野島 美知夫 院長の独自取材記事
うらやす産婦人科
(浦安市/浦安駅)
最終更新日:2024/07/19
浦安駅から徒歩約1分の場所にあるのが、2024年3月1日開業の「うらやす産婦人科」。駅からほど近いビルの4階に上がると、淡い色調で統一された、落ち着いた雰囲気の空間が広がる。院長を務めるのは、長く順天堂大学医学部附属浦安病院で診療にあたってきた野島美知夫先生。同大学医学部卒業後、大学病院やクリニックで産婦人科医師として研鑽を積み、開業に至った。大学病院時代は、産婦人科教授、副院長を務め、がん治療センター部門ではセンター長として患者の化学療法や緩和ケアなどに尽力。「今後はこれまでの経験を生かしながら、地域医療に適したスタイルにも柔軟に対応したい」と話す野島院長に、同院の特徴や今後の展望などについてじっくりと話を聞いた。
(取材日2024年2月13日)
一人ひとりの状況を尊重した、患者ごとの診療を重視
初めに、院内のこだわりや地域への思いについてお伺いします。
当院は2024年3月1日に開院する産婦人科医院です。院内は、患者さまが落ち着いてリラックスできる空間にしたいと思い、オフホワイト系の色調でまとめました。個人的にも、鮮やかな色彩よりも淡色が好みという理由もありますね。町の医院にとって大切なことの一つは、患者さまとの会話だと考えており、患者さまと医師との間で、円滑かつ和やかにコミュニケーションが図れるよう心を配りました。私は長きにわたり、順天堂大学医学部附属浦安病院に勤務していたこともあり、浦安は自分にとってとても親しみのある場所なんです。近隣には、かつて一緒に働いた仲間や他科の先生方がいますので、そうした先生方とも協力しながら地域医療に貢献していきたいと考えています。
医院コンセプトについて教えてください。
当院では、幅広い年齢層の患者さまに対応させていただきます。個々の患者さまが抱えるご事情やライフスタイルはさまざまですから、それを尊重し、その患者さまに適した個別の診療を行うことをモットーに掲げております。例えば生理痛に関するご相談の場合、20代、30代、40代と患者さまの年齢によって処方薬は異なりますし、働き方などのライフスタイルによっても処方を調整する必要があります。もちろん、年齢は指標にはなりますが、それだけで診断するのではなく、その方にとってふさわしい医療を提供したいと思っています。
医院の特徴やアピールポイントは、どのようなことでしょうか。
当院は医師1人、看護師2人、助手1人、事務担当2人の計6人の体制で運営します。一般的に、院内で患者さまが苦痛に感じることの一つは、待ち時間が長いことだと思います。そのため診察までの時間を短縮させるのはもちろんのこと、診察予約や会計などにおいても患者さまの負担を軽減できるよう心がけています。私が勤務していた大学病院では、医師や看護師、薬剤師、臨床心理士など多職種のスタッフが集まり、情報共有しながら1人の患者さまを診ていくというチーム医療を実践していました。そこで医療現場におけるチーム医療の重要性を身をもって経験していることから、当院でも院内スタッフおよび外部関係者との連携を取りながらより良い地域医療に貢献したいと考えています。医師の治療だけに頼るのではなく、患者さまに癒やしを提供できるような院内の雰囲気やスタッフの声かけなどにも気を配っていきたいですね。
多角的なアプローチで適切な診断をめざす
大学を卒業してから、開業までの経緯について教えてください。
私は大学卒業後の40年以上にわたり、産婦人科医療に携わってきました。この20年近くは順天堂大学医学部附属浦安病院に勤務し、産婦人科教授や副院長、がん治療センター部門のセンター長などを務めさせていただきました。センター長時代は、コメディカルスタッフ向けの緩和ケアに関する勉強会などを自主開催していましたね。その後の数年間は開業を視野に入れて、複数の分娩取り扱い医療機関で研鑽を積みました。手前みそではありますが、私が着任すると外来の患者さまが増加する傾向があり、「親しみやすく、話しやすいお医者さん」として親近感を持ってもらえたのであれば、それはとてもうれしいことですね。大学病院で培った長年の産婦人科医療の経験を、当院でも生かしていきたいと思っています。
