藤井 祥子 院長の独自取材記事
段原こどもクリニック
(広島市南区/段原一丁目駅)
最終更新日:2026/05/11
学校・病院・公園などの充実した子育て環境が整い、ファミリー層に人気の高い広島市南区の段原地区。2024年4月に開業した「段原こどもクリニック」は、たくさんの子どもや保護者が頼れる地域のかかりつけ医だ。「お子さんや親御さんが安心できるように、エコーなどを活用した『目に見える診療』を大切にしています」とほほ笑むのは、院長の藤井祥子(ふじい・さちこ)先生。これまで総合病院などで研鑽を積んできた日本小児科学会小児科専門医で、エコー検査や循環器疾患などの診療経験が豊富。近年は先進のモストグラフ(呼吸抵抗検査)と遠隔モニタリングが可能な心電計を導入し、質の高い診療につながるよう努力している。「小児科全般を幅広く勉強してきました」と穏やかに語る藤井院長に、診療方針や医療設備などについて話を聞いた。
(取材日2025年4月18日/再取材日2026年4月14日)
エコー検査など「見える診療」で、わかりやすさを重視
クリニックの特徴を教えてください。

当院では一般小児科をはじめ、小児循環器疾患や小児アレルギー疾患の診療に対応し、西洋医学では対応の難しい症状には漢方も取り入れています。漢方薬は、同じ風邪でも熱や咳、痰など細かな症状に合わせて処方できることが利点ですね。また、予防接種では、感染症の子どもがいない時間帯を設けています。他にも、院内感染症対策としてパーティションや自動消毒器を設置し、椅子の配置も工夫しました。ちなみに、院内は自然光があふれる明るい雰囲気です。子どもにはなるべく自然に近い環境で成長してほしいという思いから、デジタル機器やおもちゃなどは置いていません。待合スペースは障害物が少なく、安心できる距離を取れるよう設計しています。
小児科医として心がけていることは何でしょう?
子どもは「昨日は大丈夫だったのに、翌日には症状が急変する」といったことがあるので、できるだけこまめに診てあげたいと思っています。そのためには、安心して通いやすい雰囲気を大切にしたいですね。当院のスタッフには好きな色の制服を選んでもらっているので医療機関らしくないですし、私は背が小さいので子どもも怖がりにくいんです。また、症状の軽減はもちろん、親御さんに安心してもらえるように、適切な診断と丁寧な説明を心がけています。例えば、腹部エコー検査では内臓の状態をリアルタイムで見て共有しながら親御さんに説明できますし、親御さんの心配を解消するのにとても役に立つんです。人間は先が見えると安心できますから。もちろん、子どもにも、どういう状態なのかわかりやすく説明するようにしています。
こちらでは、どのような検査に対応されていますか?

乳児健診をはじめ、私の専門は循環器なので、心臓の精密検査も行っています。幼稚園や学校の健診で心雑音などの指摘があった場合、当院で詳しい検査が可能です。新入学生の時には心電図検査がありますが、そこで不整脈が見つかった場合も、当院で精密検査ができます。他にも、生まれつき心臓の疾患があって、大きな病院で診るほどではないけれど定期的な検査が必要な場合や、川崎病の後の冠動脈のフォローなども対応可能です。インフルエンザや溶連菌、新型コロナウイルスを判定するためのPCR検査の機器も導入しています。近年は、先進のモストグラフと遠隔モニタリングが可能な心電計も採用しました。
先進の医療機器を活用し、皆が安心できる診療をめざす
新たに心電計を導入された背景をお聞かせください。

