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藤井 祥子 院長の独自取材記事

段原こどもクリニック

(広島市南区/段原一丁目駅)

最終更新日:2024/05/15

藤井祥子院長 段原こどもクリニック main

広島市南区の段原地区にある「段原こどもクリニック」は、2024年4月に開業したクリニックだ。院長の藤井祥子(ふじい・さちこ)先生は、総合病院やクリニックで研鑽を積んできた日本小児科学会小児科専門医。一般小児科の診療に加えて、小児循環器疾患、小児アレルギー疾患も診療している。特にエコー検査の経験が豊富で、診察では聴診器のようにエコー検査機器を使用して、診断と治療につなげるという。「患者さんに相談されたとき、専門ではないのでわからないということがないように小児科全般を幅広く勉強してきました」という藤井院長に、クリニックの特徴、診察にあたって心がけたいこと、今後の展望について聞いた。

(取材日2024年3月18日/情報更新日2024年4月8日)

人生を丸ごと見れる小児科に、やりがいと責任を感じる

先生が医師をめざしたきっかけは何だったのでしょうか?

藤井祥子院長 段原こどもクリニック1

私は動物が大好きな子どもだったんです。でも家庭の事情でペットが飼えなかったため、余計に動物に関わる仕事がしたくて、獣医師になりたいと考えていました。ところが、中学3年生の時、産婦人科の女性の先生が私の学校で保健体育の講演をしてくださったんです。出産シーンのビデオを見せてもらったのですが、それが非常に印象的でした。そこから生物が生きている意味や、どうやったら命をつなげるのかといったことを考えるようになったんです。同時に、生命の誕生に携われる仕事は獣医師だけでなく、人間の医療にもあるんだと思いました。そして、興味が人間のほうに移っていきました。

医療の中でも小児科を選んだ理由を教えてください。

大学を卒業後は、医学全般を勉強したかったので、内科・外科を網羅的に学べる静岡の病院を勤務先に選びました。循環器内科や外科などハードな科は心身ともに大変でした。ところが、小児科の新生児治療室だけは、どれだけハードでも心がまったく疲弊しなかったんです。それで自分には小児科が合っていると感じました。また、子どもの病気を治療することは、その子の人生を丸ごと救うための行為でもあり、やりがいがあります。しかしその一方で、責任も非常に重く、プレッシャーも感じます。小児科医は、子どもを相手にするので穏やかな医師が多いのですが、責任感や覚悟は人一倍大きいのではないかと思っています。

その後の経歴を教えてください。

藤井祥子院長 段原こどもクリニック2

静岡の病院で学んだ後は、広島大学病院の小児科に入局しました。その後、主人が東京女子医科大学に国内留学するため、東京に転居することに。私は子育て中だったのですが、良い機会だと思い、日本心臓血圧研究所の教授にお願いして臨床と研究をさせていただき、小児循環器の分野で医学博士を取得しました。当時は臨床と研究に打ち込みながら、子育ても1人で頑張っていました。ハードな日々でしたが、そのおかげで仕事をしているお母さんの大変さがわかるようになったと思います。広島に戻ってからは、東区東蟹屋町にあるますだ小児科に勤務しました。ここではエコー検査の技術を磨くことができたこと、さまざまな症例を経験できたこと、そして12年もいたので、一人の患者さんが成長するまでを一貫して診られたことが、小児科の医師としての大きな糧となりました。

長年の経験や培った技術、人との出会いを生かした診療

開業しようと思われたきっかけは?

藤井祥子院長 段原こどもクリニック3

長年、勤務医を続けるうちに、そろそろ自分一人の力でやりたい、次のステージに行きたいという気持ちが育ってきました。長期入院していた息子が高校生になり心配事が減ったこと、娘が大学に進学して子育てがひと段落したことも独立の後押しとなりました。ますだ小児科の増田宏院長も、快く送り出してくれました。段原地区を選んだのは、広島県のアンケートで住みやすい街としてランキングの上位に入ったことが影響しています。ここは中心街からも近く、図書館や美術館、歴史のある高校などがある文化的な街です。また、働くお母さんが多いので、頑張っている人のお手伝いができるかもしれないと考えました。家から近い地域なので、周囲の雰囲気や患者さんの環境がよくわかり、情報も得られやすいというメリットもあります。

これまでの診療経験で心に残ったエピソードや言葉はありますか?

