三山 健 院長の独自取材記事
ゆきがや泌尿器クリニック
(大田区/石川台駅)
最終更新日:2024/07/10
東急池上線石川台駅から徒歩2分。「ゆきがや泌尿器クリニック」は2024年5月13日に開業した。一見すると美容関係の店舗のようなたたずまいで、「泌尿器科にかかるのに抵抗がある」という患者でも気軽に入りやすいデザインになっている。院長の三山健先生は、開業するまでの約15年間、神奈川県内の病院などで研鑽を積んだ泌尿器科の専門家。難しいがんの管理や手術などに多く携わり、知識と経験を十分に積みあげて、石川台という地域での開業を決めた。「泌尿器科の病気は早期発見が鍵です。なので普段から検診を受けてほしいですね」と語る三山先生に、クリニックの理念や診療方針、患者への想いなどをざっくばらんに聞いてみた。
(取材日2024年6月6日)
ふらりと気軽に立ち寄れるクリニックをめざす
クリニックの理念やコンセプト、診療方針について教えてください。
病気の早期発見と、患者さんご自身の体のメンテナンスをしっかり行っていただくためのお手伝いができればと思っています。この地域は、泌尿器科のクリニックが少ないんです。そのため、私が持っている知識と技術、経験を地域の皆さんに惜しみなく提供していきたいですね。患者さんは泌尿器科のトラブルがあっても、なかなか受診しない傾向があります。受診しづらいと感じている以外にも、「多分年のせいだろう」「これくらい問題ないだろう」とご自身で答えを出してしまう人が多い傾向にあるんですね。それでは病気の早期発見が遅れてしまうため、一人ひとりの意識を高めていくことを目標にしていきたいと考えています。
開業のきっかけや、石川台という地域との関わりについて教えてください。
実は、石川台と深い関わりがあるわけではないんです。ただ、開業するまでは神奈川県内の病院で働いていたものの、自宅は東京都大田区内にあったため、いずれ戻ってくる可能性も視野に入れていたんですね。長い目で見て、医師として働き続けるなら自宅から近い地域に身を置くほうがいいなと思っていました。それでどこに開業すべきか考えていく中で、実は「石川台」という地域に泌尿器科のクリニックがほとんどないことは何年も前から把握していたんです。人がたくさん住んでいる地域なのに泌尿器科クリニックが少ないのは住民にとって不便だろうと思い、ここに決めました。泌尿器科の医師として、地域の方の健康を守っていきたいですね。
開業する際にこだわった点はどこでしょうか。
やはり、泌尿器科は受診しづらいし周りに知られたくないという人が多いです。そのため、気軽にクリニックに立ち寄れるように見た目にこだわりました。例えば高齢の方でも入りやすいように、グレーを基調にして落ち着ける内装にしたり、一見クリニックとは思えないような雰囲気にしたり。その結果、全然クリニックという感じではなくなりました。「なんだかきれいだから寄ってみた」という感覚で来てもらっても全然構いません。何科を受診したらいいかわからないという人も、遠慮なく来ていただきたいですね。それと、高齢の患者さんのことを考えて、当院では若い年代ではなく40代のスタッフを採用しています。私から直接こうしてほしい、とお伝えしていることはなくとも、一人ひとりのスタッフが自分の色を生かして、患者さんが居心地よく過ごせるためのコミュニケーションを大事にしているので、とても心強いですね。
患者の言いたいことをしっかり理解することが大切
現在どのような患者さんが来院されていますか。
若年層と高齢層で二極化していますね。下は0歳から通院してくれていて、親御さんがちょっと気になることがあって子どもを連れて来るというケースもあります。当院では、インターネットでの予約環境やオンラインクレジット決済の導入も行っているので、そうした手軽さが若い世代の患者さんの受診しやすさにもつながっているのなら、私たちとしてもうれしいですね。受付から会計までオンラインで完結することで、かなり時間短縮になりますよ。その空いた時間を使って、じっくり話を聞かなければならない患者さんと向き合うこともできます。なお、院内の検査はすべて電子カルテで一元管理していて、患者さんにとって通常見る機会のない尿検査の画像などもお見せできます。ですので、患者さんにとってご自身の状態を理解しやすい環境なのではないかと思います。
