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藤田 賢司 院長の独自取材記事

ひだまりこども診療所

(堺市中区/白鷺駅)

最終更新日:2024/07/25

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所 main

白鷺駅から徒歩圏内にある、大学キャンパスのすぐ向かい。ドラッグストアの敷地内に建つモダンな一戸建てのクリニックが、2024年に開院した「ひだまりこども診療所」だ。院長を務めるのは、穏やかで優しい口調が印象的な藤田賢司先生。「誰もが安心して集えるクリニックをめざしています」と、自身の描く小児診療の姿に思いをはせる。特に力を注いでいるのが、学校や社会生活につらさを感じる子どもたちへの手厚いサポート。日本小児科学会小児科専門医、日本小児神経学会小児神経専門医のスキルを最大限に生かしつつ、さらなる児童発達支援の構築にも意欲を燃やす。そんな藤田院長に、新しいクリニックの特徴や診療体制、将来に向けたビジョンなど、内に秘めた熱い思いを語ってもらった。

(取材日2024年6月17日)

誰もが安らげる「ひだまり」のような小児科をめざして

まずは「ひだまり」という院名に込めた思いをお聞かせください。

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所1

みんなが集まってほっとした気持ちになれる「ひだまり」のような存在でありたい。そう考えてクリニック名に取り入れました。太陽がなければ、私たち生き物は成長できません。それと同様に、つらい時もみんなで支え合い、子どもも大人も一緒に成長していけるような温もりあるクリニックをめざしています。待合スペースはなるべく広く明るい雰囲気にして、ナチュラルカラーの内装がカラフルなソファーやドアを引き立てるような配色にしてみました。キッズスペースや授乳室兼カームダウンルームはもちろん、鑑賞魚が泳ぐ水槽もありますので、きっとリラックスしていただけると思います。

この場所にクリニックを開院したきっかけは?

開業場所を探していた時期のことですが、新しいドラッグストアが建設中なのを通りがかりにたまたま見かけたのがきっかけです。そこにクリニック募集の看板が出ていたので、思い切って問い合わせてみたのが始まりでした。国道を挟んで大阪公立大学のキャンパスがある開放的な場所ですし、駅からほど近く、広々とした共有駐車場もあるので通うにはとても便利です。敷地内のドラッグストアには医薬品だけでなく日用品や食品もそろっているので、「子どもの受診ついでに買い物ができて非常に助かる」と、多くの方からご好評をいただいています。

こちらでは、どのような診療が受けられますか?

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所2

当院は一般小児科診療からアレルギーの外来、予防接種や乳幼児健診まで、地域のかかりつけ小児科として幅広く対応しています。それと並行して小児神経を専門としており、注意欠如・多動症(ADHD)や限局性学習症(SLD)、自閉症スペクトラム(ASD)などの神経発達症には特に力を入れています。また、心理発達の外来や心理カウンセリングといった完全予約制の外来、医療的ケア児の訪問診療も対応しています。スタッフは医療事務、看護師を含めて小児科診療や在宅医療の経験者、保育士などがそろっており、診察室の外のこともよく理解している頼もしい人材が集まってくれました。常勤ドクターは私1人ですが、4人の大学の先生が交代で手伝ってくれています。ちなみに当院には裏口からもアクセスできる完全隔離型の診療室がありますので、感染力の強い感染症などの場合にも対応しています。

神経発達症に重要なのは「子ども第一」で臨むこと

先生は薬学部卒業後、あらためて医師をめざされたとか。

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所3

はい。周囲にいろいろな問題を抱えて苦しんでいる子どもが多かったことから、何か自分が役に立てることはないかと最初に選んだのが京都薬科大学薬学部です。しかし、もっと人と接する仕事がしたい、自分自身の手で人の力になりたいと考えるようになり、卒業後に宮崎大学医学部に入り直してあらためて小児科医師をめざすことになりました。医学部卒業後は大阪市立大学大学院にて博士号を取得し、大学の付属病院や公立病院の小児科・新生児科でさまざまな子どもの診療に携わりました。その後、開業を志して堺市が拠点の医療法人グループに入職。4年間ほどお世話になり、小児の在宅医療などの経験も積ませていただきました。独立開業が前提にもかかわらず、温かく迎えてくれた理事長夫妻やスタッフの方々には今も感謝しています。

