佐藤 和己 院長の独自取材記事
かずき内科中川駅前クリニック
(横浜市都筑区/中川駅)
最終更新日:2025/06/30

小さな子どもから、生活習慣病の働き世代、高齢者まで多くの患者が来院する「かずき内科中川駅前クリニック」。同院では、喘息や気管支炎などを診る呼吸器内科と、生活習慣病などに対応する内科の診療を行う。佐藤和己院長は、もともとは呼吸器の専門家。東急田園都市線沿線で育ち、横浜の病院で医師としての基礎を培ってきた。開業後も、受診しやすい環境づくりや治療を続けやすい工夫などを通して、一人ひとりの患者の状況に合わせてきめ細かな対応を心がけている。「多くのクリニックの中から当院を選んで来院する患者に接することに、大きな責任感とやりがいを感じます」と、優しく穏やかな話しぶりからは、誠実な人柄が伝わってくる。そんな佐藤院長に、同院の診療の特徴や、喘息の治療に関する変化などについて尋ねた。
(取材日2025年5月21日)
専門性を生かした呼吸器内科と、幅広い内科が診療の柱
まず、こちらのクリニックの特徴を教えてください。

「地域医療に貢献したい」との思いで2011年に開業して以来、僕の専門である呼吸器内科と、内科一般の診療を行っています。呼吸器内科では、長引く咳や息苦しさ、息切れ、胸の痛みなどの診療や、喘息、咳喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった呼吸器疾患の管理を行います。内科では、風邪や胃腸の不調、循環器疾患、生活習慣病の管理など幅広く対応し、睡眠時無呼吸症候群の診療も行っています。また、健康診断に加え、自治体のがん検診などにも対応しています。
開業の際の思いやこだわりについてお聞かせください。
子どもの頃から東急田園都市線沿線に住んでいましたので、この辺りは親しみを感じるエリアでした。開業までは神奈川県内の複数の病院で勤務医をしていましたが、僕の医療の基礎は横浜市内の病院で培われたもの。ご縁があって横浜のこの地で開業し、原点に帰ったような気持ちでした。院内で特にこだわったのは、広くゆったりとした待合室と、適切な処置が行える十分なスペースをとった処置室です。バリアフリーにも配慮していますし、駅前という立地は、皆さんに楽に安心して通っていただけるのではないかと思います。イメージカラーは、穏やかで自然を連想できるグリーン。僕自身も一番しっくりと感じる大好きな色です。
どのような患者さんが多いですか?

小さいお子さんから高齢の方まで年齢層は幅広く、僕が専門とする呼吸器の症状で来院される方が多いですね。開業当初は30〜40歳代の方が比較的多かったのですが、最近、高齢の方も増えてきました。特に、喘息は子どもの頃に発症するイメージがありますが、大人でも、長く続く咳の原因が喘息だったというケースもあります。喘息を引き起こす原因とされているのは、主に風邪などの感染症です。近年では、花粉症や黄砂、PM2.5といった環境的な要因に加えて、気温の寒暖差が引き金になるケースも増えています。
臨床寛解をめざした喘息治療に取り組む
呼吸器内科での診療について教えてください。

例えば、喘息とひと言でいっても、慢性的な喘息なのか、季節的な喘息なのかによって診療内容は変わります。診療の際には、呼気中の一酸化窒素濃度を測定し、数値によって喘息なのか咳喘息なのかを判断することが多いです。それでも判断がつかない場合は、補助的な検査として肺活量を測ることもあります。また、3週間以上咳が続く場合、結核や肺炎、肺がんなど重大な病気が潜んでいる場合もあります。そうした病気を見逃さないために、エックス線検査も行います。
喘息と診断した場合は、どのような治療になるのでしょうか?
かつては、喘息というと長期的に薬を飲み続けるという治療が一般的でした。しかし現在は、徐々に薬の量を減らしていき、薬を使わなくても症状が落ち着いた状態が続く臨床的寛解をめざすという考え方が主流です。薬の種類についても、吸入薬としてステロイド剤を使うのは必須ですが、飲み薬にはステロイド剤をなるべく使わない方向に変わりつつあります。薬を長期間飲み続けることやステロイド剤を使用することに抵抗を覚える方も多くいらっしゃいますので、こういった診療の変化によって患者さんの心理的な負担も軽減されるのではないかと思います。咳喘息の場合も、例えば季節的なものが要因として強い人であれば、その時期を狙って治療し状況を見て休薬するというように、できるだけ薬を減らすことをめざした診療をしています。
臨床的寛解とは、具体的にどのような状態のことをいうのでしょうか?