患者さんと接する際に大切にしていることを教えてください。
患者さんの話していることをしっかり聞き、何を悩んでいるのか、何が問題なのかを把握することを大切にしています。「人の話を聞く」というのは、当たり前のことのようで意外とちゃんとできていないことが多いと感じます。忙しかったり、ちょっと他のことに気がそれたりすると患者さんの話を聞き流してしまうことがあるんですね。ですが、それでは当然患者さんの訴えを正確に把握することはできません。自分のクリニックを持った今、初心に返って一人ひとりの患者さんに時間をかけて診察したいと思いますね。
クリニックで力を入れたい診療は何でしょうか。
私は開業するまでの約15年間、横浜市の大きな病院などで主にがんの手術を数多く行ってきました。ですので、軽症から重症まで、泌尿器にまつわるほとんどのことを理解しています。前立腺肥大症や子どもの夜尿症なども、突き詰めると専門知識をもってしっかり治療しなければなりません。そもそも泌尿器科の医師が少ないにもかかわらず、男性が罹患するがんの1位は前立腺がんなんです。きちんと管理ができて治療の介入が早ければ改善が望める病気なのに、皆さん受診するのが遅いんですね。そして受診する多くの人が軽症だとしても、中には重症の患者さんが見つかることもあると思うんです。そういう時に正しい治療が受けられるよう、しかるべき病院を紹介できるネットワークがあるのが当院の強みだと思っています。
泌尿器科は定期検診が非常に重要だと知ってほしい
泌尿器に関して、症状を放置しないことの重要性を教えてください。
例えばおしっこの出が悪いとか頻尿とか、ご本人からすると「ちょっとしたこと」と感じることでも早めに検査を受けてほしいですね。というのも、ちょっとしたことでも普通ではないことも多いのです。検査を受けて何もなければ安心できますし、もし何か見つかれば早い段階で対処できますよね。血尿など、目で見て明らかに異常がわかる状態まで放置すると手遅れになることが多々あります。私はこれまでの病院で、「もっと早く受診してくれていれば……」という患者さんをたくさん見てきました。だからこそ、早期発見がどれだけ大事かを皆さんに伝えていきたいんです。病気になってからだと治療費もご本人の心身の負担も大きくなるため、違和感は放置しないことが大切です。これまでの経験をもって、今すぐに治療を行うべきか否かの判断を適切に行うことで、患者さんの漠然とした不安も解消していけるよう努めています。
どのようなクリニックをめざしていますか。
「泌尿器科といえばゆきがや泌尿器クリニックだよね」と言ってもらえるような、地域に密着したクリニックとして成長していきたいです。排尿は日常生活において、歯磨きと同じくらい無意識で行っていると思います。そこにあえて意識を向けていただくことで、健康な生活が望めることもあるでしょう。患者さんの健康意識の向上につながるような情報の提供も、積極的に行っていきたいと考えています。また診療としては、「正直な医療」を大切にしています。無理に通院を促すのではなく、必要な方に必要な処方や治療、来院ペースをご提案することを心がけています。
読者へのメッセージをお願いします。
何か不安なことや気になることがあれば、年のせいにして諦めてしまわずに相談してほしいです。排尿時の痛みや残尿感、陰部の違和感など、なんとなくいつもと違うな、と感じたら気軽にお話しに来てください。また当院では、患者さんのお名前の取り扱いには特に注意し、匿名化を徹底しています。やはり泌尿器科という特性上、「近所の人に名前を知られたくない」と思う人も多いのではないでしょうか。ですので、あらゆるところに配慮して泌尿器科を受診するハードルを下げているつもりです。そして、泌尿器科の病気は自覚症状が出た時には症状が進んでいることがほとんどです。そのためにも、何もない時から検診を受けたり相談しに来たりしてほしいと思います。皆さんの健康を維持するために、一緒に生活の質を守っていきたいと考えているのでぜひお気軽に足を運んでみてください。