全身麻酔下で受ける
鼻詰まり・副鼻腔炎の日帰り手術
耳鼻咽喉科 アレルギー科 おぎのクリニック京都駅前
(京都市下京区/京都駅)
最終更新日:2024/03/01
- 保険診療
鼻詰まりや鼻水があると、煩わしいだけでなく、仕事などに対する集中力が低下してしまう。口呼吸になって感染症のリスクが高くなるなど、健康上にもさまざまな弊害がある。風邪の一時的な症状なら通常は時間とともに良くなるが、慢性副鼻腔炎になるとこうした状態が長く続く。長期間にわたって鼻の症状に悩まされ「調子の悪いのが普通になっている方や嗅覚障害を抱えている方もいらっしゃいます」と、「耳鼻咽喉科 アレルギー科 おぎのクリニック京都駅前」の荻野枝里子院長。同院では、鼻詰まり・慢性副鼻腔炎の患者に対して、麻酔科医師の管理のもと、全身麻酔による日帰り手術を提供している。荻野院長に、日帰り手術のメリットや実際の手術の流れなどについて教えてもらった。
(取材日2024年2月7日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Qどのような症状のある人が手術の対象ですか?
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A
副鼻腔炎の方、鼻中隔弯曲症、重症アレルギー性鼻炎で鼻詰まりが強い方が対象です。鼻水や鼻詰まり、鼻水が喉に落ちてくる後鼻漏、嗅覚の異常など副鼻腔炎の症状が3ヵ月以上続いて、生活に支障をきたしている方、お薬などの治療で改善が見られない方ですね。お薬などで強い症状は一旦治まったように思ったとしても、何となく調子の悪い状態が長引いている方、副鼻腔炎が再発してしまった方にも手術を検討していただきたいです。こうした方々は、調子の悪い状態に慣れてしまい諦めてしまっているケースや、忙しくて手術が受けられず我慢している場合が少なくありません。当院では忙しくて仕事を休めない方のために日帰り手術に対応しています。
- Q日帰り手術のメリットを教えてください。
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A
鼻の手術を受ける際にネックになるのは入院の負担です。手術の際に5〜7日間の入院が必要となる病院も多く、仕事が休めない方や小さなお子さんがいる方などにとって大きなハードルになっています。基本的に入院を伴わない日帰り手術ならこうした心配が少ないのがメリットです。入院で行う手術と内容は同じですので翌日から出勤してバリバリ仕事をするというわけにはいきませんが、例えば事務系のお仕事ですと数日後からの仕事にさほど支障をきたすことなく手術を受けていただけると思います。ただし、全身麻酔を行う場合は付き添いが必要なので、一人住まいの方などについては、手術後に近くの連携病院への移動と一泊入院をお願いしています。
- Q全身麻酔での手術にも対応しておられるのですね。
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A
副鼻腔は、目や脳の近くに広がっているため、非常に慎重な施術が求められます。患者さんが痛みを感じたり、少しでも動いてしまったりすると、手術に支障をきたす心配もあります。全身麻酔を行えばこうしたリスクを避けることが期待できるため、副鼻腔炎の患者さんには基本的に全身麻酔での手術をお勧めしています。緊張や不安を感じることなく手術を受けていただけると思うので、患者さんにとってもメリットがあると思います。局所麻酔の手術は基本的に医師が1人で行いますが、当院では全身麻酔の手術は麻酔科の医師の管理のもとで行います。また、全身麻酔ができるように麻酔設備を整えた手術室を用意するなど、安全にしっかり配慮しています。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・診察
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症状や困っていること、これまでかかった病気や常用している薬についてはもちろん、同院では仕事や生活環境についても詳しく尋ねられる。体を動かす仕事なのか、デスクワークなのか、下を向く作業を伴うのか、頻繁に話す機会があるのか、常にマスクをつけて仕事ができるかといった仕事の内容、さらに、いつの時期が忙しいのかなどについても確認される。手術の方法や時期などを判断する材料になるので、可能な限り詳しく答えたい。
- 2検査・手術説明
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手術日は通常、受診から2〜3ヵ月後に設定される。また、手術日の約1ヵ月前に、安全性に配慮して手術を行うために必要な心電図、呼吸機能検査、胸部エックス線、血液検査、鼻の空気抵抗を確認する鼻腔通気検査などが行われる。心電図に異常が見られる場合は再検査や循環器を専門とする医療機関での詳しい検査が必要となる場合もある。その後、手術の流れや当日までに気をつけたいこと、当日の注意事項などについて説明を受ける。
- 3日帰り手術
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手術前に風邪をひいたりすると中止を余儀なくされるので、体調管理をしっかり行いたい。喘息がある場合は、吸入などにより症状のコントロールを図ることが必要となる。また服用を止める薬や最終の食事時間、水分の取り方など、手術説明の際に聞いたことをしっかり守りたい。当日は、麻酔科の医師の管理のもと全身麻酔による手術が行われる。手術そのものの所要時間は2時間程度、前後の処置の時間を含めて5時間ほどが必要となる。
- 4リカバリールームで休息
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手術後は1時間〜1時間半程度、リカバリールームのベッドで休息し、問題がないことが確認できれば帰宅できる。帰宅の際には必ず付き添いが必要。電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合も、混雑している場合はタクシーなどを利用するほうが望ましいそうだ。鼻腔には綿球が詰められ、しばらく出血が続くので、大きく口を動かすことを避け、綿球を取り替えたり、ティッシュペーパーで拭ったりして静かに過ごす。
- 5手術後の通院
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手術の翌日または翌々日に、傷の処置などが行われる。また、手術後は生理食塩水を使った鼻うがいを行い、鼻腔の奥にある止血剤などを洗い流す。事前説明の際にやり方が説明されるので、スムーズにできるように練習しておきたい。その後は、1~2週間後、1ヵ月後と徐々に受診の間隔を開けながら、通常は半年〜1年間にわたって通院する。喘息を合併している場合は、さらに長期間の通院期間が必要になるケースもある。