開業して数年がたち、重症の患者さんがいらっしゃることも考えられます。重症の場合は小さな変化から分単位で悪化していくケースは珍しくありません。私の知らないところで症状が悪化する恐れもありますし、急変への備えが必要だと考えました。そこで、遠隔でもリアルタイムで心拍や心電図を確認し、小さな変化を瞬時にとらえることができるよう心電計を導入したんです。これにより常にモニタリングができる状態になりましたし、親御さんはもちろん、私やスタッフの安心にもつながります。当院ではアレルギーの負荷試験も行っていますが、その間も心電計を活用して検査に役立てています。
モストグラフについても教えてください。
喘息やアレルギーを疑って来院された親御さんから「この咳は喘息ですか」といった質問をいただくことがあります。聴診では私だけしかわかりませんから、根拠を持って親御さんに説明できるものを探したところ、モストグラフにたどり着きました。気道の炎症や狭まりなどをカラーのグラフで可視化できますし、喘息の診断や治療の経過などの説明に役立てられます。ただ薬を続けるのではなく、状態をしっかり把握した上で治療を選択できるのがメリットですね。なお、一般的な呼吸機能検査のように、頑張って息を吐いたり、吸ったりする必要はありません。口にくわえて普通に息をするだけで肺の状態把握につながりますし、小さな子どもにも負担は少ないはずです。
セカンドオピニオンにも対応されているとか?

遠くにお住まいの患者さんが「ずっとおなかが痛いのが治らず、いろいろな病院に通った」とおっしゃっていて、インターネットで調べて当院に来てくださったんです。子どものためには努力を惜しまない親御さんの愛を感じるとともに、私もしっかり診療しなくてはと気合が入りました。原因不明でおなかが痛いときや、いつもと違う様子であれば、ためらわずに受診してほしいと思います。エコー検査などで「原因はここだね」「良くなっているね」と、親御さんやお子さんと状況共有することは、診療の質を高めるだけでなく、信頼関係を築くことにもつながると感じています。
地域の小児科医として、納得感のある治療を
アレルギー診療にも力を入れられているのですね。

ワクチンや抗菌薬の発展で感染症が減ってきた一方、近年はアレルギーの患者さんが増加し、しかも若年齢化しています。当院では、特に食物アレルギーに注力して取り組んでいます。保育園や幼稚園の子どもの安全を守るためには、どんな食べ物でアレルギーが出るか明確化し、園ときちんと連携を取らなければいけません。食物負荷試験や、注射器を使わず指先からの採血で41項目のアレルゲンを調べるための血液検査を導入し、それらの診断結果から治療や食事に関するアドバイスなどを行います。家での環境要因があれば整えてあげる必要がありますし、体質に合わせてアレルギー症状に有用な漢方薬の処方も行います。舌下免疫療法も対応可能です。また、アトピー性皮膚炎に対する生物学的製剤治療も行っていますので、従来のスキンケアや投薬だけで良くならない方はぜひ相談に来てほしいですね。
アレルギー診療にもエコー検査を活用されるのですか?
どんな食べ物でアレルギーが出るか様子をみたり、胸の音を聴いたりするだけでなく、エコー検査では、リアルタイムで「おなかの中でアレルギー反応が起きていないか」を確認します。また、気管支喘息と思っていた患者さんが、エコー検査で副鼻腔炎と診断される場合もあります。当院では、エコー検査を感染症の診断にも役立てています。インフルエンザの疑いがあるときは首のリンパ腺に、呼吸器感染症の疑いがあるときは胸に超音波を当てるなど、診断の補助に活用しているんです。最終的な診断は、各種微生物検査を用いて行います。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

当院は地域に根差した、愛されるクリニックをめざしています。また、どのような相談にも対応できるように、診療の幅を広げていきたいですね。患者さんからもさまざまな要望がありますので、それに応じた研鑚を重ねていきます。現在は一般診療や循環器疾患、アレルギー症状、感染症の他、低身長や肥満など体のお悩み、肘の脱臼、股関節の炎症、軽いけがややけどなどの一部の外科的な疾患もしっかり診療しています。重症度を見極め、広島赤十字・原爆病院や広島市立舟入市民病院などの地域の提携病院への紹介も行います。子どもに負担がないことを第一に、エコーや心電計、モストグラフなどの先進機器を活用しながら、納得感のある治療を提案させていただきますので、安心してお任せください。つらいときは、頼れる人が一人でも多くいたほうが良いはずです。当院をその窓口だと思ってくださるとうれしいです。

