子どもの腹痛は、腹部エコー検査で
迅速かつ適切な診断を
段原こどもクリニック
(広島市南区/段原一丁目駅)
最終更新日:2024/07/05
- 保険診療
小児の腹痛の原因はさまざまで、中には重篤な疾患が隠れていることもある。その診断に有用なのが、超音波を腹部に当て、臓器から反射された音波を画像化する腹部エコー検査だ。「聴診器のようにエコー検査機器を使用し、診断と治療に役立てます」と語るのは、「段原こどもクリニック」の藤井祥子院長。同院が導入している腹部エコー検査機器は、体に当てる部分の機器を取り替えれば腹部だけでなく、頭部、心臓、泌尿器なども検査できるという。さらに患者への負担もほとんどなく、画像を見せながら説明することで保護者の不安も解消されるよう配慮する。迅速で適切な診断のため腹部エコー検査は欠かせないという藤井院長に、検査の特徴やメリットなどを聞いた。
(取材日2024年3月18日/情報更新日2024年4月8日)
目次
腹部エコー検査は多くの情報を得られ、患者への負担も少ない
- Q子どもが腹痛の場合、どのような病気が考えられますか?
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A
最も頻度が高いのは胃腸炎と便秘です。それらが合併している病態もありますし、便秘だと思ったら別の原因があったというケースも考えられます。子どもは症状をうまく伝えられないので、まずは診察室に入ってきた時の様子を観察し、姿勢や押さえている箇所をチェックします。さらに、お母さんから、どのような症状か、いつから痛がっているのかの説明を聞き、腹部を触診して痛みの場所や性質を確認します。まれにアレルギー性紫斑病からの腹痛であったり、さらにまれには心臓系疾患が原因となることもあります。また、精巣捻転や卵巣の問題の可能性もあります。このように大きな病気が隠れているかもしれませんので、早めの受診をお勧めします。
- Q診断の精密性を高めるためにどのようなことを心がけていますか?
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A
腹部はもちろん、全身を診るようにしています。また、当院では診断には腹部エコー検査を活用します。腹部エコーは、腸管を見るのに有用で、蠕動運動をリアルタイムで見られるという利点があります。腹部エコーといっても、腸だけを検査するのではありません。症状を聞いても原因がはっきりとわからない場合は、心臓から腎臓や膵臓、肝臓、それらの血管、下腹部の生殖器までを確認していきます。ただ当てるだけでなく、圧迫したり、解除したりして様子を観察。同時に、臓器が正常の位置にあるか、動きは正常か、血流が正しく保たれているかなどをチェックします。
- Qどのような場合に腹部エコー検査を行うのでしょうか?
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A
腹部エコー検査をするのは、病気の原因がわからないとき、症状から腹部の疾患が疑われるとき、そして、お母さんの不安が強いときです。腹部エコー検査は、映像を見てもらいながら説明するので、わかりやすく、納得しやすいのが特徴です。子どもが病気になると、お母さんは心配でたまらなくなります。そんなとき、画面を見てお母さんと情報を共有しながら説明することで、「本当かな」という不安の解消にもつながると思います。
- Q腹部エコー検査のメリットについて教えてください。
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A
腹部エコー検査は、多くの情報が得られるとともに、患者さんへの負担が少ない検査です。被ばくもなく、検査のために注射をしたり、長時間じっとしている必要もありません。小さな子どもの場合、お母さんに抱っこされた状態でも可能ですし、動いても大丈夫です。「別室で検査をします」というと、つい緊張してしまうため、当院ではベッドサイドに検査機器が置いてあります。診療の流れの中で、聴診器で心音を聴くのと同じくらい自然に検査できるように体制を整えています。
- Q貴院で腹部エコー検査をする際の特徴があれば教えてください。
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A
適切な診断のためには画像が良いことが重要なので、先端の機器を導入しました。また、体に当てる部分であるプローブは腹部だけでなく、大人用と子ども用がある心臓、精巣やリンパ節、皮膚の皮下腫瘍も判定できるリニア端子などをそろえています。子どもには「大丈夫だよ」と優しく言って、実際にプローブを触ってもらったりします。ゼリーを塗るときは「あなたはケーキだよ」と説明するんです。お母さんに声かけするのも大切ですね。「お母さんも、この検査をしたけど、大丈夫だったよね」「大丈夫でした」というやり取りをすると、それを聞いている子どもは怖がらなくなると思うんです。