張 宇 院長の独自取材記事
わらび内科・糖尿病クリニック
(川口市/蕨駅)
最終更新日:2026/10/15
JR京浜東北線の蕨駅東口から徒歩3分の「わらび内科・糖尿病クリニック」。糖尿病を専門とする張宇院長のもとには50代を中心に、40代、30代と働き世代も多く来院する。血糖値だけを見るのではなく、腹部超音波検査や血管の検査なども取り入れ、糖尿病の原因や合併症、背後に隠れた疾患まで見逃さないことを重視。また、患者の生活や希望に合わせて複数の治療法を提示し、納得して治療を受けられるよう丁寧な説明を心がける。一人ひとりに応じた診療を丁寧に行う中で、予約時間がずれ込む場合もあるという張院長に、現在の診療や患者への思いを聞いた。
(取材日2026年9月15日)
働く世代の糖尿病診療を支える
これまでのご経歴と開業までの経緯を教えてください。

中国の大学の医学部を卒業後、研究のために来日し、大学院で研究職に就いていました。その後、日本の医師免許を取得し、大規模病院や療養型病院などで勤務しました。糖尿病を専門にしたきっかけは、研修医時代にさまざまな診療科を経験する中で、心筋梗塞や脳梗塞を発症した方に血糖値の高いケースが多く、また血糖値が高いために手術を延期せざるを得ない方もいることを知ったことです。もっと早い段階から血糖値を管理できれば、その後に起こる病気を減らせるのではないかと考えるようになりました。勤務医として糖尿病診療を続ける中で、患者さんにもっと身近な場所で寄り添い、合併症や重症化を防ぐための診療を行いたいという思いが強くなり、開業しました。
どのような患者さんが多いのでしょうか。
開業当初に比べて患者さんは増えており、中でも糖尿病で受診される方が多いです。年代では50代が最も多く、次いで40代、30代と、働く世代が目立ちます。健康診査で血糖値の異常を指摘されたことをきっかけに来院したり、ほかの診療科や医療機関から紹介を受けたりと、受診の経緯はさまざまですね。高齢の患者さんもいらっしゃいますが、土曜日の午後にも診療時間を設け、平日も火曜と金曜の午後以外は診療していることも、仕事をしながら通院する方の受診につながっているのかもしれません。2024年4月の開業から、こうして幅広い患者さんに通っていただく中で、微力ながら地域のお役に立てているのではないかと感じています。
現在はどのような診療に対応していますか。

専門である糖尿病を中心に、高血圧や脂質異常症などの生活習慣病、一般内科まで幅広く診ています。風邪や発熱など、日常的な体調不良で受診される方も少なくありません。また、私自身が中国出身ですので、中国語での相談にも対応しています。高血圧の場合も、数値だけを見て薬を調整するのではなく、その背景に別の病気が隠れていないかを考え、必要に応じて二次性高血圧のスクリーニングを行います。ただ、クリニックだけですべてを完結させることが良いとは思っていません。呼吸器疾患や甲状腺疾患など、より専門的な診療が必要だと判断した場合には、その分野の医療機関をご紹介しています。大切なのは当院で診続けることではなく、その方の病気に合った場所で、より良い医療を受けてもらうことだと考えています。
病気を見落とさないために、全身に目を向ける
糖尿病診療で重視していることや、検査について教えてください。