医療的には発作の数値を細かく点数分けするのですが、ステロイド剤の飲み薬を使わず、1年間喘息の発作がまったく起きていない状態になっていることが条件になります。ただ、実際にそこまで到達するのはなかなか難しいのが現状です。喘息の場合、症状が少し治まると自己判断で薬をやめてしまう方が非常に多いからです。薬をやめている間に風邪などの要因が重なって再び症状が出てしまうと、一から治療をやり直さなければならず、さらに長い時間がかかってしまいます。治療の期間が長引けば、それだけ生活する上で制限されることも多くなります。また、高齢者の場合は喘息が悪化して肺炎を引き起こす可能性もあり、命に関わるリスクもゼロではありません。症状が治まったとしても、自己判断で薬をやめず、医師の指示に従って治療を続けることが大切です。
今の自分にできる、より良い診療を続けていきたい
診療する上で大切にしていることは?

可能な限り時間をかけて、しっかりお話を伺うことです。病気のことだけではなく、ちょっとした雑談でも話をするだけで気持ちが楽になる方もいらっしゃいます。当院にいらして、少しでもリラックスしていただけたらうれしいですね。また説明する時はなるべく難しい医学用語は使わず、わかりやすく話すことも心がけています。患者さんの症状はさまざまですので、教科書どおりに行かないことがほとんどです。患者さんから教えていただくこともたくさんありますね。日々の診療の中で、新たな発見や次に生かしていくべき課題と出会っていると感じています。いろいろ調べ、数あるクリニックの中からわざわざ当院を選んで来てくださる。僕を信頼していただいていると思うと、とてもありがたいですし、やりがいと同時に大きな責任を感じます。患者さん一人ひとりに適した、そして今の僕にできる、より良い診療をめざして、これからも努力していきたいですね。
そもそも医師を志した理由は何ですか?
父が内科の医師で、母方の祖父も歯科医師でしたから、医療関係の仕事には小さい頃からなじみがあり、いつの間にか医師になりたいと思っていました。父が診療している姿を間近に診ていたわけではないのですが、夜勤で忙しそうにしていた印象は残っています。「大変だなあ」と思う気持ちの中にも、どこか憧れのようなものがあったのだと思います。「医師になれ」とは言わなかった父ですが、実際に僕が医師になってからは「自分の専門分野・得意分野を持て」とアドバイスしてくれました。呼吸器内科を専門に選んだのは、父が呼吸器疾患で体調を崩し病院でお世話になったことがきっかけの一つです。呼吸器内科の医師として、喘息で苦しそうな患者さんの症状の改善をサポートできるのが本当にうれしいですね。この道を選んで良かったと心からやりがいを感じる瞬間です。
読者へのメッセージをお願いします。

長く続く咳や、息苦しさ、息切れ、胸の痛みなどが気になる方はぜひ呼吸器内科を受診してください。また、当院は広く内科診療にも対応していますので、気になることは気軽にご相談ください。初期の生活習慣病は、自覚症状がほとんどないので、異常を指摘されているのに放置しているケースも目立ちます。放置して、何かあったときに「あの時に治療しておけば」となるのは本当に残念です。そんな事態にならないように、何か異常がある場合は精密検査を受けるなどの行動を起こしてください。睡眠時無呼吸症候群については、最近、注目されるようになって、検査や治療を受けたいと受診される患者さんも増えてきました。感染症の重症化リスクともされていますので、いびき、夜繰り返し目覚める、昼間の眠気といった症状のある方は早めに受診していただきたいですね。今後も当院は、この地域の医療に貢献すべく、精一杯取り組んでいきたいと考えています。