山田 哲也 院長の独自取材記事
もこもこ歯科・矯正歯科
(西宮市/甲陽園駅)
最終更新日:2025/03/13

甲陽園といえば、郊外の閑静な住宅地というイメージを持つ人も多いだろう。大正時代に豊かな環境で暮らしたいと開発した計画都市の面影が今も残る街並みにふさわしいすっきりした外観に「もこもこ歯科・矯正歯科」という愛らしいクリニック名の小さな看板がそっと街灯に掲げられている。2023年11月に開業したクリニックの院内はまだ新しく、黄色をベースにした内装がやわらかい印象を与えている。物静かな印象で優しい語り口の山田哲也院長だが、理想の医療を提供したいという言葉には迷いがなく、どこかこの町をつくった人々の理想を求める姿と重なって見える。山田哲也院長の求める理想の医療とはどのようなものなのか、じっくり話しを聞いた。
(取材日2024年12月18日)
患者と真摯に向き合う治療を求めて開業
先生はもともと歯学部志望ではなかったそうですね?

はい。もともと四国の自然豊かなエリアで育ち、祖父が農場を経営していたこともあって、生き物が好きな子どもでした。生物好きが高じて大学は神戸大学農学部の食糧生産環境工学科に進んだのですが、食べることが生きがいのような祖父が歯の困り事で食が細くなっていくのを見て、新鮮で質の良いおいしい農作物を作っても歯で困り事があると美味しく食べられなくなる事を実感し、祖父の生きがいを取り戻したいと地元である徳島大学の歯学部に入学し直しました。徳島大学でも楽しくいろんな勉強をしているうちに、自分でも驚いたのですが次席で卒業しました。大学病院口腔外科の医局を経て四国の歯科医院で勤務医として働き、保険診療で毎日数多くの治療を行いました。私の技術が磨かれたのはこの四国での勤務医時代で、仕事も楽しくて仕方がなかったのですが、ふと気づいたのです。ただ歯を治療するだけで、自分が患者さんの名前すら知らないことに……。
そこで先生に転機が訪れたのですね。
自由診療をしている先輩歯科医師と話をする機会があり、先輩が勤める滋賀の歯科医院に見学に行ったのですが、それまで私がしていた医療とまったく違い衝撃を受けました。患者さんとの話し合いを重視し、1時間もかけて説明しカウンセリングだけで終わる患者さんも。私は先輩から学ぼうと滋賀に引っ越したのですが、その後先輩は独立して開業、私も転職することになりました。次にお世話になったのが、関西圏で多くの歯科医院を運営する医療法人真摯会です。多くの歯科医師を育てた理事長が、私が次席で卒業したことを知っていて、大学での努力が評価されうれしく思いました。自由診療の技術が不足していたので、診療が終わった後は先生方に教わりながら深夜まで練習したり、休日の予定はほぼすべて歯科の勉強会に通う日々でした。現代歯科に欠かせないインプラントと矯正の二大柱の高い技術力を身につけることができました。本当に人に恵まれていたと思います。
独立して開業されたのはなぜなのでしょうか?

機材や内装費も高騰し始めていましたから、開業するよりも、真摯会という恵まれた環境の中、慕ってくださる患者さんといるほうがリスクはなかったでしょう。しかし、私の妻が内科医で義父は開業医なのですが、義父の診療所にかける思いについて話を聞くうち、より高いやりがいを求めてチャレンジしたくなったのです。この場所を選んだのは、神戸大学で下宿していた時に町の方々に良くしていただいた記憶があり、似た雰囲気の町を探していて甲陽園に決めました。この地域の方は、たとえ費用がかかっても、より長く持つものや再発が少ないものをと望まれることが多く、私の望む治療ができて、ここで開業できて良かったと思います。広報に無理に力を入れたくなかったこともあり、当初は患者さんがゼロの日もあったのですが、今は治療を受けた患者さんが、ご家族やお知り合いを紹介してくださって、予約も難しくなるほどになりました。
患者の人生にプラスになる治療をめざして
先生のめざす医療とはどのようなものなのでしょうか?

