小玉 隆裕 院長の独自取材記事
スイカキッズクリニック
(千葉市美浜区/海浜幕張駅)
最終更新日:2025/06/20

JR京葉線海浜幕張駅より徒歩約7分。新興住宅地として人気のエリアにある、幕張ベイタウンプラザ3階に入るのが「スイカキッズクリニック」だ。エントランス横の壁面にはスイカやキリンのカラフルなイラストが配され、クリニック内随所にもスイカのモチーフが散りばめられていて、子どものみならず大人も思わず「かわいい」と声を上げたくなる。院長の小玉隆裕先生は千葉市立海浜病院小児科の主任医長を勤めた、小児医療のスペシャリスト。幅広い診療を行う中でも、感染症を専門としている。2024年に開業して以来、かかりつけ医としてさまざまな子どもたちと向き合っている。そんな小玉院長に小児医療や地域の子どもたちへの思いについて聞いた。
(取材日2025年5月7日)
子どもだけでなく保護者の不安にも寄り添う
開業して1年たちますが、どのようなご相談が多いでしょうか。

発熱や嘔吐など、いわゆる風邪症状が多いですが、アトピー性皮膚炎や湿疹など皮膚疾患のご相談もとても多いですね。子どもたちの間で次々と流行する感染症を疑って相談に来られる患者さんも多いです。手足口病、ヘルパンギーナや溶連菌感染症、マイコプラズマ肺炎、インフルエンザと、季節ごとにはやる疾患が異なります。今は、百日咳がはやっているようですが、当クリニックではまだおられないですね。
患者さんの層などこの地域ならではの特徴は何かありますか。
外国人の方が意外と多い印象です。中国の方を中心に、他に韓国の方や欧米の方、東南アジアの方、さらにご夫婦で国が異なる方もおられます。海浜幕張には大型複合施設がありますので、そこで開かれるイベントなどに来た旅行中の方や、近くにサッカー合宿に来たお子さんが来られることもあります。お父さんがお子さんを連れてくるケースも多いですよ。お母さんに言われたので連れてきただけで何もわからない、というのではなく、皆さんお子さんのことをきちんと見ていてよくわかっておられる印象です。
患者さんに接する際はどのようなことを大切にしていますか。

お子さんにはできるだけ恐怖感を与えず、リラックスしてもらえたらと思っています。リラックスまでは難しくても、泣かせずに診察できればなあ、といつも考えていますね。あとは、お子さんを診るだけでなく、保護者の方の不安や疑問にも丁寧に応えられるよう心がけています。受診の原因となった病気やケガに関する質問はもちろんのこと「うちの子、まだ歩かないので心配です」とか「言葉が遅いような気がするんです」のような悩みも話していただけたら、可能な限りお答えします。私のアドバイスで、少しでも気が楽になって帰っていただけたら良いですね。説明する際は、なるべく専門用語は使わずにわかりやすい言葉でお伝えするようにしています。そうやって徐々に、地域の子育て世代の方々と信頼関係を構築していけたらうれしいですね。
子どもたちを見守る「町のお医者さん」をめざして
こちらに開業されるまでの経緯を教えてください。

千葉大学医学部を卒業後、千葉県こども病院や千葉市立海浜病院の小児科で経験を積んできました。私は、影響を受けた漫画に出てくるような天才外科医師ではありません。どちらかというとその漫画に登場する「町のお医者さん」に憧れがあったのですが、当時は独立や開業についての具体的なビジョンはまだ持っていませんでした。そんな時、千葉市立海浜病院小児科の主任医長として勤務していた私に、先に開業していた大学時代の先輩から「うちの隣に小児科をオープンしないか」と声をかけられたのです。看護師をしていた妻も「町のお医者さんになりたいって言ってたじゃない。やってみたら?」と背中を押してくれて開業の運びとなりました。
クリニックのお名前も内装もかわいらしいですね。
クリニックの名前は、妻の「小玉といえばスイカでしょ」という鶴の一声で決まりました。特にスイカが好きというわけではなかったのですが(笑)。「スイカキッズクリニック」という響きは気に入っていますし、スイカのイラストって、なんだかワクワクして元気をくれますよね。当クリニックに来ていただくと、時計や診察室の番号など、至るところにスイカのモチーフを見つけられると思います。「スイカだー!」と大喜びする子や、待合室にあるスイカのクッションが気に入って、抱えたまま移動する子など、いろいろなリアクションがあってこちらも楽しいですね。
これまで小児医療の難しさを感じたことは? そんな時どのように対応してきましたか?

「泣いていると所見が取れない」ことです(笑)。触診時に泣けば「ここが痛いのかもしれない」などと推測できることもありますが、例えば腹痛が主訴のお子さんがずっと泣いていると、おなかが張っているのか、泣いているから腹筋に力が入っているだけなのかわからなくて悩んでしまうケースもあるんですよね。ですから、泣いてしまって診察ができない場合には、看護師にバトンタッチしてもらうことも考える必要があります。そうすると泣きやむことはしょっちゅうありました(笑)。すべての面で適切なサポートをしてくれる看護師には頭が上がりません。予防接種の説明やスキンケアの指導など、それぞれがスペシャリストであり、当院の看護師にも全幅の信頼を寄せています。「うちの看護師は優秀です」と胸を張って言えますね。
かかりつけとしてどんなことでも気軽に相談を
先生が医師を志したきっかけはどのようなことだったのでしょう。

父が獣医師だったんです。自宅で開業していたので、文字どおり父の背中を見て育ちました。病気などでつらそうにしていた動物たちの診療にあたる父の姿を見て、「自分も命に関わる仕事がしたい」と思うようになりました。ちょうどその頃天才的な技術を持つ外科医師の漫画がはやっていた影響も大きいかもしれません。小学校の卒業アルバムに「将来の夢はお医者さんになること」と書き、そこからほとんどぶれることなく医師になりました。小児科を選択した理由は「子どもが好きだから」。こちらも迷いはありませんでしたね。
お休みの日はどう過ごしていますか?
家族で過ごすことが多いです。子どもが3人いるのですが、私自身がヒーロー物や戦隊物のマニアなので(笑)、子どもとも一緒に楽しんでいます。特に小学2年生の次男とは一緒にヒーローショーを見に行ったり、プラモデルを作ったりしています。先日はSFロボットアニメ映画を観に行きました。まだ難しいかなとも思いましたが、子どもなりに理解しているものですね。中学2年生と小学6年生の長男・長女は学校や塾などで忙しそうなので、時々勉強を見てあげています。「頑張っているなあ」と思いますね。そういう意味では、私自身も子育て真っ最中です。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

臨床の質を落とさずに患者さんお一人お一人に満足していただける診療を続けるとともに、もう少しスピードアップできればと思っています。食物アレルギーのお子さんも多いですから、ここで食物アレルギーの負荷試験なども行えるよう体制を整えていきたいと考えています。この地域はさらに開発が進み、高層マンションや小学校も新しくできると聞いています。そんなお子さんたちの健やかな成長をこれからもずっと見守っていきたいと思います。開業当初は小さかったお子さんが1年たつとぐっと成長して、大きくなったなあと実感します。子どもたちの成長を見ていけるのも小児科ならではのことです。地域の方々には、かかりつけとして、どんなことでも相談していただけたらと思います。病気やケガなどだけでなく、おねしょやダニアレルギーなどの場合もお力になれることがあると思いますので、「ちょっと話を聞いてみよう」くらいの気持ちで気軽にいらしてください。