以前の病院で、脳性まひの患者さんを担当しました。私は視力が良かったので注射が得意で、いつも1回で注射をしていたため、その病院を去る時、お母さんに感謝されたんです。その子は寝たきりで言葉も出せませんが、本人が痛がるかどうかだけでなく、家族の心も痛まないようにしてあげることが大事だと感じました。また、私の恩師からは「江戸時代に書かれた物語には8つの数珠の玉が登場し、それぞれに義、礼、信などの文字が書かれている。今、出会っている人は、自分にとってどれかの玉になるのだから、どのような人でも蔑ろにしてはいけない」という言葉をいただきました。それ以来、人と出会う度に、自分にとって宝になると考えながら接するようにしています。どれだけ小さい子に対しても同じ気持ちを持っています。

小児科で多い症状にはどのようなものがありますか? また、小児科医として心がけていることは何でしょう。

藤井祥子院長 段原こどもクリニック4

通常、小児科を受診されるお子さんは、発熱、咳や鼻水といった風邪症状が8、9割を占めます。胃腸風邪など、腹痛や下痢症状も多いです。そうした症状の患者さんには腹部エコー検査を行います。エコーは内臓の状態をリアルタイムで見られ、お母さんと情報を共有しながら説明できるというメリットがあります。視覚情報はとても効果的で、お母さんの心配を解消するのにとても役に立つんです。また小児科では、お母さんが「大したことじゃないかもしれませんけど」とおっしゃる内容が、診断のために重要な情報であることが多いんです。会話を続けて打ち解けてくることで出てくる情報もあるため、リラックスしてもらい、信頼関係を築くことが大切になります。なので当院でも、お子さんだけでなくお母さんともしっかりとコミュニケーションを取っていきたいと思っています。

「安心と笑顔」をモットーに、患者を温かくサポート

院内のこだわりや、スタッフさんについて教えてください。

藤井祥子院長 段原こどもクリニック5

院内は自然光がよく入る、明るい雰囲気にしています。最近の子どもはデジタルに親しんでいますが、なるべく自然に近い環境で成長してほしいという思いから、自然を意識したクリニックづくりをしたんです。ですから、患者さんのためのデジタル機器やおもちゃなどは置いていません。待合スペースは障害物が少なく、安心できる距離を取れるよう設計していますので、駆け回ってもいいし、つらかったらゆっくり横になることもできます。スタッフ構成は看護師が3人と受付が3人。看護師の1人はアレルギー疾患について専門的な知識を持っていて、受付には管理栄養士の資格を持つスタッフが1人います。

クリニックの特徴や今後の展望をお聞かせください。

当院は、一般小児科の診療に加えて、小児循環器疾患、小児アレルギー疾患の診療を行い、西洋医学では限界のある症状に対しては、漢方も取り入れる予定です。アレルギーや栄養に関する勉強会の開催や、予防医学にも力を入れていきたいと考えています。予防接種では、院内感染対策として感染症のお子さんがいない時間帯をつくり、その時間帯に来られない方は一般診察の中でも予防接種をしていこうと考えています。私はこれまで、患者さんに相談されたとき、専門ではないのでわからないということがないように小児科全般を幅広く勉強してきました。指導してくれた先生方や今まで出会った患者さんに感謝するとともに、治療というかたちで恩返ししたいと考えています。

子どもを持つ方にメッセージをお願いします。

藤井祥子院長 段原こどもクリニック6

情報があふれる中で、一生懸命育児をされているのは、本当にすごいことです。それでも、迷ったり苦しんだりしているときはご相談ください。一緒に考えて、一緒に答えを見つけていきましょう。近所のおばちゃんがおせっかいを焼いているような感じで、医療の面だけでなく、育児の面でもサポートできたらと考えています。私の手に負えないことでしたら、広島赤十字・原爆病院や広島市立舟入市民病院などに紹介することができます。ほかにも個人的にも信頼できる先生をたくさん知っていますので、ご安心ください。当院のモットーは「安心と笑顔」です。不安な気持ちで受診された方でも、帰宅するときは安心を持って帰れるよう心がけています。どのようなことでも、お気軽に相談してください。

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