その方の人生のプラスになるような歯科医療をしたいと思っています。虫歯を1回治して、それが2~3年ごとに駄目になって何度も再治療というのでは、その患者さんの人生のためにはなりません。1回治すからには、少なくとも10年は持たせないといけないと思っています。永続性のために大切なのが、原因の追求です。歯を失ったらその原因を理解して対処しないと再発します。患者さんに対する治療の提案でも、実際にそういう治療をご提案しています。人生のプラスになるというのは患者さんだけじゃなくて、スタッフにも普段から言っているのですけれど、自ら仕事にやりがいや責任を感じ毎日楽しく仕事をすることが大切なのだと思います。
そうした治療のために何か特別なことをされているのでしょうか?
小さい虫歯の詰め物だとしても、基本的に私の診療所では粘土で型採りをしません。粘土だと人の手を介するのでどうしても小さな誤差が出てしまうからです。口腔内カメラで3Dスキャンして、コンピューター上でデータをもとに詰め物を作ります。そのほうが精度も高いし、患者さんも粘土で気持ち悪い思いをしないで済みます。また、詰め物やかぶせ物などの修復物を作る技工所もいろんな所を探し、高い技術を持つ技工所を見つけることができました。アメリカやドイツで技術を学ばれた歯科技工士さんで、その方の作った詰め物やかぶせ物は調整もせずに一発で入って、噛み合わせの調整もほとんど必要ないのです。その詰め物の材質も長く持たせたいときは、セラミックを提案しています。劣化するプラスチックや人体に有害な金属と違い、経年変化しにくい素材だからです。
小児の治療にも力を入れておられますね?

場あたり的な治療で虫歯を治しても、根本的な原因を取り除かないと再発し、どんどんひどくなるだけです。原因を調べると噛み合わせが悪いことが多く、根本的な治療のためには歯列矯正をしたほうが良い場合があります。だとすると、大人になってから歯列矯正をするより、顎の骨が成長段階にある子どものうちにしておいたほうが簡単で、患者さんの負担は少なくて済みます。また、歯列は遺伝の要素が少ないにもかかわらず、両親の歯列と似ている場合が多く、これは生活環境が同じであることに加えて、親の食べ方、口の動かし方を子どもがまねるからなのです。そんなこともあり、お子さんを治療している時には、親御さんにも一緒に診療室に入っていただきますし、診察のデータもお渡ししています。また、矯正だけでなく、呼吸や嚥下を機能発達のために、口育として新生児からのお口トレーニングの指導にも力を入れています。
子どもたちがきれいな歯並びを生涯維持できるように
「もこもこ歯科・矯正歯科」というクリニック名もお子さんたちに好かれそうですね。

そうですね。子どもに覚えてもらいやすいかなと思ってこのクリニック名にしました。子どもの頃に私が好きで、私の子どもも好きな絵本があって、そこからヒントを得ました。内装の色も、うちの子がすごくイエローが好きということもあって、子どもが安心できる色なのかもしれないと思いそうしました。私はもともと口腔外科出身なので、虫歯の治療以外にインプラント治療も得意です。また矯正も、子どもの矯正だけでなく、成人の矯正にも対応しているのですが、子ども時代に介入しておけば、その後の人生でもきれいな歯並びをキープしやすいため、小児矯正に力を入れているのです。
先生はプライベートでも子ども優先なのではありませんか?
休みは子どものための時間という感じですね。私が平日休みで家族そろってどこかへ行くという時間がなかなか取れません。その少ない休みの時は、できるだけ家族と一緒にいるようにしています。私の人生も結構大変なこともありましたけれど、基本的には良かったなと思っているので、子どもにもそういうふうな人生を送ってほしいなと思っています。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

とりあえず話を聞きにだけでも来ていただけたらいいなと思っています。セカンドオピニオンでも結構です。歯の治療について疑問を抱いていて、普段通っている先生には聞きにくいけれど、実際これでいいのだろうかなど、カウンセリングを受けに来ていただけたらと思います。歯科の技術の進歩はものすごくて、5年前、10年前とまるで違っています。型採りが苦痛だという方は、今ではもう以前のような粘土を使った型採りをしなくても歯型のデータが取れ、詰め物や入れ歯も作れるようになっています。患者さんに満足いただける治療に努めていますので、ぜひお気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはセラミックの詰め物/税込み5万2800円〜、セラミックのかぶせ物/税込み7万6780円〜、インプラント治療/税込み45万円/1本、骨造成/税込み8万8000円~、取り外し式装置(マウスピース型装置)を用いる子ども1期矯正/税込み18万7000円、固定式を含め各種装置を用いる子ども1期矯正/税込み55万円、2期矯正全顎矯正(マウスピース型装置を用いた矯正)/税込み44万0000円、大人全顎矯正(マウスピース型装置を用いた矯正)/税込み86万9000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。