田下 雄一 院長の独自取材記事
三軒茶屋もぐもぐごっくん歯科クリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2025/11/26
東急田園都市線・三軒茶屋駅南口A出口から徒歩3分。玉川通り沿いのビルの1階にある「三軒茶屋もぐもぐごっくん歯科クリニック」は2024年5月に開院した。木目調のデザインを取り入れたナチュラルで温かみがある院内は、車いすやベビーカーもスムーズに通ることができるようなゆとりのある造りが印象的だ。田下雄一院長は、旭川医科大学病院、昭和大学歯科病院勤務を経て開業した。口腔外科、摂食嚥下治療が専門分野だが、歯科全般に幅広く対応している。また、「いつまでも食べられる喜びを」をコンセプトに、子どもから高齢者まで、あらゆる年代の患者の診療を行う。大学病院と療養型病院での勤務を通じて学んだ、口から食べることの大切さについて語る田下院長に、クリニックのこだわりや摂食嚥下の治療、診療への思いなどを聞いた。
(取材日2024年6月19日)
小児から高齢者まで、多くの人が通いやすい歯科医院を
院内は空間に余裕のある、ゆったりとした造りになっていますね。

院内を広めに設計したのは、子どもから高齢者まで通いやすい歯科医院にしたいという思いからです。お子さん連れであればベビーカー、高齢者であれば車いすや歩行器などを利用して来院される可能性がありますよね。どんな方でもスムーズに院内を動くことができるような造りを選びました。また、通常の歯科診療では患者さんにあおむけになっていただきますが、患者さんによっては横になれない方もいらっしゃいます。その際、歯科医師が立ち位置を変えて、患者さんが座ったままの体勢で診療が受けられるように、テーブルの位置を自由に動かせるユニットを導入するなど設備面も意識しました。
どのような患者さんが来院されていますか?
昔からここにお住まいの高齢の方はもちろん、三軒茶屋というにぎやかな土地柄もあって、お子さんの来院も多いですね。相談の内容としては、お子さんの場合は、虫歯の治療やフッ素塗布を始め、「ぶつけたから診てほしい」といった外傷で来院される方もいらっしゃいます。大人の場合は、睡眠時無呼吸症候群や歯ぎしりの治療のためのマウスピースの製作など、虫歯の治療以外にもさまざまな相談をお受けしています。総じて皆さんお口の中に対する意識は高い印象ですね。また、矯正専門の歯科医師が月に1回来ているので、歯並びについて気になる方はお気軽にご相談ください。
診療時に心がけていることを教えてください。

できるだけ歯を削らず歯の寿命を長くするための治療、そして、患者さんの全身状態に注意を払いながらの診療を心がけています。お口以外にどういった病気があるのか、お薬は何を飲んでいるのかといったことを必ず確認してから治療を始めています。治療方針も患者さんに押しつけるのではなく、じっくり話し合いながらご要望を伺い、納得していただいた上で進めていくことを大切にしています。そのためには、私も説明をしっかりと行い、特定の治療方法を押しつけることは避け、患者さんがさまざまな治療方法の中から選べるように選択肢を多く提示しています。もちろん、声の大きさや話すスピードなどにも気をつけて、患者さんが理解できているかどうか反応を見ながらお話しするようにしています。
口腔外科と摂食嚥下治療を経験し開業へ
先生が摂食嚥下治療に興味を持った経緯を教えてください。

大学卒業後は、旭川医科大学病院の歯科口腔外科に6年間在籍し、虫歯の治療といった一般歯科から、抜歯や手術などの口腔外科分野までに携わりました。大学病院ということもあり、患者さんの全身状態を確認しながらの診療や、医科との連携が重要になる治療など、多くの経験を積ませていただきました。口の中でよくかみ砕くことや、飲み込むことといった「咀嚼・嚥下」に興味を持ったのは、関連病院の療養型病院での経験がきっかけです。お看取りが近い患者さんの口腔ケアなどに携わる中で、口から食べることの大切さを実感しました。その経験から、昭和大学大学院で摂食嚥下について専門的に学び始めたのです。
開業のきっかけは何だったのでしょうか?
「患者さんを最初から最後まで診たい」「自分がこれまで勉強してきた口腔外科と摂食嚥下治療を合わせて行っていきたい」と思ったのが開業のきっかけです。大学病院では、それぞれの専門の医師や歯科医師が患者さんの治療にあたります。例えば、がんの場合、がんの治療が終わったら、そこで患者さんとの関わりがなくなってしまいます。私は大学院で頭頸部がんの患者さんのQOL(生活の質)について研究を行っていたこともあるのですが、そこで得られた研究結果から「治療をしたら終わり」ではなく、患者さんのその後の経過も見守りたいと考えるようになったのです。そんな時に、なじみある三軒茶屋で良い物件に出合いました。アクセスも良く、何かあってもすぐに駆けつけられる立地でもあったことから、この場所での開業を決めました。
摂食嚥下の検査はどのように行われるのですか?

