山根 俊介 院長の独自取材記事
おんじゅ会内科・糖尿病内科クリニック
(京都市中京区/烏丸駅)
最終更新日:2024/06/04
阪急京都本線の烏丸駅、京都市営地下鉄烏丸線の四条駅からいずれも徒歩約3分、京都市営地下鉄烏丸線・東西線の烏丸御池駅からも約5分という交通便利なロケーションに、「おんじゅ会内科・糖尿病内科クリニック」がある。烏丸通り沿いのビル2階のクリニックは、「おんじゅ(温樹)会」という名称らしく、エントランスなどにふんだんに木材が使われ、リラックスした雰囲気が心地良い。診療を担当するのは、ともに大学病院やクリニックで診療経験を積んだ2人の先生。糖尿病をはじめとする生活習慣病からさまざまな内科疾患まで幅広く対応している。「いろいろな悩みを気軽に相談してほしい」と語る山根俊介院長に、同院の診療ポリシーや糖尿病治療についての考え方などについて語ってもらった。
(取材日2024年4月30日)
診療と研究の両面で貴重な経験を積む
医師を志したきっかけを教えてください。
私は島根県の隠岐の島の出身で、中学校を卒業するまで島で生活しました。島内に診療所があり、そこで患者さんを診ておられた先生に憧れたのがそもそものきっかけです。淡々とした語り口の先生だったのですが、話さなければならないことはしっかり話すところに、子ども心に「かっこいいな」と思ったことを覚えています。
内科、糖尿病内科を専門に選んだのはなぜですか?
どちらかといえば手先が器用なほうで、細かい作業も好きだったので、外科を考えたこともあります。しかし、腰を痛めたこともあり、長時間の手術などに対応が難しいと考えて、内科を選びました。医師になって1年目は京都大学の附属病院で経験を積み、2年目からは大津赤十字病院で診療を担当するようになりました。大津赤十字病院では、内科の中でもさまざまな領域を経験でき、幅広い疾患を通して内科の診療について多くを学ぶことができました。糖尿病について専門的に取り組むようになったのは、糖尿病内科の先生に誘っていただき、自分自身も興味のある疾患だったからです。
母校の大学院で研究にも取り組まれたと伺いました。
大津赤十字病院では、幅広い実践経験を積むことができましたが、忙しい毎日の中で学術的なことを追求するのは難しい環境でした。それで、京都大学医学部附属病院に戻って診療を続けながら、大学院に進学して研究に取り組むことにしたのです。大学病院なので、一般的な2型糖尿病の患者さんはもちろん、通常のクリニックでは管理が難しい患者さんを診ることも多く、糖尿病の診療についてより知識を深められました。一方、大学院では糖尿病のお薬などにも使われているインクレチンと呼ばれる腸管ホルモンの研究に取り組みました。市中の病院で実践的な経験を積み、大学病院でセオリーに則った診療と研究の両方を経験できたことは、医師としての大きな収穫になったと思います。
開業に至る経緯を教えてください。
以前この近くに眼科医院があり、私と中村先生は非常勤の医師として内科の診療を担当していました。その医院の先生がリタイアされることになり、継承を打診されたのが開業のきっかけです。私は診療に専念する事が好きでしたので、医院の運営まで、となると私だけではお受けすることはできなかったと思います。しかし、中村先生が運営の部分を受け持ってくださるというので、医院を移転継承するという形で開業しました。中村先生は、私より10歳くらい若いのですが、熱心に診療されるだけでなく、医院作りに関するさまざまなこともしっかりこなしてくださるので、とても信頼しています。現在も大学病院で診療されており、私が診ていた患者さんも安心してお任せできます。
患者と相談しながら治療を進める
どのような患者さんが来られますか?
