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高見 友也 院長の独自取材記事

ひとみるクリニック

(堺市西区/上野芝駅)

最終更新日:2024/07/08

高見友也院長 ひとみるクリニック main

「ひとみるクリニック」は、外科の技術を磨きながら、緩和ケアや在宅診療に携わる中で感じた医師としての役割を果たすため、高見友也院長が2024年5月に開業したクリニックだ。コンセプトは「不安を安心に変える」。緩和ケアでの経験を生かし、患者が抱える困り事を一緒に探す「心のケア」を大切にしている。また、高い専門性を持つ一方で、受診先を悩んだときにいつでも頼れるクリニックにしたいと、幅広い症状・疾患に対応。特に下肢静脈瘤の手術は、気になっていても治療を諦めていた人に相談してほしいと意気込む。やわらかく優しい物腰の高見院長に、これまでの経歴や開業の経緯、患者への思いなどを聞いた。

(取材日2024年6月17日)

外科手術や緩和ケア、在宅医療の経験から見えたもの

まずは、これまでのご経歴から教えてください。

高見友也院長 ひとみるクリニック1

医師をめざした明確な理由はないのですが、小さい頃からよく風邪をひいたり縫うようなケガをしたりと、病院にお世話になることが多かったので、何となく憧れはあったのかなと思います。外科の道を選択したのは、自分の手で直接治療できるところが魅力的だったことと、白黒つけたい性格と合っていたからです。先輩から「何が入っているかわからない箱を目の前にしたとき、振ったり重さを測ったりして調べたがるのが内科。すぐに開けて中を見たがるのが外科」と言われたことがあり、私は後者だなと感じました。一方で、中学から大学までを鳥取で過ごしたのですが、強く前に出るタイプではないので大学病院は向いていないかもしれないと考えていたときに、岸和田徳洲会病院に出会いました。前線で経験を積めることに加え、説明会で関西らしいノリを発揮されていたフレンドリーな空気感に惹かれ、ここで働きたいと思ったんです。

運命的な出会いがあり、大阪に来られたのですね。岸和田では、どんなご経験をされたのでしょうか。

外科で多くの学びを得たことはもちろん、院外での勉強の機会をたくさん与えていただいたことが大きかったですね。全国レベルの手技を学びたいと、1年間大阪国際がんセンターの肝胆膵外科に行かせていただきました。そこでは、症例も多く、より専門的な技術を学ぶことができました。また、自分が診ている患者さんに緩和ケアが必要になった場合、もっと専門的なケアがしたいと思い、ベルランド総合病院の緩和ケアの専門病棟で勉強をさせていただきました。学び始めると、緩和ケアを必要とされている方は多いものの、専門で対応している医師が少ないと知り、岸和田徳洲会病院で新たに緩和ケア科を立ち上げ、緩和ケアに専念することになりました。

外科や緩和ケアとさまざまなご経験を重ねた後、開業を決められた理由は何だったのでしょうか。

高見友也院長 ひとみるクリニック2

ちょうど緩和ケアに専念することを決めたタイミングで、在宅医療をされていたクリニックから声をかけていただいたんです。週に1回、非常勤として働くことになったのですが、これまで大きな病院でしか経験がなかったので開業医のやりがいや楽しさを初めて知りました。同時に、最期をご自宅で過ごしたいと望まれていたのに準備が間に合わなかったなど、在宅療養の課題にも直面したんです。今までの経験を生かしながら、患者さんにより近い場所で診ることで、必要な方に必要なものをつなげられるようにしたいと考え、開業を決意しました。

大切にするのは心のケアといつでも頼れる場であること

2024年5月に開業されました。クリニックのコンセプトを教えてください。

高見友也院長 ひとみるクリニック3

緩和ケアでは、病状が進行してからできる範囲のことをするだけでなく、病気を申告されたショックな気持ちを和らげることも一つのケアだと考えられています。それと同じく、当院を受診される方も少なからず心配なことがあって来られているわけですから、そのケアを第一に「不安を安心に変える」をコンセプトにしています。また、在宅医療専門のクリニックで勤務をしていた頃に、看護師さんから「専門が細分化されて皮膚のことは皮膚科の先生に聞いてと言われるけど、それができない方が在宅療養に入っていることもあるんだよ」と言われたことがあり、専門性はもちろん大切ですが、「何科に行けばいいかわからない」と悩まれたときに気軽にご相談いただけるよう、幅広く対応できるクリニックをめざしています。

