佐藤 敏昭 院長の独自取材記事
津城山さとうクリニック
(津市/高茶屋駅)
最終更新日:2024/07/01
痛みやつらさに配慮した胃と大腸の内視鏡検査に注力する佐藤敏昭院長が、2024年春、商業施設1階に新規開業した「津城山さとうクリニック」。佐藤院長は大学卒業後、関東地方の総合病院に勤務し、胃がんや大腸がんや膵臓がんなどの手術や、早期の胃がんや大腸がんの内視鏡検査と治療を数多く行ってきた。その経験を生かしつつ、長く医師を続けることで近隣住民の健康を守りたいとの思いから開業を決意したという。全体が白でまとめられ落ち着いた雰囲気の院内には、さまざまな検査機器をそろえ、特に専門とする内視鏡は性能にこだわったものを採用し、早期発見、早期治療のための体制を整えている。近隣住民に気軽に相談してもらえるクリニックをめざしたいと話す佐藤院長に、クリニックへの期待や得意な治療についてじっくり話を聞いた。
(取材日2024年5月15日)
患者とともに考え、より良い治療方針を導き出す
開業されて間もないですが、その経緯を教えてください。
大学卒業後ずっと関東の病院で勤務していたのですが、親が高齢になりできるだけそばにいたいと考えるようになりました。そんな時、縁あって三重北医療センターいなべ総合病院で勤務させていただくお話があり、地元である三重県に帰ってきました。開業を決意した最大の理由は、長く医師を続けたいという希望からです。医師一人を育て上げるには、国としてもかなりの金額を投資しています。そんな中で医師になった私ができる恩返しを考えた時、医師として長く勤めて地域の医療に貢献することだろうと考え、開業の道を選びました。
さまざまな検査機器を導入されていらっしゃるんですね。
私の専門である胃と大腸の内視鏡は性能にこだわった機材を導入し、胃がんや大腸がんをはじめとした病気の早期発見・早期治療につなげたいと考えています。血液検査は白血球数や赤血球数、CRP、HbA1cなどは院内で解析し、尿検査は尿検査専用のトイレを設置。胸部と腹部のエックス線検査、超音波検査も行うことができます。特に胸部のエックス線検査については、AI技術を用いた病変検出のためのソフトウエアを導入し、診断のサポートに役立てています。他にも骨粗しょう症も内科的疾患と捉えられるので、骨密度を計測するためのアプリケーション導入や、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症を同時に診断するための機器も設置し、正確な診査診断ができるように機器も整えました。
「満足して帰ってもらう」ことを診療方針とされているそうですが、具体的に教えていただけますか?
診察後にモヤモヤが残ったまま帰宅した経験を、もしかしたら皆さん持っているかもしれません。当院は、患者さんにできるだけそんなきもちにならず、受診後にすっきりとした気持ちでクリニックを後にできるよう心がけています。そのために検査をしっかりと行い、治療方針はできるだけ明確でわかりやすい言葉で患者さんに伝えるようにしています。特に治療方針は医師から一方的に押しつけるのではなく、患者さんにまず投げかけて答えを聞き、キャッチボールをした上で組み立てていきます。例えば「こんな検査が必要ですがどうしますか?」と順序立てて説明し、患者さんと一緒に考え適切な答えを導き出していくようにしています。人により求める医療は違うので難しい面もありますが、日頃から勉強を続けスキルを磨く努力をしています。
忙しい人でも内視鏡検査を受けやすい工夫を
医師を志されたきっかけと、消化器外科を選ばれた理由を教えてください。
子どもの頃飼っていた猫がけがをしたことがあり、排便や排尿ができずとてもつらそうな姿を見て、病気やけがを治療できるようになりたいと思ったことを今でも覚えています。その時、命の大切さやそれを守ることの重要性を感じ、それが医師を志すきっかけになりました。消化器外科を選んだのは、どちらかというと自分には向いていない診療科を外して消去法で選んだ結果なのですが、今は消化器外科の道に進んで良かったと思っています。自分で技術を磨いていきたいと希望して外科を選びましたが、消化器外科の高難度の手術を行い、術中術後の管理をするには手技を理解するだけでは不十分で、内科の側面からも患者さんの全身の状態を理解することが重要です。そんな点からも、総合的な診療を行う消化器外科に魅力を感じ、選択しました。