今後が注力されていくのは、どのようなことでしょうか。
私は患者さまが訴える一つの事象に対して、多角的にアプローチする必要があると考えています。診察だけで診断を行った場合、それが必ずしも適切だとは言えないからです。誤った診断を行うリスクを回避するために、当院では血液検査をはじめとする複数の検査を実施しようと思っています。例えば月経不順を主訴として来院された患者さまに対して、女性ホルモン検査と併せて甲状腺の検査も行うといった形ですね。ほかには、がん検診と妊婦健診に注力する予定です。患者さまの中には、これまでに検査を受けて「異常なし」の結果を報告されただけで、それ以上の説明を受けたことがないという方がいらっしゃいます。当院は、検査結果の意味を丁寧に説明することを大切に、患者さまから「もう一度、先生の説明を聞きたい」と言ってもらえるような対応をめざしていきます。
院長が診察を行う際に、大切にしていることをお聞かせください。
患者さまは一人ひとり、ライフステージや生活背景、経済的課題、価値観などが異なります。その中でとりわけ産婦人科の臨床現場では、患者さまのご事情に配慮することが重要です。例えば40代の女性の中には、出産を終えたばかりの方もいれば、お孫さんがいる方もいます。両者の抱える悩みが、まったく別物であるのは当然のことでしょう。また女性の場合、体の不調が心に起因するケースも少なくありません。他人に相談できずに悩んでいたことを、すべて話すことで気持ちの整理がつくといったこともあるかと思います。長年こうした状況に身を置き、患者さまからたくさんのことを学んできた私が大切にしていることは、その方に応じた個別の診療を提供するということです。
女性が気兼ねなく受診できる産婦人科医院へ
産婦人科診療において、現在どのような課題があると思われますか。
産婦人科に行くのに勇気がいると感じておられる方は多いかもしれませんね。患者さまの中には、なかなか受診に踏み切れずに、自分一人で悶々と苦しんでいたとお話ししてくださる方もいらっしゃいます。そのため産婦人科への垣根を低くして差し上げることは、産婦人科医師のミッションの一つであると感じています。患者さまから心の内をお話しいただき、解決へとサポートさせていただくことが私のやりがいでもありますので、安心してどのようなことでもご相談ください。専門外の心の問題などであれば、私が信頼するメンタルクリニックのご紹介も可能です。今はインターネットなどでいろいろな情報が氾濫しているため、誤った情報に振り回され、ますます深みにはまってしまう人もいるかもしれません。正しい情報を得るためにも、悩みがあれば当院に相談にお越しいただきたいですね。
産婦人科を受診するタイミングについて教えてください。
産婦人科は、妊娠したときや、特別な女性特有のトラブルなどが生じた場合に受診する科と思われがちですが、実はいろいろな症状について何でも相談できる場所なんです。例えば腹痛が長く続く、背中や腰が痛いといった場合でもお気軽に受診していただきたいですね。女性の方々が感じる、何かおかしい、体調が悪い、なんとなく元気が出ないなどといった症状に丁寧に応えていくことが私のポリシーです。体調不良の影には、実は大きな病気が隠れている場合も考えられますから、そうしたことも見逃さずしっかり診ていきたいと思います。そのためには先に申し上げたように、受診時の入念な検査を重視し、定期的ながん検診と妊婦健診の呼びかけにも力を入れていくつもりです。
最後に、今後の展望とメッセージをお願いします。
当院のめざす姿は、地域の女性の方々から、「居心地が良い」、「また相談したい」、「他の方に勧めたい」と思ってもらえる存在になることです。現在は近隣の皆さまと接点を増やすために、院内でお友達やご家族と一緒に参加していただけるような産婦人科系疾患に関する無料勉強会などを検討しているところです。浦安地域の他科の先生方との親睦を深めることで、より広範な医療提供を行うことも目標にしています。心も体も癒やすことのできるような空間づくりに努めておりますので、気軽にお越しいただけるとうれしいです。