田下 雄一 院長の独自取材記事
三軒茶屋もぐもぐごっくん歯科クリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2026/07/08
玉川通り沿いのビルの1階にある、「三軒茶屋もぐもぐごっくん歯科クリニック」。院内は木目調のデザインを取り入れたナチュラルで温かみがある空間で、車いすやベビーカーもスムーズに通れるようなゆとりのある造りとなっている。院長を務める田下雄一先生は、旭川医科大学病院、昭和大学歯科病院勤務を経て2024年5月に同院を開院した。「いつまでも食べられる喜びを」をコンセプトに掲げ、田下院長の専門分野である口腔外科、摂食嚥下治療をはじめ、歯科全般に幅広く対応。子どもから高齢者まで、あらゆる年代の患者の診療を担っている。大学病院と療養型病院での勤務を通じて学んだ、口から食べることの大切さについて語る田下院長に、同院のこだわりや摂食嚥下の治療、診療への思いなどについて聞いた。
(取材日2026年6月1日)
小児から高齢者まで、幅広い世代が通いやすい歯科医院
院内は空間に余裕のある、ゆったりとした造りになっていますね。

院内を広めに設計したのは、子どもから高齢者まで通いやすい歯科医院にしたいという思いからです。お子さん連れであればベビーカー、高齢者であれば車いすや歩行器などを利用して来院される可能性がありますよね。どんな方でもスムーズに院内を動けるような造りを選びました。また、通常の歯科診療では患者さんにあおむけになっていただきますが、患者さんによっては横になれない方もいらっしゃいます。その際、歯科医師が立ち位置を変えて、患者さんが座ったままの体勢で診療が受けられるように、テーブルの位置を自由に動かせるユニットを導入するなど設備面も意識しました。
どのような患者さんが来院されていますか?
昔からここにお住まいの高齢者はもちろん、三軒茶屋というにぎやかな土地柄もあって、お子さんの来院も多いですね。お子さんの場合は、虫歯の治療やフッ素塗布を始め、「ぶつけたから診てほしい」といった外傷で来院される患者さんもいらっしゃいます。大人の場合は、虫歯の治療以外にも歯ぎしりなどの治療のためのマウスピースの製作などのさまざまな相談をお受けしています。総じて皆さんお口の中に対する意識は高い印象ですね。矯正専門の歯科医師が月に1回来ているので、歯並びについて気になる方はお気軽にご相談ください。
お子さんには「マウスピース型装置を用いた早期予防的矯正」を導入しているそうですね。

これは、自然に歯が並ぶスペースを作るために、顎の正常な成長を促す矯正です。5〜6歳頃から取り組むことができ、乳歯が残っている時期に始めることで、スムーズな改善につながります。歯並びを悪くする原因は、間違った飲み込み方や舌の位置にあるとされています。これを正すための訓練は、大人の口腔トレーニングと共通する部分が多いのです。この治療は、お子さん自身の頑張りが、結果に大きく影響します。だからこそ私は、「頑張った分だけ、良い結果がめざせるよ」と伝えるようにしています。そして親御さんには、二人三脚で支えていただくよう、丁寧にお話しすることを心がけています。
診療時に心がけていることを教えてください。
できるだけ歯を削らず歯の寿命を長くするための治療をすること、そして、患者さんの全身状態に注意を払いながら診療することを心がけています。治療方針も患者さんに押しつけるのではなく、じっくり話し合いながらご要望を伺い、納得していただいた上で進めていくことを大切にしています。そのためには、私も説明をしっかりと行い、特定の治療方法を押しつけることは避け、患者さんがさまざまな治療方法の中から選べるように選択肢を多く提示しています。もちろん、声の大きさや話すスピードなどにも気をつけて、患者さんが理解できているかどうか反応を見ながらお話しするようにしています。
口腔外科と摂食嚥下治療を経験し開業へ
先生が摂食嚥下治療に興味を持った経緯を教えてください。

