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「落ち着きがない」は心配?
子どもへの向き合い方と相談の目安

ひだまりこども診療所

(堺市中区/白鷺駅)

最終更新日:2025/12/02

ひだまりこども診療所 「落ち着きがない」は心配? 子どもへの向き合い方と相談の目安 ひだまりこども診療所 「落ち着きがない」は心配? 子どもへの向き合い方と相談の目安
  • 保険診療

学校の先生から「お子さんの落ち着きがありません」と言われた、5歳検診で落ち着きのなさを指摘されたなどをきっかけに、神経発達症の一つである注意欠如多動症(ADHD)を心配する保護者は少なくない。昔は「個性」とされていたが、ADHDが広く知られるようになり、受診を検討する人も増えているという。「3歳頃の落ち着きのなさが、6歳以降も続くようであれば、ADHDの傾向があるといえるかもしれません」と話すのは、日本小児神経学会小児神経専門医として神経発達症にも詳しい「ひだまりこども診療所」の藤田賢司院長。子どもの落ち着きのなさは、成長過程でよく見られる一時的なものなのか、それともADHDのサインなのか。違いの見極め方や受診のタイミング、相談できる医療機関について藤田院長に詳しく聞いた。

(取材日2025年10月23日)

子どもの「落ち着きのなさ」をどう見極める? ADHDの特性と支援のポイント

Q子どもが「落ち着きがない」のは普通のことなのでしょうか?
A
ひだまりこども診療所 小児神経の専門家として豊富な知識と経験を持つ藤田院長

▲小児神経の専門家として豊富な知識と経験を持つ藤田院長

基本的に3歳くらいまでの子どもは落ち着きがないものです。その状態が6歳を過ぎても続く場合、ADHDの傾向があるかもしれません。「あれもしたい」「これも気になる」といった好奇心が、落ち着きのなさにつながることもあります。それが「個性」か「病気」かを見極める目安は、生活に支障があるかどうかです。授業中に座っていられない、友達と遊んでいて一人で離れてしまうなどの困り事がなければ、過度な心配は必要ありません。多くの子は、性格そのものは変わらなくても、成長とともに周囲の見え方を理解し、社会的に落ち着いた行動を取れるようになります。落ち着きのなさも興味や関心が旺盛な面として受け止めてあげるといいですね。

Q落ち着きのなさが「病気」とされる基準はあるのですか?
A
ひだまりこども診療所 子どものことで不安や悩みを感じたら一人で悩まず相談を

▲子どものことで不安や悩みを感じたら一人で悩まず相談を

ADHDの診断基準は、基本的に5歳以上が対象とされています。これはアメリカの基準に基づいていて、就学年齢である5歳を一つの目安にしているためです。見極めのポイントは、先ほどもお話ししたように、日常生活や学校生活に支障が出ているかどうか。例えば、集団行動が難しい、指示を聞いて行動するのが苦手などの様子が続く場合は、注意して見てあげましょう。日本では、5歳児健診で気になる行動があれば、一度相談してみることをお勧めします。大切なのは、親の目線だけで決めつけず、心配しすぎないことです。生活の困り事が増えてきたら、近隣の小児科や支援機関に相談してみることをお勧めします。

Q受診のタイミングや相談できる医療機関について教えてください。
A
ひだまりこども診療所 家庭や教育現場、臨床心理士の分析から神経発達症の診断を行う

▲家庭や教育現場、臨床心理士の分析から神経発達症の診断を行う

生活に支障が出てきたら、身近な医療機関に相談することをお勧めします。神経発達症専門の外来は予約が取りにくく、受診のハードルが高い状況です。これは、ADHDへの関心の高まりや治療期間の長さが原因です。まずは小児科のかかりつけ医や5歳児健診の先生に相談し、それでも気になる場合は専門医療機関を受診すると良いでしょう。また、学校のスクールカウンセラーや自治体の教育相談センターなどの、相談窓口も活用できます。医師による診断がつけば、学校や幼稚園などに検査結果を連絡して、その子がつらくなりやすい点などを伝えておきましょう。先生も理解して接しやすくなるでしょうし、それでうまくいくケースも多いようです。

Q家庭でできる工夫や声かけの仕方を教えてください。
A
ひだまりこども診療所 自身の性格と向き合い理解していくことが大切

▲自身の性格と向き合い理解していくことが大切

落ち着きのなさで叱られることが増えるのは、その子にとってあまり良くありません。保護者は、褒めていいところを伸ばしてあげることが大切です。怒ってはいけないわけではなく、1回怒ったら2回褒めるくらいのバランスが望ましいでしょう。ADHDの子にとって一番つらいのは、怒られて自尊心が傷つき、自信をなくして動けなくなることです。危険な行動など、どうしても注意しなければならないときは、「こんなことしたら駄目でしょ」ではなく、「どうしてこんなことをしたの?」と聞き、周りの気持ちも一緒に伝えて、注意できるといいですね。また、ADHDでも注意欠陥の特徴を持つ子には、短い文章で端的に話すことが大切です。

Qこちらではどのように治療を進めていくのですか?
A
ひだまりこども診療所 専門の医師が診察することで見つかりにくい症状も支援可能

▲専門の医師が診察することで見つかりにくい症状も支援可能

初診の場合、まず保護者に聞き取りを行い、質問用紙を用いて学校の先生にも確認します。保護者には幼少期からの様子を伺い、必要に応じて発達検査を進めます。保護者・学校・医療者の三者が同じ行動を認識すれば、ADHDの傾向があると診断。逆に、学校だけ、家庭だけで傾向が見られる場合は、他の要因を考える必要があります。アプローチの中心はペアレントトレーニングやソーシャルスキルトレーニングで、その多くは療育施設や学校で行われます。医療的には薬物治療もありますが、本人が困っていない場合は大人でも基本的に行いません。子どもの場合、本人が困っていることはまれですから、環境調整や将来に役立つスキル習得がメインです。

ドクターからのメッセージ

藤田 賢司院長

ADHDは「不注意」、「多動・衝動」という2つの特徴があります。幼児期に問題が目立ちやすいのは主に落ち着きのない多動性のほうですが、成長とともにある程度改善していくケースも少なくありません。一方不注意の傾向は小さい頃は問題として見えにくく、大きくなってから顕在化していき、大人になってから生活の支障が出て、困り事が増えてくるケースも多い印象です。また、保護者が「この子は落ち着きがない」と感じても、学校や診療の場では特に問題が見られないこともあります。親の目線だけで決めつけず、心配しすぎないことも大切です。生活の困り事が増えてきたら、近隣の小児科や支援機関に相談してみることをお勧めします。

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