三山 健 院長の独自取材記事
ゆきがや泌尿器クリニック
(大田区/石川台駅)
最終更新日:2025/09/30

東急池上線・石川台駅から徒歩2分の「ゆきがや泌尿器クリニック」は、黒いタイル地に青いラインが際立つスタイリッシュなたたずまいで、泌尿器科にかかるのに抵抗がある患者でも入りやすい外観になっている。院長の三山健先生は、開業するまでの約15年間、神奈川県内の病院などで研鑽を積んだ泌尿器科の専門家。がんの管理や手術などに多く携わった知識と経験を生かすため、この地に開業することを決めた。同院では三山院長が得意とする前立腺がん、膀胱がん、精巣腫瘍などのフォローをはじめ、身近なクリニックとして子どもから高齢者まで幅広い年代の泌尿器科領域の悩みに応えていく。男性更年期障害の相談にも対応し、再発膀胱がんの日帰り手術に注力する院長に、同院について語ってもらった。
(取材日2025年8月5日)
幅広い泌尿器科疾患に対応する地域の身近なクリニック
クリニックの理念やコンセプト、診療方針について教えてください。

病気の早期発見と、患者さんご自身の体のメンテナンスをしっかり行っていただくためのお手伝いができればと思っています。この地域は、泌尿器科のクリニックが少ないんです。そのため、私が持っている知識と技術、経験を地域の皆さんに惜しみなく提供していきたいですね。泌尿器科のトラブルがあっても、なかなか受診しない方も多いのではないでしょうか。受診しづらいと感じている以外にも、「多分年のせいだろう」「これくらい問題ないだろう」とご自身で答えを出してしまう人が多い傾向にあると思います。それでは病気の早期発見が遅れてしまうため、一人ひとりの意識を高めることを目標にしていきたいと考えています。
開業から1年たちましたが、現在どのような患者さんがいらっしゃっていますか?
思っていたよりも年齢層が広く、高齢の方が中心ではありますが、小さいお子さんもたくさん来てくださっています。腫れやかぶれなど、お子さんの症状は重大ではないことが多いのですが、親御さんが気づかれていない体の機能に問題がある可能性も考えられるため、長年の経験を生かして丁寧に対応しています。また、性感染症の症状に悩まれて来る若い世代も多いです。抵抗のある方も多い診療科ですが、一度来ていただいた方は、また何かあったときに来てくださいます。それはスタッフの頑張りも大きいと思っています。一人ひとりのスタッフが、患者さんが居心地良く過ごせるためのコミュニケーションを大事にしているので、とても心強いですね。
先生はがんの治療にも長年従事してきたそうですね。

私は開業するまでの約15年間、横浜市の大きな病院などで主にがんの手術を数多く行ってきました。がんの専門家でもありますので、前立腺がん、膀胱がん、精巣がんなど泌尿器のがんのフォローも当院で対応可能です。近くにお住まいの方でそういった診療を受けるのに苦労している方は便利に当院を使っていただきたいですね。がんの診療だけではなく軽症から重症まで、泌尿器にまつわるさまざまな診療を経験し、知識と技術を積んできました。前立腺肥大症や子どもの夜尿症なども、突き詰めると専門知識をもってしっかり治療しなければなりません。当院では対応が難しいときは適切な治療が受けられるよう、しかるべき病院を紹介できるネットワークがあるのも当院の強みだと思っています。
新しい術式での再発膀胱がんの日帰り手術にも対応
こちらでは再発膀胱がんの治療も行えるとお聞きしました。