開業したばかりなので、以前の医院に糖尿病の治療、管理のために通っておられた方が中心です。患者さんと接する際には、できるだけ押しつけにならないように伝えており、「この状態にはこの薬を使ってください」など一方的な指示は出しません。患者さんと相談しながら、納得いただける診療の提供をめざします。このため、とりわけ1回目の診療の際は丁寧に問診を行い、継続して通院されている方についても「最近はお変わりありませんか?」など言葉がけを行い、病気の状態や体調の変化を把握するように努めています。糖尿病以外の生活習慣病などの治療についても、必要な場合は薬を使いますが、基本的には患者さんとコミュニケーションを重ねて、できるだけお薬を使わない治療をめざすのが基本姿勢です。
一般的な内科の診療にも対応してもらえるのですね。
もちろんです。風邪をひいてしまった、おなかが痛いといった場合も、気軽に受診していただき、しっかり対応していくつもりです。ビジネス街の真ん中にあるクリニックなので、仕事を持つ方が受診しやすいように、夜の診療時間は19時半までに延長する試みなども実践しています。仕事帰りに寄れると、受診のハードルが下がりますからね。現在は週1回のみですが、状況を見ながら調整していきたいと思います。さらにウェブ予約システムも導入しているので、患者さんのスケジュールに合わせて受診していただきやすいのも利点です。
糖尿病の診療では生活改善が必要ですよね。
そうですね。ただ、当院の患者さんはご自身の状態や生活改善の必要性を理解されている方が多いので、あまり強く「生活を改めてください」などとは言いません。強く言われると、「そんなことは十分わかっているんだけど」とやる気をなくしてしまう方もおられるでしょうから、まずは、できそうなことから行う取り組みを提案します。いきなり大きな目標を示しても、「できない」「続かない」と自信喪失に陥りがちですが、一歩ずつなら継続しやすいのがメリットです。患者さんが生活改善のための取り組みを実践されて、成果が現れれば継続のためのモチベーションにもなるでしょうし、私も患者さんと一緒に成果を喜びながら治療を進めていきたいですね。
糖尿病の合併症を心配される方も多いと思います。
今後は、院内で合併症の診療に対応できる体制を整えたいと考えています。継承した医院が眼科のクリニックだったこともあり、診療に用いる器具などすべて引き継いでいるので、眼科の診療については、できるだけ早い時期に院内での対応をめざす予定です。一方、フットケアについては、しっかり足を診るためには時間がかかり、爪のケアなどについても専門的な技術や経験が必要です。このため、通常の診療を行いながら対応するのは難しく、積極的に受け入れている医療機関が少ないのが現状です。とはいえ、患者さんのニーズはとても高いので、将来的には院内で対応できるようにしたいですね。
何でも気軽に相談できるクリニックが目標
今後注力したい診療や疾患はありますか?
私の周りの人たちの中で、長引く咳に悩んでおられる方が多いなという印象を持っています。熱が出るなど顕著な症状があるわけではないのですが、慢性的に咳が続くという状態ですね。おそらくアレルギーが原因だと思うのですが、そうしたどの診療科、どこの医療機関に相談すればいいのかよくわからないといった症状についても、気軽に相談できるクリニックでありたいですね。
スタッフさんが自慢のクリニックだと伺いました。
継承した医院で働いておられた方や大学病院で長く働いておられた方などに来ていただき、本当に充実した体制が整えられたと思っています。内科・糖尿病内科の診療では、患者さんに対する看護師やスタッフの対応がとても大切なのですが、いつも明るく、しっかりと患者さんに寄り添った対応をしてもらえるので、とてもありがたく、信頼を寄せています。
先生のリフレッシュ方を教えてください。
本が好きで、読書をしていると幸せな気持ちになれます。散歩なども好きですが、気に入った本を読んでいる時が一番リラックスできますね。読書といっても難しい本を読んでいるわけではなく、ミステリーから詩集まで気になった本を手に取って読むのが私の楽しみ方です。
読者にメッセージをお願いします。
「おんじゅ(温樹)会」という名前からイメージしていただけるような、温かな雰囲気で気軽に受診していただきやすいクリニックをめざしています。「この程度のことで受診しても良いのかな?」と考えたり、「どこに相談すれば良いのかわからない」と迷ったりしたときも、遠慮なく相談にいらしてください。