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田中 亮嗣 院長の独自取材記事

かりん在宅クリニック

(墨田区/曳舟駅)

最終更新日:2025/02/19

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック main

「かりん在宅クリニック」は、2024年に在宅訪問診療専門のクリニックとして曳舟駅から徒歩1分の場所に開業した。院長を務める田中亮嗣先生は、急性期病院に勤務し、がん治療に携わる中で、患者の希望をかなえるにはどうしたらいいのかと悩んだ末、在宅医療の世界に飛び込んだ熱い情熱の持ち主だ。訪問診療では、かかりつけの患者に対し中心静脈栄養や経管栄養、在宅酸素、各種カテーテルの管理、苦痛緩和治療など医療機関と同等の医療を提供し、緊急時は24時間365日体制で電話対応や臨時往診を実施している。また、患者だけでなくその家族とも真摯に向き合い、気持ちを受け止めることを重視している。インタビューでは、そんな田中院長に、在宅医療にかける思いや今後の展望などを語ってもらった。

(取材日2024年6月3日)

家族の困り事も把握することが患者の力になる

急性期病院に勤めてこられたそうですが、なぜ在宅医療の道に進まれたのでしょうか?

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック1

医師を志した動機の一つが祖父を病気で亡くしたことです。沖縄県立中部病院で研修し、内科全般の経験を積んだ後、多くの症例が集まる病院で研鑽を積みたいと上京し、聖路加国際病院などに勤務しました。尊敬できる先生方のもとで経験を重ねていましたが、だんだんとこれでいいのかと自問するようになりました。腫瘍の大きさや腫瘍マーカーの項目などをデータと突き合わせる治療では、患者さんの生活背景やどんな暮らしをしたいかといった希望を考えることが少なくなります。患者さんの性格や仕事、独居なのか家族などサポートする人がいるのかによって処方薬を変えることなどは、基本的にありません。「人を見ないで病気を診ている」のではと、迷いが生じたのですね。それで別の現場も知りたいと考えて、つばさ在宅クリニック西船橋を見学したことが在宅医療の道へ進むきっかけとなりました。

医療機関での診療と在宅医療の違いはどんなところにあるのでしょうか?

医師と患者さんの心の距離の近さですね。医療的には中心静脈栄養や経管栄養、在宅酸素、各種カテーテルの管理、苦痛緩和治療など病院と変わらない医療を提供することができますが、患者さんの日常の中にお邪魔して行うので、ご家族など身近な人たちの置かれている社会的な環境や日常生活でお困りのこと、つらいことや不安な気持ちなど多岐にわたって目の当たりにしますし、相談されることが多いです。そうしたさまざまなお困り事に真摯に向き合いながら、患者さんの価値観に合った治療を提供することこそが在宅医療だと思っています。

家族は第二の患者ともいわれますが、在宅医療では患者さんのご家族と接する機会が多くなりますね。

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック2

病院では、患者さんのご家族と接する機会はごく限られています。在宅医療で実感するのは、ご家族も含めて全体を把握しなければ患者さんのお力になることができないということです。もし、介護にあたるご家族のお一人でも「もう無理だ」と感じてしまったら、患者さんはご自宅にいられなくなります。患者さんの希望が家族と過ごすことであっても、ご家族の誰かがどんなに自宅で看取りたいと願っていても、難しくなります。入院することも選択肢の一つですが、患者さんもご家族も納得した上でないとつらい選択になりますから、ご家族のメンタル面も含めたサポートが重要です。

オーダーメイドの治療で残された時間を有意義に

診療で心がけていらっしゃることを教えてください。

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック3

医師として冷静に診察をしつつ、丁寧に相手の話を聞いて理解を示すことを大切にしています。その上でコミュニケーションをしっかりと取って、価値観を共有しながら治療の提案をすることを心がけています。患者さんにとってより良い医療はそれぞれ違うはずですから、オーダーメイドの治療ができればと考えています。医療面だけでなく、介護やケアに関してもケアマネジャーや訪問看護ステーションといった地域の各事業所と連携し、総合的なサポートをめざしています。

一緒に訪問されるスタッフはどんな方ですか?

