玉澤学院長の独自取材記事

初台GT歯科

(渋谷区／初台駅)

最終更新日：2024/12/19

初台駅南口から徒歩3分の商店街の一角にある「初台GT歯科」は、幅広い世代の口腔環境を守る地域密着の歯科クリニックをめざして2011年に開業。2022年9月にリニューアルした院内は、ダークブラウンとホワイトを基調に落ち着いた雰囲気が印象的。診療にあたる玉澤学（たまざわ・がく）院長は口腔外科が専門で、現在は虫歯や歯周病の予防や治療、インプラント治療、歯周組織再生療法など、オールラウンドな歯科診療に努めている。「開業して十数年がたち、患者さんのライフステージの変化を見据えた診療も重視するようになりました」と玉澤院長。大学病院での診療に加え、海外の複数の大学の研究プログラムなどで得た経験も生かしながら、地域に根差した歯科診療に取り組む玉澤院長に同院の特徴などを聞いた。

（取材日2024年8月27日）

ライフステージの変化を見据えた治療を重視
食いしばり治療や歯周組織再生療法にも対応
海外で先進的な治療技術を学んだ経験が現在の糧に

ライフステージの変化を見据えた治療を重視

どのような患者さんが利用していますか？

当院の周辺は、都心らしい華やかさと同時に商店街や住宅街が織りなす下町風情も残っているエリアです。そのため、小さいお子さんから高齢者まで、近隣にお住まい方の多くに家族ぐるみで利用していただいています。当院は、地域密着型の歯科クリニックをめざして開業して以来、包括的な歯科診療を行ってきました。予防歯科にも力を入れていて、定期検診やメンテナンスで通院する患者さんも増えています。また、失ってから歯を守る大切さに気づき、セルフケアやメンテナンスへの意識が高まり、意欲的に通院するようになる方もいます。「きれいな口腔環境を維持したい」という意識が高まっている患者さんが増えていると感じています。

診療方針を教えてください。

以前は、「歯を残すことが最も重要」という考えのもと、インプラント治療や歯周組織の再生療法にも精力的に取り組んできました。現在もそうした治療に力を入れていますが、私も患者さんとともに年を重ねる中で、新たな視点が生まれてきました。現在は元気に通院している患者さんでも、10年や15年先には入院するかもしれないなど、生活がさまざまに変化することが考えられます。そうした変化を見据え、お手入れのしやすさも含めて、より良い口腔内環境を長く保てるよう「ライフステージに合わせた治療方法の選択」を強く意識しています。例えば、健康にも大きく影響する口腔機能の維持や回復などもその一つです。

歯周病などの予防にも力を入れているそうですね。

歯周病は歯を失う最大の原因といわれる一方で、初期にはほとんど自覚症状がなく静かに進行する厄介な病気です。だからこそ定期的な通院による予防や再発防止が欠かせません。また、毎日のブラッシングだけですべての汚れを取り除くのは難しく、セルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアとの2段構えで、安定した口腔内環境を保つことが大切です。当院では、一般的なクリーニングに加え、自由診療でエアフローによるクリーニングを導入しています。歯の表面に水と微細なパウダーを吹きつけることで、歯や補綴物の表面を傷つけることなく、着色汚れや歯石歯周ポケットの中の汚れをきれいにすることが望めます。

食いしばり治療や歯周組織再生療法にも対応

歯周組織再生療法についても教えてください。

歯周病などで退縮した歯肉や歯槽骨などを、歯周組織再生療法によって歯を抜かずに済む可能性が出てきます。いわば「歯を残すために土台の骨をつくる」方法です。当院では、歯茎を切開して悪い部分を取り除いた上で薬剤を注入するGBR法（骨再生誘導法）などを行っています。これは、インプラント治療で骨が足りずに難しいとされた症例でも、土台を作ることでインプラントの埋入が可能になることもあります。当院では、セカンドオピニオンにも対応していますので、興味のある方は「歯を抜く」という重い決断をする前に一度、ご相談ください。

