胃と大腸内視鏡検査を同日に
そのメリットと検査の流れ
上野消化器内視鏡クリニック
(台東区/上野駅)
最終更新日:2024/05/07
- 保険診療
胃がんや大腸がんの早期発見に有用だとして広く知られている内視鏡検査。しかし、2つの検査を受けるには時間の余裕がないという人も多いのではないだろうか。そんな悩みに応えてくれるのが、胃と大腸の内視鏡同日検査だ。「基本的には大腸内視鏡検査に準じて準備し、大腸の前に胃の内視鏡検査を追加するというイメージですから余計なストレスはないと思います」そう話すのは「上野消化器内視鏡クリニック」の三好耕太郎院長。定期的に受けることが大切な2つの内視鏡検査だけに、一緒に受けられるメリットは大きい。安心して同日検査を受けるためには、検査の流れをしっかり知っておくことも大切だ。そこで、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の三好院長に、同院での胃と大腸の内視鏡同日検査の流れと負担の少ない検査の工夫について話を聞いた。
(取材日2024年2月14日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q胃と大腸の内視鏡検査はどのような検査なのですか?
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A
胃の内視鏡には経鼻内視鏡検査と経口内視鏡検査があり、いずれも胃がんや食道がん、十二指腸がん、胃潰瘍、ピロリ菌の有無を調べることができます。一方、大腸内視鏡は、肛門より内視鏡を挿入し、直腸から結腸にかけて大腸がんや大腸ポリープ、潰瘍性大腸炎などがないかを確認します。胃がんや大腸がんは早期発見がとても重要ですが、初期段階では症状が出ないことが厄介な点です。ですので、症状が出ている時はもちろん、症状がない段階から受けることをお勧めします。また、一度受けたらおしまいという検査ではなく、定期的に受けることが大切です。
- Q胃と大腸の内視鏡同日検査について教えてください。
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A
胃と大腸の内視鏡同日検査は、同じタイミングで2つの検査を行うので、普段仕事などで忙しく、なかなか検査の時間が取れないという方にお勧めです。流れとしては、大腸内視鏡の事前準備で腸の中をきれいにした後、大腸の検査を行う前に胃の内視鏡検査を追加するかたちになります。胃と大腸は定期的に診ていくことが大事な臓器なので、胃と大腸で毎年2回の検査をする負担を1回で済ませられることは大きなメリットです。内視鏡検査を行っていても同日検査には対応していない病院やクリニックもあり、内視鏡専門クリニックならではの検査方法といえるかもしれません。
- Q内視鏡検査は「怖い」「痛い」というイメージがあります。
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A
特に大腸内視鏡検査は怖い、痛いというイメージがあるかもしれませんね。痛みに関しては、医師の技量でかなり軽減される部分がありますから、経験を積んだ医師による検査であれば不安なく受けられると思います。当院の場合、鎮静剤や鎮痛剤を用いるなど、痛みに対してできる限りの配慮をしています。鎮静剤を適切に使用すれば、眠っている間に検査を終わらせることができます。細かい部分では、検査後のおなかの張りを軽減できるよう腸を膨らますガスは二酸化炭素を使い、患者さんの精神的なストレスを減らすため、院内に下剤を服用する際の専用スペースと個別のトイレを備えています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診と検査についての事前説明
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内視鏡検査について説明を受け、同日検査の希望を伝える。事前診察の際には家族歴や薬の服用、これまでの検査歴も伝えておこう。事前説明は、外来による受診が基本だが、大腸内視鏡検査の経験がある場合はオンライン受診も選択可能。前日や当日の食事、下剤内服を含む検査前の準備の仕方、検査当日の流れについて説明を受ける。検査で鎮静剤を使う場合は、車、オートバイ、自転車の運転は厳禁となるなど注意事項も確認しておこう。
- 2検査前と検査当日の準備
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検査前日は消化の良い食事を取り、夕食は夜9時までに済ませる。同院では消化の良い食べ物リストを渡しており、希望者には電子レンジで調理できる3食分の専用の検査食セットの準備も。検査当日は検査まで食事を取らず、脱水を防ぐため茶や水、スポーツドリンクを飲用。家で下剤を服用する場合は処方された下剤を検査の5時間前に内服。院内で服用する場合は検査の3~4時間前に来院。個別トイレ設置の専用スペースが利用可能。
- 3胃・大腸内視鏡の同時検査
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ロッカーに荷物を置き、検査着に着替える。鎮静剤を使う場合は検査前に点滴を始める。同院では原則、鎮静剤を用いた検査となる。患者はストレッチャーに寝た状態で、胃の内視鏡検査からスタート。大腸内視鏡検査に移行する時はストレッチャーごと向きを変えるためスムーズに行える。胃の内視鏡検査は5分~10分、大腸内視鏡検査は約20分程度で終了する。ただ、ポリープ切除や組織検査などを行う場合はさらに時間がかかる。
- 4検査後はリカバリー室で休憩
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検査終了後は、壁で仕切られた個別のリカバリー室へストレッチャーのまま移動。鎮静剤の作用が切れるまで十分に休む。通常は20分から30分間の休憩の後、立ち上がることができるようになる。同院では高音質の音響設備を備えており、静かなクラシックが流れる空間でリラックスして休憩時間を過ごすことができる。その後、着替えをして待合室へ。飲食は検査後1時間程度たってから可能。
- 5検査結果と今後の説明
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検査時に撮った胃と大腸の内部画像を見ながら検査結果を聞く。同院では胃と大腸の模型を用いながら、どの場所にどのような問題があるのかを解説。わかりやすい言葉を使うように心がけているという。ポリープを切除した場合、病理検査の結果がわかるのは約2週間後。結果を聞くために再度来院する必要があるが、電話やオンラインでも対応可能だそう。何らかの症状が見つかり治療が必要となった場合は今後のスケジュールも確認する。