最初に行うのが「摂食嚥下機能評価」というスクリーニング検査です。歯の本数や唇、舌の動き・力、喉の動きなど、お口の中を評価し、患者さんの口腔機能を把握します。また、嚥下内視鏡検査(VE)は、内視鏡を喉に挿入し、飲み込みを観察する検査です。食べ物が気管に入らないか、喉に痰や唾液が溜まりやすいか、声帯がどう動くかなどの観察に役立ちます。これらの結果をもとに治療を進めていきます。より詳しい検査が必要になった場合は、大学病院への紹介にも対応しています。
嚥下の治療を歯科で行う理由を教えてください。
嚥下治療は、もともと歯科ではなく耳鼻咽喉科が担当していました。耳鼻咽喉科は食道期を見れるのが強みです。一方で、歯科はお口の中の状況も一緒に見ることができます。そのため、歯並びや噛み合わせを検査し、噛む力とともに飲み込む力も同時にチェックをします。つまり、食事に関連する部分を一貫して診ることができるんです。「食事をするのに時間がかかる」「食べこぼしが多い」「飲み込むとむせる」などの症状がある方は、ぜひ歯科にご相談ください。なお、咀嚼に問題がある場合、入れ歯が合っていないため、うまく食べ物を噛むことができていないことも考えられます。
患者に生涯寄り添う歯科医院をめざして
摂食嚥下治療は訪問診療でも受けられるのでしょうか?

必要な患者さんには、訪問診療でも嚥下内視鏡検査や摂食嚥下訓練を行っています。内視鏡を用いることで、嚥下に必要な喉や舌の動きを確認できます。患者さんの中には嚥下機能が低下していることを認めたくない人もいますが、可視化して伝えることで食べにくさの理由を明らかにしていけるとともに、ご家族にも安心してもらえると考えています。また、低下する嚥下機能に対して「ここまでは食べられる」というポジティブな考え方を持つこともできます。摂食嚥下訓練としては、患者さんの額と医療者の手で押し合う「おでこ押し訓練」や、木べらを唇で挟んでもらい唇を閉じる訓練などがあります。なお、訓練の前に口腔ケアを行うことも大切です。口の中が汚れている状態で嚥下訓練をしても、肺炎のリスク軽減が期待できないためです。訪問診療は、一般的な歯科治療、口腔ケアにも対応しています。頻度などは患者さんの状態やご家族のご意向に合わせて決めています。
コンセプトである「いつまでも食べられる喜びを」への思いを教えてください。
口腔機能の維持を意識している方は少ないかと思います。私はこれまで大学病院や療養型病院で、がん患者さんを含むさまざまな方と関わってきました。その中で、口から食事を取れなくなってしまった多くの方が「好きな物を味わって食べたい」と寂しそうにおっしゃっていたことが印象に残っています。高齢になっても、最期までしっかりと噛んで食べることの大切さを実感しました。いつまでも食べられる喜びを実現できるよう、患者さんの生涯に寄り添う歯科医院として、長くお手伝いできればと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

現在、三軒茶屋で開業していますが、昭和大学歯科病院でも兼任講師をさせていただいています。そのため必要時は大学病院への紹介だけでなく、私自身が大学病院での診療にあたることも可能です。患者さんが紹介先で一から別の歯科医師へ説明する負担が減るため、スムーズに診療が受けられる点はメリットかと思います。お子さんから高齢者まで、幅広く診療にあたっていますので、お気軽にご来院ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正:ワイヤー全顎矯正/82万5000円~、マウスピース型装置を用いた矯正/11万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