食いしばりの治療も行っているのですね。

原因不明の歯や顎の痛み、朝から続く頭痛、肩凝りに悩んでいる人も増えていると感じています。これらの原因の一つに、就寝中に無意識に行う食いしばりが考えられます。当院では、寝ている時に歯や顎にかかる力を和らげるためのマウスピースの作製に対応しています。食いしばりによる歯の摩耗があれば、その治療も行いますが、食いしばりの原因に多いストレスの緩和も大切です。患者さんの生活全般についても話を伺って、ストレスへの対処法も一緒に考えるようにしています。

日々の診療で心がけていることを教えてください。

患者さん一人ひとりの状況を把握し、治療への希望をしっかり受け止めるため、コミュニケーションを大切にしています。初診時は1時間かけて検査、ヒアリング、治療の説明を行っています。「インフォームドコンセント」の考えのもと、アニメーションなども使って現状をわかりやすく説明し、十分に理解した上で治療内容に同意していただきます。さらに、提案した治療法の選択肢から患者さんに選んでいただく「インフォームドチョイス」で、納得いただける治療の提供をめざしています。治療時の痛みに敏感な患者さんには、電動麻酔器やレーザー治療器なども用いたり、歯型は短時間で楽に採取することが可能な口腔内光学スキャナーを使ったりと、患者さんへの負担を抑えられるよう心がけています。

オンライン診療にも対応していると伺いました。

年配の方は夏場に通院するのが大変ですし、妊婦さんもその時の体調などで来院することが難しいことがあります。それに、妊娠するとホルモンバランスが崩れて、歯肉炎などになりやすくなるんです。そんなときに、画面越しに症状を聞いて、口の中を拝見することで、心配いらないとか、来られるときに診察を受けたほうが良いなどのアドバイスをしています。確かに、実際に口の中を見てみないと確定診断や治療はできませんが、オンライン上で見るだけでも患者さんの不安を和らげることができますので、必要なときにはご利用いただきたいと思います。また、当院で診ていた患者さんが高齢になって通院が難しくなった場合は、訪問診療も行っています。

海外で先進的な治療技術を学んだ経験が現在の糧に

歯科医師を志したきっかけは何でしたか？

実家も歯科の開業医で、幼い頃から患者さんの笑顔や歯科医師として父が感謝されている様子を間近で見ていたので、まったく進路を迷うことなく歯科医師の道を選びました。もともと人を喜ばせたいという思いが強く、地域の皆さんが気軽に相談できるかかりつけ歯科医院として開業してからは、仕事がより一層楽しくなりました。近隣も含めこれだけ歯科医院が多い時代にあって、その中からあえて当院を選んで来てくださっているわけですから、お一人お一人とのご縁に感謝し、気持ち良く診察を受けていただける環境を整えて日々、患者さんをお迎えしています。

開業前には海外でも研鑽を積まれたそうですね。

インプラントの専門家が集うニューヨーク大学インプラント科留学プログラムに参加し、2年にわたって論文の執筆や症例のプレゼンテーションを行いました。先進の医療現場を体感し、それまでに私自身が積み重ねてきたインプラント治療をはじめ歯科治療全般の知識や技術を一度、総括的に見直す貴重な経験になりましたね。その後、ハーバード大学やペンシルベニア大学でも研鑽し、ルーマニア国立ブカレスト大学医学部のインプラント科での講習に参加した際には、上顎洞への骨移植手術について勉強しました。歯科先進国である欧米各国に赴いて、こうした先進的な技術を習得する機会を得られたことが、当院の治療の選択肢の豊富さに結びついていると自負しています。

今後の抱負を聞かせてください。

当院では、長いスパンで患者さんの口腔内環境の推移を見守りながら、かかりつけの歯科医院として伴走していきたいと思っています。口腔機能には噛んだり飲み込んだりする力、唾液の分泌機能などが含まれ、高齢になるとこれらの機能が低下しがちです。そうなると栄養状態の悪化や口腔内の乾燥による虫歯や誤嚥性肺炎など、さまざまな健康被害が起きやすくなります。当院では、口腔機能を各種検査機器で客観的に評価し、機能低下を早期に見つけ、唾液が出やすくなるトレーニングの指導や噛み合わせの治療など、症状に合わせて機能回復を図っています。歯科用CTやマイクロスコープのような先進機器を駆使した歯科治療は広く行われていますが、当院ではそれに加えて、患者さんの長い人生を見据えた治療プランやライフステージに合わせた歯科治療を提供したいと考えています。