生活習慣病は30代こそ注意を
早めの対策が健康寿命の延伸の鍵
MY内科クリニックせんげん台
(越谷市/せんげん台駅)
最終更新日:2025/08/21
- 保険診療
生活習慣病は自分にはまだ関係ない。そんな油断をしている30代も多いだろう。しかし、実際のところ健診で指摘を受けることが増える年代でもある。もし、少しでも気になる項目があれば「できるだけ早く医師に相談してほしい」と注意を呼びかけるのが「MY内科クリニックせんげん台」の院長を務める末吉剛(すえよし・ごう)先生だ。東京慈恵会医科大学の糖尿病・代謝・内分泌内科に長年勤務し、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を診てきた末吉院長。初期段階では自覚症状がない生活習慣病を放置し重症化した例を数多く知るからこそ、早期発見・早期治療の大切さを痛感している。将来の健康寿命を延ばすため、30代からできることは何なのか、末吉院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年7月8日)
目次
生活習慣病は健診結果を放置せずに予備軍のうちからの対策が大事
- Q生活習慣病とはどのような病気なのでしょうか。
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A
▲患者が落ち着いて検査を受けられるようスタッフの気遣いも細か
生活習慣病には糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症などがあります。いずれも生活習慣病という名称から間違った生活習慣だけが原因のように誤解されがちですが、遺伝的因子なども大きく関与している病気です。かなり進行するまで自覚症状がないため、風邪で受診した際にたまたま見つかる例も少なくありません。血液検査をしてみたら肝臓の機能が落ちていて、腹部エコーで脂肪肝を確認。脂肪肝に併存している疾患がないか調べてみたら糖尿病だった……というように芋づる式に複数の疾患が見つかる場合もあります。いずれにせよ、症状がない段階からいかに早期発見できるかが重要です。
- Q生活習慣病になりやすいタイプについて教えてください。
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A
▲安心して受診できるような雰囲気に
生活習慣病の家族歴があるならば、遺伝的因子を持っている可能性があります。また生活習慣の中でも「食事・運動・睡眠」のいずれかに問題があれば、発症の引き金にもなりかねません。遺伝的因子と間違った生活習慣が重なれば、極端な例では小学生でも2型糖尿病を発症します。小児糖尿病は基本的には自己免疫疾患である1型糖尿とされてきましたが、生活習慣病である2型糖尿病の発症率も大差ないことがわかってきました。しかし、それは全体から見れば少数例で、生活習慣病の多くは30代以降に発症します。もし、健診で生活習慣病に関する項目が少しでも引っかかったら、できるだけ早く医師に相談するようにしてください。
- Q受診を先延ばしにするリスクを知りたいです。
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A
▲パンフレットなどを用いて丁寧な説明を心がけている
生活習慣病には予備軍といわれる段階があります。例えば、耐糖能異常という糖尿病予備軍の状態を経て糖尿病に至るというプロセスがあるんですね。生活習慣病は心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化性疾患の合併症を引き起こしやすいのが怖いところです。実は予備軍の時から動脈硬化性疾患のリスクは高くなっているので、決しておろそかにできません。いずれも命を取り留めたとしても生活の質を著しく落とす疾患です。脳梗塞からの認知症など二次的、三次的な問題を起こすこともあります。放置したままでは30代でこういった状況を引き起こすケースもあるので、早めにクリニックでの検査や治療に進むようにしてください。
- Qこちらのクリニックでの検査や治療についてお聞かせください。
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A
▲診察では、患者の生活背景にも配慮する
例えば、高血圧ならば合併症である動脈硬化を起こしていないか頸動脈エコーで検査をします。血圧が高い状態が続けば心臓に負担がかかり心筋梗塞を起こすことにもなりかねません、心筋梗塞にまで至らなくても心臓の機能が低下した心不全になっていないかどうか心エコーで診ていきます。いずれも熟練の臨床検査技師が担当しているのが当院の特色です。治療としては、まずは食事や運動を見直していきます。肥満も高血圧症を発症させる誘引の一つですが、体重を落とすだけで血圧が下がる方もいます。必要に応じて投薬治療も行いますが、薬だけではなく食事や運動にも引き続き注意していかなければなりません。
- Q生活習慣病は定期的な通院が欠かせないのですね。
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A
▲院長は日本内科学会総合内科専門医であり、内分泌疾患が専門だ
自覚症状に乏しい生活習慣病は、患者さんが定期的な通院へのモチベーションを維持しにくくて当然です。だからこそ、当院では毎回血液検査を行い、少しでも良くなっている数値があればともに喜び寄り添うようにしています。血液検査の結果がすぐに院内でわかる検査機器を導入しているからこそできることです。例えば、糖尿病で血糖値だけしか見ないということはあり得ません。どんなに血糖値が改善されてもほかの原因で心筋梗塞や脳梗塞を引き起こす例もあるので、トータルで診ていくことを大事にしています。どの患者さんも生活改善のために何かしら努力をしているので、そこを見つけて励ませるように、よくお話を聞くようにも心がけていますね。