2025年7月にレーザー治療が行える機器を導入しました。こちらは以前の勤務先でも使用していたなじみのある機器なのですが、最近、再発膀胱がんに対しての治療が保険適用になったことから導入を決めました。この機械を用いて、「経尿道的膀胱蒸散術」という術式で再発膀胱がんの日帰り手術を行っています。軟性の細い内視鏡の先端から出るレーザーによって小さな腫瘍を蒸散させる方法で、局所麻酔を施して10分から30分程度で終わり、問題がなければすぐに帰宅できます。再発でグレードの低い場合のみなど条件は限定されますが、ご高齢の方で全身麻酔の手術を受けるのが難しい方にとって、メリットの大きい治療だと思います。ただし、治療を提供する上で、大学病院や地域の基幹病院と連携することは絶対条件です。従来どおりの治療が必要なケースは病院を紹介するなど、連携を取りながら診療を行っていきます。
対応できる診療を厚くしていく原動力はどんなところにあるのでしょうか?
一つは患者さんの選択肢を広げたいという思いがあります。治療の提案は基本的にはそのクリニックでできるもの、その病院でできるものになり、対応できる設備がなければ選択肢として挙げにくいのが現状です。当院でできる治療があるのならば、そのために設備を整えることで、患者さんの選択肢が増え、より良い方法を選んでいただけるようになるのではないでしょうか。もう一つ、地域への医療貢献という考えが根底にあります。大きな病院ではそこでしかできない治療があり、その治療を求めている患者さんがいます。当院の治療の幅が広がって大きな病院に行かなくても済む方が増えれば、その分病院の診療の枠が空いてそこでしか治療ができない患者さんを受け入れられます。地域のクリニックとしてそういった役目を担いたいと思っています。
男性更年期障害のご相談にも対応しているそうですね。

男性も40代後半から50代頃に、テストステロンというホルモンの分泌が減って更年期障害を発症する方がいます。主な症状はイライラや睡眠障害、倦怠感、だるさなどで、放っておくと仕事に行けなくなったり、周囲の人に当たるのを止められなくなったりします。うつ病の症状とも似ていますが、精神科に行ってもうつ病とは診断されず、つらい症状を抱えたままやり過ごしている方もいると思います。男性更年期障害という病気があることを知って、その諸症状の診療を行っているクリニックを訪れて改善をめざしていただきたいです。テストステロンは睡眠時間の確保や体重管理をすることで増えるといわれていますので、生活習慣改善のサポートによるアプローチが中心となります。怒りっぽくなったと家族に指摘されたなど、気になる変化があればご相談にいらしてください。
患者の言いたいことをしっかり理解して対応していく
患者さんと接する際に大切にしていることを教えてください。

患者さんの話していることをしっかり聞き、何を悩んでいるのか、何が問題なのかを把握することを大切にしています。「人の話を聞く」というのは、当たり前のことのようで意外とちゃんとできていないことが多いと感じます。忙しかったり、ちょっと他のことに気がそれたりすると患者さんの話を聞き流してしまうことがあるんですね。ですが、それでは当然患者さんの訴えをしっかりと把握することはできません。自分のクリニックを持った今、初心に返って一人ひとりの患者さんに時間をかけて診察したいと思いますね。
今後、どのようなクリニックをめざしていきたいですか?
病院に勤務していた頃はがんの診療を専門としてきましたので、悪性腫瘍のフォローも当院で対応できますし、再発膀胱がんの日帰り手術や、過活動膀胱に対するボツリヌス毒素製剤療法も保険診療で行っています。再診の方にはオンライン診療も実施していますので、お忙しい方もご相談いただきたいです。地域のニーズをくみ取り、「泌尿器科といえばゆきがや泌尿器クリニックだよね」と言ってもらえるようなクリニックとして成長していきたいと思います。同時に病診連携に努め、当院がここにあることで、地域にとってメリットを与えられるクリニックでありたいです。
読者へのメッセージをお願いします。

何か不安なことや気になることがあれば、年のせいにして諦めてしまわずに相談してほしいです。排尿時の痛みや残尿感、陰部の違和感など、なんとなくいつもと違うな、と感じたら気軽にお話しに来てください。また当院では、患者さんのお名前の取り扱いには特に注意し、匿名化を徹底しています。やはり泌尿器科という特性上、「近所の人に名前を知られたくない」と思う人も多いのではないでしょうか。ですので、あらゆるところに配慮して泌尿器科を受診するハードルを下げているつもりです。泌尿器科の病気は自覚症状が出た時には症状が進んでいることがほとんどですから、健康診断で指摘されたら放置せずに受診していただきたいと思います。皆さんの健康を維持するために、一緒に生活の質を守っていきたいと考えているのでぜひお気軽に足を運んでみてください。