これまでのご経験の中で感じたことが、現在のクリニック運営に生かされているのですね。

そうですね、特に緩和ケアや在宅医療で出会った方々からの影響は大きいと思います。医師の仕事はお悩みを解決することが最優先ではあるものの、患者さん自身が何に不安を感じているのかわかっていないこともあります。例えば、すでに診断を受け、適切な治療を受けている方でも、本当にこのまま治療を続けていて良いのか迷われている方もいらっしゃいます。そうした患者さんの思いの丈を聞き取って、不安を少しでも軽くすること。これも地域の開業医としての一つの役割だと考えています。

現在はどんな患者さんが来られていますか?

高見友也院長 ひとみるクリニック4

発熱や高血圧など内科的な診療やケガの処置だけではなく、尿トラブルや更年期障害、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、下肢静脈瘤で悩まれている方、胃カメラでの検査を希望される方など、さまざまな方に来ていただいています。また別の症状で受診された方で、お話を聞いている中で別の症状についてもご相談いただく場合もあります。どんな症状でも一度来ていただいて、院内掲示などから「こんな病気も診られるんだ」「前から気になっていたから次回はこの相談に来よう」と広がっていけばいいなと思っています。特に下肢静脈瘤は、南大阪で治療をしているクリニックが少ないため、電車を乗り継いで通院するか症状があっても諦めていたという方も多いようで……。直接命に関わる疾患ではないものの、治療しないとむくみやこむら返り、足のだるさなど日常生活への影響があるので、気軽にご相談いただきたいですし、当院を知ってもらうきっかけになればうれしいですね。

変化に気づけるよう、日々の心配りを意識する

患者さんとの関わりで気をつけていることや意識していることはありますか?

高見友也院長 ひとみるクリニック5

患者さんの困り事を改善することが大前提ですが、お話しいただく悩みと実際に抱えておられる悩みが違う場合もあります。例えば、「眠れない」という悩みに対し、睡眠導入剤を処方することは簡単ですが、実際は眠れないような事情があるかもしれませんし、別の病気が原因なこともあります。また別の症状でご相談いただいた場合も、もちろん症状を良くしたいという気持ちはありますが、なぜこの症状が出ているのかということを知らない方が多く、そのご説明をするだけで安心いただける場合もあります。そのため、会話の中で本当の悩みが見つかることもあります。だからこそ、先入観を持たずに一度フラットな状態ですべて聞き、一番困っていることを一緒に探していく姿勢を大切にしています。最初にお話しした「中のわからない箱」について、すぐに開けずにしっかりと観察することの重要性を感じていますし、自分が思っていたほど苦手ではなかったようです(笑)。

すべてを受け止め、本当の困り事を探るのですね。スタッフの方にもその意識が広がっているのでしょうか。

やはり先入観を持ってしまうと、無意識に態度に出てしまったり、そこから見落としが発生したりといったことが起こるので、俗に言う「ラベリング」するようなことは避けてほしいと伝えています。また、例えば待合室で座っている方をお呼びしたときに、慌てて立とうとされたら「急がなくていいですよ」と声をかけたり、診察が終わって扉を開けて待っていると焦らせてしまうので、タイミングを見るようにしたり。意識を持ってちょっとした心遣いができれば、前回よりも調子が良さそうだとか、今日は足をかばっているなどの小さな変化にも気づけるようになるはずです。そういった積み重ねをクリニック全体で続けていきたいと思っています。

最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

高見友也院長 ひとみるクリニック6

ひと言で言えば、困ったときに「とりあえず行こう」と思っていただけるようなクリニックになりたいと考えています。特にお子さんのケガなど、意外と断られるケースが多いようなのですが、長らく外科にいた経験があるので当院で診ることが可能です。対応できる疾患や症状を絞ることなく、お子さんから高齢の方まで、悩んだらまずは頼っていただける場所にすることが今後の目標なので、気兼ねなくご相談ください。

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