます。何かあれば気軽に相談できるクリニックでありたいです。
最後に、地域の皆さんへメッセージをお願いします。

震えや頭痛はポピュラーな症状ですが、日常生活に支障を与えることも多い症状です。つい放置しがちですが、そのままで良くなることはほとんどありません。早い段階でご相談いただくことで、服薬や注射などの軽い治療で済むこともあります。「こんなことで来院して良いの?」「あきれられないかな」と考えるかもしれませんが、そんなことはありません。ちょっとした症状でも気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。検査して何もなければそれが一番良いのです。皆さまに安心を届けることも、地域に根差したクリニックの役割だと思っています。