糖尿病は合併症まで包括的に診療
専門クリニックで行う治療の流れ
おんじゅ会内科・糖尿病内科クリニック
(京都市中京区/烏丸駅)
最終更新日:2024/06/04
- 保険診療
生活習慣病の中でも広く知られている糖尿病。初期は自覚症状が少ないため、健康診断で血糖値の高さなどを指摘されていても、そのままという人も少なくないだろう。しかし、放置すると、目や腎臓、神経、脳、心臓など、さまざまな器官に合併症を引き起こし、命に関わるような事態になることもあるという。「健康診断などで気になる項目が出てきたら、まずはクリニックで気軽に相談してみてほしい」と話すのは「おんじゅ会内科・糖尿病内科クリニック」の山根俊介院長。日本糖尿病学会認定糖尿病専門医である山根院長を中心に、看護師や臨床検査技師などの糖尿病チームが一丸となって対話重視の診療を行っている。今回は糖尿病やそれに伴う合併症にも対応する同院に、専門クリニックならではの糖尿病治療について教えてもらった。
(取材日2024年5月7日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q糖尿病とはどのような病気でしょうか?
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A
糖尿病とは、インスリンというホルモンが十分に働かないために、血液中の糖がきちんと利用されず高血糖になってしまう病気です。糖尿病にはいくつか種類があり、インスリンを分泌するはずの膵臓にあるβ細胞が破壊されてしまっている1型糖尿病のほかに、生活習慣や遺伝などが影響して機能低下が生じる2型糖尿病、妊娠中の糖代謝異常である妊娠糖尿病などがあります。特に2型糖尿病は、日本の糖尿病患者の9割以上を占めています。中高年以降に発症することがほとんどですが、近年は若年層で発症するケースも増えてきました。放っておくと糖尿病合併症と呼ばれる障害が発生することがあるため、早期に治療を開始することが大切です。
- Q合併症にはどんなものがありますか?
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A
高血糖な状態が続くことで、血管を損傷して生じるのが合併症です。失明に至ることもある糖尿病網膜症や、人工透析が必要となるケースもある糖尿病性腎症、足先などの感覚が鈍くなる糖尿病神経障害などがよく知られています。これら毛細血管が損傷して起こる合併症だけでなく、太い血管が損傷して起こるのが動脈硬化です。動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞などの重大な病気のリスクも高まります。糖尿病は遺伝的な要因で発症する人もいますが、ほとんどは日々の生活習慣に起因しています。深刻な状態に至る前に食生活や運動習慣を見直し、必要に応じて薬物療法などを取り入れながら、血糖値のコントロールを進めていくことが大切です。
- Qこちらのクリニックで行う治療の特徴を教えてください。
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A
当院ではお一人お一人に合わせた治療提案を重要視しています。病気の状態はもちろん、年齢や性別、お仕事、ライフスタイル、家族構成など、個々のバックグラウンドによって適切な糖尿病治療は変わってきます。丁寧な対話から患者さんの生活背景を聞き取り、必要な治療をコーディネートしていきます。治療の必要性をしっかり理解して治療に向き合えるよう、説明にも心を尽くし、モチベーションを保つ声がけにも配慮しています。また近年は糖尿病治療が目覚ましく進化しています。服薬、注射、インスリンポンプなど幅広いアプローチ方法で、緩やかな治療から積極的な治療まで行えるのも糖尿病を専門とするクリニックならではといえます。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1受付・問診
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まずは問診で最近の体調や既往歴について確認される。糖尿病は日常生活の影響が大きいため、普段の食事内容や運動量などの生活背景について聞き取りがされる。時間をかけて丁寧にヒアリングしていくので、初診は事前予約がベターだが、地域の人々が必要な時に頼れる場所として急な受診にも柔軟に対応するよう心がけているそう。なお、健康診断が受診のきっかけである場合には診断結果を持参するとスムーズな診療につながる。
- 2各種検査を実施
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血液検査のほか、血糖値・ヘモグロビンA1cの検査、動脈硬化検査、心電図、尿検査などが行われ、体重や血圧も測定する。通常であれば検査結果は翌日以降になることが多いが、同院では高精度な迅速測定器を導入。検査結果は数分で出るので、受診したその日から患者の状態に合った薬の処方や生活習慣のアドバイスが可能だそうだ。
- 3検査結果をもとに治療法を選択
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医師より問診や検査結果をもとにした治療提案が行われる。同院では一人ひとりの生活背景に即した治療で、長く継続できる方法を提案。説明時にもわかりやすい説明を心がけ、患者が病気を理解してしっかりと前向きに取り組めるよう寄り添った治療をめざしているそうだ。また初診の患者の場合には、できる限り食事や運動の指導での改善をめざし、病態や必要に応じて薬剤での治療を行う。
- 4経験豊富なスタッフによる指導
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インスリンの自己注射やポンプの扱いが慣れないうちは看護師が時間をかけて丁寧にレクチャー。そのほか、万が一体調が悪くなった時にも電話で対処法について相談に乗ってくれるなど、患者が安心して治療に取り組めるよう、きめ細かなサポートを行っている。
- 5定期的な通院
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月に1度のペースで受診し、経過を確認していく。血糖値の状態から処方した薬や食事改善の結果を評価し、薬を減らしたり、別の薬に変えたりといった選択をしていく。糖尿病の患者は、目・腎臓・手足の神経などに合併症を引き起こしやすい。そのため定期受診の際には合併症が起こっていないか、こまめなチェックを欠かさないそう。さまざまな合併症に対し、多角的な視点で早期発見・治療に努めているという。