糖尿病専門の医師による
ライフスタイルを考慮した糖尿病治療
内科・糖尿病内科 天王寺めぐみクリニック
(大阪市天王寺区/桃谷駅)
最終更新日:2024/05/31
- 保険診療
遺伝的な要因に加え、慢性的な食べすぎや運動不足などの環境的な要因が複雑に絡み合って発症する2型糖尿病。中高年以降の日本人に多い病気だが、初期には痛みなどつらい症状を伴うことがないため、なんとなく気になりながらも積極的な治療を受けずに放置してしまう人は少なくない。その結果、どんどん病状が進行してしまい、多飲・多尿、手足の痺れなどの症状が出たり、脳や循環器などの血管の合併症を起こして命の危険にさらされたりすることも。また、少ないながらもある日突然インスリンが手放せなくなってしまう1型糖尿病。糖尿病とうまく付き合っていくためにはどうすればよいのか、糖尿病の治療に熱心に取り組む「内科・糖尿病内科 天王寺めぐみクリニック」の橘恵院長に詳しく教えてもらった。
(取材日2024年4月23日)
目次
ライフスタイルに合わせて、無理のない範囲での治療と生活習慣の改善を
- Q糖尿病になるとどのような症状が現れますか。
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A
糖尿病は、血糖をコントロールするインスリンの分泌不足や作用低下が原因で、血糖値が高くなる病気です。初期の段階では目立った症状がなく、糖尿病だと診断されて驚く人も少なくありません。血糖値は日々変動するため、多少高くてもすぐ問題になることはあまりありませんが、進行するにつれ喉の渇き、多飲、多尿、だるさや疲れやすさ、体重減少などが見られるようになります。さらに進行するとさまざまな合併症が起こり、視力の低下や手足の痺れなどの症状が出ることも。また、脳や循環器の疾患につながることもあります。性別や年齢問わず起きる病気なので、健診などを利用し早期発見に努めることが大切です。
- Q糖尿病治療の検査について教えてください。
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A
糖尿病の主な検査方法は、血液検査と尿検査です。具体的には血糖値とHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値を調べて、基準値より高いかどうかで糖尿病の診断をします。空腹や食後などの血糖を測定したタイミングや、75gブドウ糖負荷試験という検査を行い、総合的に判断します。尿検査より治療の緊急性の有無や、合併症についてなども評価できますので、診療に来てもらったらすぐにHbA1cと血糖、尿の検査結果をお伝えできるよう、環境を整えています。神経障害や血管の合併症の検査、24時間の血糖値を調べる持続血糖モニターを使用した検査も可能です。健診で異常値を指摘された場合や糖尿病が心配な人は、気軽にご相談ください。
- Q治療はどのように進んでいくのですか?
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A
血糖の状況によりますが、食事や生活習慣の改善からスタートをすることが多いです。普段何げなく口にしているものを見直し、食べる順番やタイミングを工夫してもらいます。ウォーキングなどの運動を取り入れるのも良いですね。「こんなことぐらいで」と思うかもしれませんが、とても重要なんですよ。改善が難しい場合は、薬物療法を取り入れます。よく「薬は一生飲み続けるの?」と質問されますが、経過のなかでお体の状態に合わせて薬を減らしたり中止したりすることはあります。血糖がかなり高い場合や1型糖尿病の場合、初めからインスリン注射が必要となることもありますので、何によって糖尿病となっているのかが治療のポイントとなります。
- Q妊娠糖尿病もご専門だと伺いました。
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A
これまでに、多くの妊娠糖尿病の患者さんを担当してきました。妊娠中に妊娠糖尿病を指摘された方、産後のフォローアップの相談はもちろん、糖尿病の治療中に妊娠を考えられている方もご相談いただければと思います。また、不妊治療などで高血糖や高インスリン血症を指摘された場合にも、食事・運動などによる医療介入が効果的な場合があります。安心して妊娠・出産をするためには、血糖管理はとても重要です。わからないことや不安なことがあればどんどん質問して、必要な治療を受け、元気に妊娠・出産に挑んでもらえればと思います。私も糖尿病を専門的に学んできた一人の女性として、皆さんの思いに寄り添っていくことをお約束します。
- Q糖尿病治療において大切にしていることはありますか?
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A
患者さんとともにライフスタイルに合った治療を考え、元気に楽しく年齢を重ねていくサポートができるような診療を大切にしています。治療は「糖尿病、大丈夫かな」と思った時がスタート時ですね。最初は頑張りすぎてしまいがちですが、頑張りすぎると、なかなか続かない。続けるためには頑張りすぎないのがちょうどいい。例えば食事はしっかり管理して自炊するのが理想かもしれませんが、なかなか難しく、外食やコンビニを利用することもあると思います。いわゆる体に良いとされる生活習慣の中で自分が何を取り入れられるのか気づくことも大事です。私たちは患者さんのサポーターでもあるので、なんでも気軽に話してもらえたらと思います。