健康診断で腎臓関連の数値が悪い場合は
早めに腎臓内科の受診を
新中野なべよこ内科
(中野区/新中野駅)
最終更新日:2024/12/18


- 保険診療
健康診断の血液検査の中でも血圧やコレステロール値、血糖値などは比較的なじみがあるのでわかりやすい。ただ、他の検査項目の中にも、まだあまりよく知られていないが、健康状態を示す重要な数値がある。それが最近注目を集めているeGFR(推算糸球体ろ過量)だ。「これは腎臓の機能に関わる数値で、正常値より低いと腎臓の機能低下だけでなく全身の動脈硬化が進行していることが考えられます。早めに腎臓内科を受診したほうがよいですね」と話すのは「新中野なべよこ内科」の高昌秀安院長。同院では循環器内科を専門とする高昌院長と、腎臓内科を専門とする医師との連携によって、腎臓疾患やそれに深く関わる生活習慣病の治療・管理に力を入れている。腎臓に関わる検査や循環器疾患との関連などについて聞いた。
(取材日2024年8月29日)
目次
加齢とともに低下する腎臓機能。高血圧などの生活習慣病の管理が重要
- QeGFRの数値が低い場合、どんな病気が考えられますか。
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A
▲健康診断での尿検査の再検査にも対応
eGFRは、腎臓の機能がどのくらいあるかを示す数値で、具体的には腎臓の中にある糸球体が1分間にどのくらい血液をろ過して尿を作り出せるかを表しています。eGFRの正常値は60mL/分/1.73平方メートル以上で60未満が続くと慢性腎臓病の疑いが出てきます。また、eGFRの低下は全身の動脈硬化が進行していると考えられます。というのも、腎臓には大きい血管から毛細血管が集まる糸球体までさまざまな血管があり、その機能が衰えるということは腎臓内の血管に動脈硬化が起こっていると考えられるからです。eGFRの低い人は高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を併発しているケースも多いです。
- Qそのまま放置しておくとどんなリスクがありますか。
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A
▲日本循環器学会循環器専門医の資格を持つ高昌院長
そのまま放置しておくと、全身の動脈硬化も進行していき、やがて心筋梗塞や脳梗塞といった命に関わる重篤な疾患や閉塞性動脈硬化症などを引き起こす恐れがあります。また高血圧をそのままにしておくと腎硬化症が進行したり、糖尿病が長く続くことで糖尿病性腎症が進行したりすることもあります。こうした腎疾患が進行して腎臓の機能が十分に果たせなくなると慢性腎不全に陥り、最終的に人工透析や腎臓移植が必要になる場合も考えられます。
- Qどのタイミングで受診すると良いですか。
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A
▲高血圧が続くと心疾患や脳血管疾患の発症につながるリスクがある
腎臓の機能は加齢とともに低下していきます。eGFRは年齢を加味して算出されていますので、どの年代の方も血液検査で60未満の場合は早めに腎臓内科を受診してください。実は腎臓病には、例えば高血圧に対する降圧剤のように、ごく一般的に処方できる薬がないのが現状です。ですので、今ある腎臓の機能を温存して、加齢に伴う機能低下をできるだけ緩やかにしていくことが重要になります。そのためにもできるだけ早めに受診して、食事や生活習慣を改善して今の腎臓機能を守っていくことが大切です。
- Qこちらは腎臓病と関連の深い循環器内科も診察しているのですね。
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A
▲パンフレットなどを用いてわかりやすい説明を心がける
慢性腎臓病は高齢になればなるほど発症しやすく、また高齢になると血圧も高くなってきます。高血圧が続くと先ほどお話ししたような腎硬化症が引き起こされ腎機能が低下し、さらに腎機能の低下によって血液量が増えて血圧が上がる、というように腎臓の機能と高血圧は相互に関わっています。当院では循環器内科と腎臓内科の医師がそれぞれの専門性を生かしつつ密に連携しながら高血圧や動脈硬化の予防、心疾患の発症予防、腎臓疾患の治療などを行っています。腎臓内科を専門に診るクリニックは少ないと思いますので、血液検査や尿検査の結果が気になる人はぜひ相談に来てください。
- Q動脈硬化や腎臓病の予防のために大切なことはどんなことですか。
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A
▲生活習慣を改善できるよう、患者の考えを尊重しサポートする
eGFRが低い人でも継続的に検査を受けて管理しているケースは少ないのです。腎臓病は自覚症状がほとんどないので、そのまま放置してしまっている人が多いのです。塩分を控える、摂取カロリーを抑えるなどの食事療法を行うとともに定期的に血液検査を受けて腎臓機能を管理していくことが大切です。腎臓病の人に適した血圧の目標値もありますので、毎日ご自宅で血圧を測ることも必要です。腎臓は全身の体の環境に左右されやすい臓器でもあるので、全身疾患のコントロールや合併症の予防・管理をしっかり行うことも重要です。