大学卒業後は、旭川医科大学病院の歯科口腔外科に6年間在籍し、虫歯の治療といった一般歯科から、抜歯や手術などの口腔外科分野までに携わりました。大学病院ということもあり、患者さんの全身状態を確認しながらの診療や、医科との連携が重要になる治療など、多くの経験を積ませていただきました。口の中でよく噛み砕くことや、飲み込むことといった「咀嚼・嚥下」に興味を持ったのは、関連病院の療養型病院での経験がきっかけです。お看取りが近い患者さんの口腔ケアなどに携わる中で、口から食べることの大切さを実感しました。その経験から、昭和大学大学院で摂食嚥下について専門的に学び始めたのです。
開業のきっかけは何だったのでしょうか?
「患者さんを最初から最後まで診たい」「自分がこれまで勉強してきた口腔外科と摂食嚥下治療を合わせて行っていきたい」と思ったのが開業のきっかけです。大学病院では、それぞれの専門の医師や歯科医師が患者さんの治療にあたります。例えば、がんの場合、がんの治療が終わったら、そこで患者さんとの関わりがなくなってしまいます。私は大学院で頭頸部がんの患者さんのQOL(生活の質)について研究を行っていたこともあるのですが、そこで得られた研究結果から「治療をしたら終わり」ではなく、患者さんのその後の経過も見守りたいと考えるようになったのです。
摂食嚥下の検査はどのように行われるのですか?

最初に行うのが「摂食嚥下機能評価」というスクリーニング検査です。歯の本数や唇、舌の動き・力、喉の動きなど、お口の中を評価し、患者さんの口腔機能を把握します。また、嚥下内視鏡検査は、内視鏡を喉に挿入し、飲み込みを観察する検査も行います。食べ物が気管に入らないか、喉に痰や唾液が溜まりやすいか、声帯がどう動くかなどの観察に役立ちます。これらの結果をもとに治療を進めていきます。より詳しい検査が必要になった場合は、大学病院への紹介にも対応しています。
嚥下の治療を歯科で行う理由を教えてください。
嚥下治療は、もともと歯科ではなく耳鼻咽喉科が担当していました。耳鼻咽喉科は、嚥下の5つの段階のうち「食道期」を見られるのが強みです。一方で、歯科はお口の中の状況も一緒に見られます。そのため、歯並びや噛み合わせを検査し、噛む力とともに飲み込む力も同時にチェックします。つまり、食事に関連する部分を一貫して診られます。「食事をするのに時間がかかる」「食べこぼしが多い」「飲み込むとむせる」などの症状がある方は、ぜひ歯科にご相談ください。
患者に生涯寄り添う歯科医院をめざして
コンセプトである「いつまでも食べられる喜びを」への想いを教えてください。

口腔機能の維持を意識している方は少ないかと思います。私はこれまで大学病院や療養型病院で、がん患者さんを含むさまざまな方と関わってきました。その中で、口から食事を取れなくなってしまった多くの方が「好きな物を味わって食べたい」と寂しそうにおっしゃっていたことが印象に残っています。高齢になっても、最期までしっかりと噛んで食べることの大切さを実感しました。いつまでも食べられる喜びを実現できるよう、患者さんの生涯に寄り添う歯科医院として長くお手伝いできたら、という想いを込めています。
通院が難しい高齢者に対して、訪問診療にも取り組まれているそうですね。
はい。お体が不自由で通院が難しくなった方のために、私たちがご自宅や施設へ直接お伺いします。現在は、70代から80代以上の方を中心に、多くのご依頼をいただいています。訪問診療でも院内と同じように、専門的な「飲み込む力」のリハビリや入れ歯の調整が可能です。訓練の内容は、その方に合わせて工夫しています。例えば、おでこを手で押し返して喉を鍛える「おでこ押し訓練」や、木べらを唇で挟んで行う、お口を閉じる練習などです。私が何より大切にしているのは、患者さんご本人はもちろん、支えるご家族とのコミュニケーションです。お家でできるケア方法を丁寧にお伝えし、ご家族と一緒に大切な「食べる力」を支えていきます。
読者へのメッセージをお願いします。

「一生おいしく食べてほしい」。その想いを支えるために、当院では診療体制をさらに整えています。現在は、女性の先生も診療に加わったため、歯医者が苦手なお子さんも、リラックスして治療を受けられると思います。また、昭和医科大学歯科病院でも兼任講師をさせていただいています。そのため必要時は大学病院への紹介だけでなく、私自身が大学病院での診療にあたることも可能です。お子さんから高齢者まで、幅広く診療にあたっていますので、お気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはマウスピース型装置を用いた早期予防的矯正/22万円~、月一回の訓練/5500円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