内視鏡検査に注力され、患者さんが受けやすいような工夫をされているとお聞きしました。
内視鏡検査は怖い、痛いといったイメージがあると思うので、できるだけ皆さんが受診しやすい環境を整えるように努めました。当院では、患者さんの希望があれば鎮静剤を使った検査を行っています。胃と大腸の2つの内視鏡検査を同じ日に行うこともできます。事前に腸管洗浄剤を飲んでから来院していただき、まず胃の内視鏡検査を行い、その後大腸内視鏡検査を行います。患者さんはストレッチャーの上でずっと休んでいる状態で両方の検査ができるので、動く必要はありません。私たちが胃と大腸の内視鏡検査の機器を交換して行いますので、部屋の移動も不要なんです。検査のために2日も休めない方の時間的負担を減らすことができると思いますし、土曜日も内視鏡検査を行っていますので、平日はお仕事で忙しくされている方にもピッタリだと思います。
こちらのクリニックの大腸内視鏡検査について、もう少し詳しく教えてください。
大腸内視鏡検査は、医師の経験値によるところが大きい検査だと思います。私は総合病院で勤務していた頃、後輩医師の指導も担当していました。その時の内視鏡挿入時のリカバリーの経験が、自分自身の検査技術のスキルアップにつながったと感じています。早期がんの内視鏡治療も数多く携わってきたことも、当院での検査・診断に役立っていますね。当院では大腸の小さなポリープが内視鏡検査で見つかった場合は、切除手術も行っています。後出血にも備えて止血クリップを用意していますので、安全に配慮した検査のための体制を整えています。
気軽に相談できる、地域の入り口となるクリニック
地域のかかりつけ医としての、佐藤院長の思いをお聞かせください。
自分は消化器が専門だから呼吸器や循環器は診ないということではなく、当院を受診していただければ、どんな治療が必要なのか見極め、私ができることはしっかり行うように努めています。ですから、消化器疾患の検査や診療だけでなく、一般内科はもちろん、当院で可能な切り傷や擦り傷などの外科的処置にも対応しています。以前、救急医療にも携わっていたので、そういった経験も開業した今につながっていると思いますね。それぞれの症状をしっかりと診て、専門の医療機関に診てもらったほうが良いかどうかを適切に判断し紹介することも、私たちかかりつけ医の大切な役割の一つだと思います。
スタッフの皆さんとはどのように連携を取られていますか?
当院では、医師だけでなく看護師や受付といったスタッフが連携して患者さんの健康のために尽力しています。特にクリニックの入り口と出口で患者さんと接する受付の接遇については、丁寧にしっかり行ってもらうように伝えています。また、私の妻が看護師として当院で働いています。彼女は以前は大きな総合病院で看護部長を務めていたこともあり、職員間のコミュニケーションをうまく取りながら、クリニック全体をまとめてくれています。たくさんの女性スタッフが働いてくれているのですが、体調の変化や妊娠・出産といったライフイベントのことなど、男性の私にはなかなか相談しにくいことがたくさんあると思われる中、経験豊富な妻がスタッフフォローにも携わっていることに、たいへん心強く思っています。
最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。
「こんな症状の時、どの診療科を受診すればいいかわからない」という声をお聞きすることがありますが、そんな時に「あのクリニックに行けば」と思ってもらえる存在でありたいですね。地域全体を大きな一つの医療機関と考えた場合、私たちクリニックは一つの外来ブースにあたり、皆さんにとって医療の入り口の役割を担っていると思いますので、まずは気軽に相談してほしいです。胃がんや大腸がんは早期発見することで、内視鏡手術が適応できる可能性が高くなります。そのため定期的な検診の重要性もお伝えしていければと思います。当院はウェブや電話での予約可能ですが、予約なしでも受診できます。また患者さんの状態にもよりますが、胃の内視鏡検査は当日の申し込みでも可能な場合もありますので、お気軽にお問い合わせください。