糖尿病では血糖値だけでなく、全身を診ることが重要です。当院では血液検査、尿検査、超音波検査、心電図、動脈硬化の検査などに対応しています。血糖値は最短で採血当日に結果がわかるほか、指先から少量の血液を採る簡易検査も可能です。また、頸動脈や足の血管も確認し、CTやMRI、胃・大腸の内視鏡検査が必要な場合は連携する医療機関をご紹介します。さらに、糖尿病の背景に別の病気が隠れていないかを見るため、腹部超音波検査も重視しています。肝臓がんや大腸がんが隠れている可能性もあるため、腹部画像検査や便潜血検査の受診歴、排便の状態なども確認しています。合併症の予防では特に目への注意が欠かせず、糖尿病網膜症のパンフレットも使いながら眼科受診を促しています。悪くなってから治療するのではなく、病気をできるだけ早く見つけることを大切にしています。
入院が難しい患者さんには、どのように対応しますか。
血糖値がかなり高く、本来なら入院を検討する状態でも、「仕事があるから入院できない」「どうしても入院したくない」という方はいらっしゃるものです。その場合、体の状態をしっかり確認した上で、可能であれば外来でインスリンを導入することも検討します。また、教育入院のように短期間ですべての検査をまとめて行うことはできませんが、糖尿病に関連する検査の多くは院内でできますので、必要なものから少しずつ進めていくことも可能です。ただし、状態を見て入院しないと危険だと判断した場合は別です。その時は責任を持って病院へ紹介します。患者さんの生活や希望にはできるだけ寄り添いたいですが、安全を守ることが前提です。
睡眠時無呼吸症候群の診療にも力を入れているそうですね。

高血圧のコントロールがなかなかうまくいかない場合、その原因の一つとして睡眠時無呼吸症候群を疑うことがあります。いびきや日中の眠気、起床時の頭痛などの症状を確認し、疑わしい場合には、まず自宅で行える簡易検査をご案内。検査機器を一晩装着して返送していただき、結果は当院で説明します。睡眠時無呼吸症候群は血圧だけでなく心臓にも負担をかけるため、早めに見つけて治療につなげることが大切です。さらに詳しい検査が必要な場合は、より確実にデータを取るため入院での精密検査をお勧めしていますが、難しい方には自宅で行う方法もあります。治療に関しては、機器の装着が合わないケースも。その場合は睡眠を専門とする医療機関をご紹介し、別の治療法を検討してもらいます。検査を希望される方は以前より増えてきましたね。
納得できる治療を一緒に考える
患者さんと接する上で、大切にしていることを教えてください。

患者さんに納得して治療を受けてもらうことを大切にしています。糖尿病の薬は種類が多く、選択肢がいくつかある場合には、それぞれのメリットやデメリット、副作用まできちんと説明します。その上で、患者さんが気になっていることや生活のリズムも伺い、健康にとって良い治療であることを前提に、できる範囲でその方に合う方法を一緒に考えていきます。また、説明だけで終わらせず、身体診察もしっかり行うようにしています。状態に変化があれば、原因を確かめないまま診療を終えるのは怖いですからね。「何かを見落としたくない」という思いは常にあります。必要に応じて専門の医療機関へつなぐことも含め、その方にとってより良い医療を選ぶことを心がけています。
予約時間がずれ込むことがあるそうですね。
当院では30分の1枠につき3人の予約を受けつけ、来院された順に診ます。1人10分程度を想定していますが、初診の方や状態に変化がある方では確認することが増え、質問への回答や薬の選択肢の説明に時間を要することもあります。また、予約外で来院された方の中には、すぐに対応が必要なケースも。点滴や紹介状の作成、場合によっては救急搬送が必要となり、そのため後の診療時間がずれ込むことが想定されます。予約枠を減らせば待ち時間は短くなるかもしれませんが、その分予約が取りにくくなるという課題もあります。お待たせすることは申し訳なく思っていますが、時間が押しているからといって診療を簡単に済ませるのではなく、一人ひとりに必要な診察や説明は省かないようにしています。
読者へのメッセージをお願いします。

専門は糖尿病ですが、生活習慣病や一般内科も含め、地域の方が困った時に頼っていただけるクリニックでありたいと思っています。発熱のある方には別の待機スペースを設け、必要に応じて空いている部屋も活用しています。また、マスクを忘れた方には受付で差し上げるなど、院内で安心して過ごせる環境づくりにも努めています。今後は、患者さん自身に病気や体の状態を理解してもらう機会を増やしたいですね。健診にもさらに力を入れ、病気の早期発見につなげたいと考えています。現在は、医学的に治療が必要な方を対象とした肥満症治療も準備中です。まずは保険診療が受けられる医療機関をご案内し、通院が難しい方の受け皿として自費診療を検討しています。当院で対応できることはしっかり診て、必要なら専門医療機関につなぎながら、健康な生活を支えていきたいですね。

