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北川 千恵 院長の独自取材記事

ちえ内科クリニック

(世田谷区/三軒茶屋駅)

最終更新日:2023/05/10

北川千恵院長 ちえ内科クリニック main

2011年の開業から10年以上がたった「ちえ内科クリニック」。風邪や胃腸炎などの日常的な不調から、バセドウ病や橋本病に代表される内分泌疾患、糖尿病をはじめとした生活習慣病、女性の更年期まで、幅広い年代のさまざまな症状の患者が訪れる地域の駆け込み寺だ。院長の北川千恵先生は、「患者さんとともに歩み、患者さんに支えられた10年だった」とこれまでの道のりを振り返る。地域の人の健康を守りたいとの思いで開業した北川先生と患者との関係性は、この10年の間に「互いに守り、守られる」特別な関係性へと昇華していったようだ。来てくれてありがとう、話してくれてありがとう――。接する人の心に語りかけながら、北川先生は患者とともに次の10年を紡いでいく。

(取材日2023年3月16日)

医療で患者を守り、優しさで患者に守られている

開業から10年以上がたちましたね。

北川千恵院長 ちえ内科クリニック1

大学病院や市中病院、町のクリニックなどで勤務医をした後、2011年に当院を開業しました。内科の医師として地域医療に貢献したいとずっと思っていましたから、自分のクリニックを持つことは一つの目標だったんです。私は生まれも育ちも世田谷で、三軒茶屋も慣れ親しんだ町です。ここに根を下ろして地域の人の健康を守りたい、そんな思いで開業したのを覚えています。10年たって思うのは、私が患者さんを守るだけでなく、患者さんも私を守ってくれているのだということ。特に新型感染症の流行時には、発熱に苦しみながら私をねぎらってくれる方、落ち着いた頃を見計らって来院して体調を心配してくれる方など、皆さんの優しさが身にしみました。

幅広く診療されていますが、どんな患者さんが目立ちますか?

北川千恵院長 ちえ内科クリニック2

今や、日本人の4人に1人が糖尿病、もしくはその予備軍といわれています。会社の健診や人間ドックでリスクを指摘された方もいるのではないでしょうか。当院でも、予備軍を含めた糖尿病の生活習慣指導や治療を行うことが増えてきました。食事と運動についてアドバイスをし、それで改善が見られなければ投薬というように、段階を踏みながら対応していきます。生活習慣病の治療は継続してこそ結果が期待できるものですから、ライフスタイルに組み込みやすいアドバイスを心がけていますね。在宅勤務による運動不足が懸念されていますが、当院は逆に「リモートワークで時間に自由が利くようになったから」とこまめに受診される方が増えている印象です。

一般内科から内分泌疾患、更年期まで幅広く診療

先生のご専門である内分泌疾患についてはいかがですか?

北川千恵院長 ちえ内科クリニック3

風邪や胃腸炎などの疾患の患者さんが目立ちますが、内分泌疾患の患者さんもたくさんいらっしゃいます。内分泌疾患は、ホルモンの分泌異常によって起こる疾患の総称で、ホルモンの分泌が過剰になるバセドウ病、反対に分泌が不足する橋本病がよく知られています。自分の症状をインターネットで調べて来られる方や、原因はわからないけど体調が悪いという方が多いですね。バセドウ病は放っておくと動悸が激しくなったり、ひどくなると心不全を引き起こしたりする場合も。橋本病は高コレステロール血症やうつ病と診断されてしまうこともあるため注意が必要です。心療内科でうつ病の治療をしていた方が実は甲状腺疾患であることは意外と多いんです。

では、うつ病治療が奏功しなければ、橋本病を疑うことも大切ですね。

そうですね。なかなか結果が出ない場合は、別の角度からのアプローチとして検討してみることをお勧めします。といっても、最近はうつ病を診ている先生方にも橋本病の知識をお持ちの方が増え、紹介状を書いて患者さんを送ってくださるケースが増えました。当院の近隣のクリニックとは、とても良い連携ができています。

更年期のご相談をする方も多いと聞きました。

北川千恵院長 ちえ内科クリニック4

内分泌疾患と同じく、更年期障害もホルモンの病気です。そうした関連性と、「女性医師になら話せるかもしれない」との思いから意を決して来られる方も多いようです。男性医師にはデリケートな症状を伝えにくいこともあるでしょうから、なんでも相談していただきたいですね。よく「こんなこと聞いてはいけないかもしれないけど」「こんな話をしてすみません」とおっしゃる患者さんがいるのですが、言ってはいけないことなんてないんですよ、とお伝えしたいです。私には医師の肩書がありますが、患者さんと同じ人間であり、上も下もありません。どうか遠慮なく話をしに来てください。

内分泌性の高血圧について教えてください。

副腎から「アルドステロン」というホルモンが過剰に分泌されることによって高血圧が引き起こされる原発性アルドステロン症が男女問わず増えていると感じます。副腎の腫瘍が原因の場合もあり、治療せずに放置していると心疾患や脳疾患、腎臓疾患のリスクが通常の高血圧以上に高まるため注意が必要です。健康診断で初めて高血圧を指摘されたら、原発性アルドステロン症を疑って専門の医療機関を受診することをお勧めします。当院では、原因を見極めた上で、手術が必要な場合などは必要に応じてしかるべき医療機関へ速やかにご紹介します。

自分で線引きをせず、なんでも打ち明けてほしい

診療のモットーを教えてください。

北川千恵院長 ちえ内科クリニック5

幼稚園から高校までずっとカトリック系の学校で、「隣人を愛せよ」と教わったことが、今も根っこにあります。ピアノや英語を習っていた教会のシスターがアフリカ西部にボランティアに行っていて、その方を通してオルガンや鉛筆、洋服などを現地の子に送っていたことは、奉仕の精神を身につけるきっかけになりました。医師の仕事はその延長ですね。インドの貧しい人たちへの奉仕活動に生涯を捧げ、世界中の多くの人たちに惜しまれながら亡くなったシスターの存在も、私にとってはとても大きいです。人のために働く、つらい思いをしている人を助ける。医師の仕事は私にとって天職です。

お忙しい毎日ですが、ご自身の健康管理はどのようになさっていますか?

生活習慣病の方に、「継続が第一です」と運動をお勧めしている手前、自分も何かやらねばとランニングを始めました。もう5年続いています。10キロも20キロも走るなんて絶対に無理だと思っていましたが、今では朝や夜、ゆっくりですが10キロほど走っていて、いつかはレースにも出てみたいと考えるようになりました。私もそうですが、仕事が忙しい方の場合、食事も運動も完璧にするのはなかなか難しいもの。できるだけ日常生活の制限をせずに済み、生活の質を損なわない程度に運動と食事を見直していけるといいですね。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

北川千恵院長 ちえ内科クリニック6

甲状腺疾患は「疲れているだけかな?」と思うような症状も多く、発見が遅れがちです。不調を感じたらすぐにいらしてください。妊娠出産を機に発症することもありますが、当院ならベビーカーのまま入れますし、ネット予約も可能です。赤ちゃん連れでも気軽に受診していただけると思います。また、誰しも、心身ともに弱ってしまう時期はあるものです。人間の肉体と感情はつながっていますから、連動するのは自然なことなんですよ。これは話していいかな? この話はしないほうがいいかな? などと線引きをせず、心の悩みも打ち明けてみてください。話を聞いて、解決の手立てを一緒に探していけたらうれしいです。これからの10年も、これまでと変わらず、患者さんとともに支え合いながら歩いていきたいですね。

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