現在、看護師が4人と事務員兼ドライバーが1人、医療事務が1人在籍しています。開業して以降、一緒に働いてくれる仲間が増え続けています。皆さん在宅医療の経験は当クリニックが初めてなのですが、専門の知識と経験を生かしつつ、人として共感的な姿勢や態度を取ることができる人材です。経験豊富な即戦力のスタッフをそろえるのがセオリーといえるかもしれませんが、私は在宅医療への興味や情熱、学ぶことへの素直な姿勢などを重視しました。在宅医療への同行や電話の対応では、医師とは違う立場で患者さんやご家族のお話をしっかりと受け止めてくれていますし、日々の経験や学びを吸収して成長しているスタッフたちで、とても頼りにしています。

在宅医療のどんなところにやりがいを感じますか?

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック4

病気を治すことだけが治療の目標ではなく、患者さんの残されている時間をいかに有意義に使えるかという支援も大切になります。医療面だけでなく、さまざまな視点からのアドバイスができて、患者さんやご家族の幸せな暮らしにつなげられ、感謝していただけるような取り組みをめざしています。そんな医療を提供できたと実感できたら、大きなやりがいを感じるでしょうし、社会に貢献できているという実感を持てるでしょうね。

「人間力」と地域の他職種連携で信頼される体制を

心に残っている患者さんのエピソードをお聞かせください。

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック5

勤務医時代に担当した、長い間施設で過ごし最期の生活をご自宅で送られた患者さんが印象に残っています。急に衰弱が進んだことで、娘さんが急いで自宅に連れて帰られ、その後の訪問診療に携わりました。娘さんはずっと親を放っておいたと罪悪感に苛まれていましたが、残された時間は長くありません。できるだけの治療をしつつ、一緒に過ごす時間を大事にしましょうと提案しました。好物を食べさせてあげたり、散歩に連れ出したりとごく普遍的な提案です。ご自宅はマンションの高層階で眺望が素晴らしかったので、のんびりと窓辺で過ごされていましたね。娘さんは献身的に介護され、日常の一瞬一瞬をお母さんと過ごすうちに罪悪感は薄れていったそうです。最期は子どもと孫に見守られて穏やかに息を引き取られました。旅行など大きなイベントがなくても、濃密な時間を住み慣れた場所で過ごすことは患者さんにもご家族にも大切なことだと実感したケースでした。

お看取りも含めた在宅医療の必要性が増していますが、どのような展望をお持ちでしょうか。

在宅医療は医療従事者だけで推進や変革できるものではありません。訪問看護ステーションやケアマネジャー、ホームヘルパーなど他職種が一丸となって患者さんとご家族を支えていく世界ですから、他の事業所さんともうまく連携できてチームになれたら、患者さんが安心してご自宅で過ごせるようになると思います。その実現には地域全体に信頼される存在になることが必要です。私は、どんなにAIが発達しても人間だからこそできる医療があるはずだと信じています。同じ志のある方がいらっしゃれば、ぜひ仲間になっていただき、協力していきたいなと思います。

お忙しい毎日だと思いますが、お休みの日はどのように過ごされていますか?

田中亮嗣院長 かりん在宅クリニック6

今は開業して間もないので、あまりプライベートの時間はありませんね。自分がトップとして組織を運営するのは初めてなので、組織運営やマネジメントの本を読んだり、情報収集をしたりして勉強していることがほとんどです。もともと小中高と野球をやっていて体を動かすのが大好きなので、ダイビングやスノーボードが趣味だったのですが、今は遠方に出かけるのが難しいですから、お預けです。家で映画を観たり、漫画を読んだりして過ごすインドアライフも実は好きなので、オフや息抜きはインドアが続きそうですね。短い息抜きの時間を有効活用して、地域の皆さんに貢献するために、より良い在宅医療につなげていきたいですね。