子どもの発達障害には特に力を入れておられますね。

神経発達症に対応している小児科クリニックが少ないこともあって、当院でも開業直後から多くの予約や問い合わせをいただいており、数ヵ月待ちというのが正直なところです。人とは違う個性を持っているため周囲とのコミュニケーションがうまくいかず、生きづらさを抱えている。そんな一般に発達障害と呼ばれる子が、世の中には大勢います。インクルーシブ教育が叫ばれて急ピッチで誰彼も一緒に過ごすようにする方向に社会が向いていますが、現場の体制が整っていない状況で国や都道府県から進められていくので、そこにいる子どもたち、先生たちに負担がかかっているのが現状です。また医療と教育の距離感はまだ遠く、うまく連携をとれていないことも子どもたちの生活の困難さをさらに強めている印象です。子どものために何ができるか、そのためにさまざまな職種が子ども第一で考え、互いに接触の機会を増やし相互理解を深める必要があるのではないでしょうか。

小児の診療で先生が心がけていることを教えてください。

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所4

できるだけ子どもの目線でお話しするように心がけています。主役はあくまで子どもなので、小さな子であってもちゃんと目線を合わせ、直接話を聞いてあげたいと思っています。また、どの子にも個性があり、それをちゃんと認めてあげることも大切だと考えています。また週に1回、外来に通えない子のために訪問診療を行っています。医療が進み新生児死亡率が低下していく中で医療的ケアの必要なお子さんが自宅で過ごすようになってきています。そのような中、自宅でご家族と一緒に過ごしてもらうためにも、誰かがやらなければならないという使命感を強く感じています。

1人の子どもを地域の大人みんなで支える社会が理想

先生自身も4人のお子さんの父親だとか。

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所5

はい。高校生から小学生まで全員が男子で、三男と四男は双子です。この院内の内装に関しても、息子たちがいろいろと助言してくれました。どちらかといえば駄目出しが多かったですが(笑)。開業してから忙しくなりなかなか家族と過ごす時間がとれなくなり申し訳なく感じているので、せめて朝の送りは行くようにしています。男の子なので大暴れで喧嘩ばかりしていますが、にぎやかに暮らしています。どんな家庭でもいろいろなことがあり、わが家でも子育てに悩むことも多いですが、いろんなおうちの方々と悩みを共有したり、おばあちゃんの知恵袋のようなことを共有したりと、そのように患者さまご家族とも関係を築いていけたらと思っています。

将来に向けた展望があればお聞かせください。

一番意識しているのは、やはり地域ぐるみでのチーム医療ですね。学校や塾といった教育現場の先生方や学童、放課後等デイサービス、行政機関、カウンセラーさん、近隣病院やクリニックなど、子どもについてみんなで話し合える機会を率先して提案していきたいと考えています。地域医療に身を置いて痛感するのが、こうした連携会議に医師がほとんど参加していないこと。忙しいからと行けないケースが多いのですが、オンラインがこれだけ発達した時代、リモート会議などをもっと積極的に活用したほうが良いかと思っています。大阪市内のクリニックが開催する地域の多職種連携会議に参加していますが、堺市内でも実現できればいいですね。1つのクリニック、1人のドクターがやれることは限られています。まだまだ理想の段階ですが、1人の子どものことを地域の大人みんなで考える、そんな社会になることを心から願っています。

最後に、地域の親御さんへ向けたメッセージをお願いします。

藤田賢司院長 ひだまりこども診療所6

誰かがつらい時にはみんなで支え合う。こうした人の営みを通じ、子どもたち、そこに関わる大人たちが少しずつ成長できるようなクリニックでありたいと考えています。支援の必要な子どもたちのサポートというテーマは掲げていますが、地域のかかりつけ医として風邪や腹痛など、どんなに小さなことでもご相談いただければと思います。私もスタッフとともに精一杯サポートしていきたいと考えていますので、ぜひ身近な存在として頼ってみてください。前職からの流れでみんなが「けんじ先生」と呼んでくれているのでそのまま言ってもらえるとうれしいです。院内でお会いした時は、気軽に声をかけてくださいね。

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