金井 幸代 院長の独自取材記事
ことびあクリニック 恵比寿院
(渋谷区/恵比寿駅)
最終更新日:2026/05/15
恵比寿駅から徒歩5分の場所にある「ことびあクリニック 恵比寿院」。オレンジやグリーンを基調とした温かみのある院内には、個室のドアに動物の案内札が並び、子どもが楽しく通える工夫があふれている。院長の金井幸代先生は、地元の大学病院や国立国際医療研究センター病院などで研鑽を積んだ後、長年、日本小児科学会小児科専門医として小児医療に携わってきた。「すべてのお子さんに幸せになってほしい」と穏やかに語るその言葉には、子どもたちへの深い愛情がにじむ。同院は土日祝日も診療を行っているが、その理由は単なる利便性ではなく、一人ひとりの子どもを継続して見守っていきたいという強い思いからだという。自身の子育て経験も生かしながら親子に寄り添い続ける金井院長に、診療への姿勢やクリニック名に込めた願いを聞いた。
(取材日2026年3月31日)
土日祝日も診療し、地域の子どもたちを継続して見守る
明るく温かな雰囲気の院内ですね。こだわりを教えてください。

注射や検査をされる怖い場所というイメージを少しでも和らげられるよう、院内はオレンジやグリーン、イエローといった温かみのある色合いでまとめました。各診察室には「サルの部屋」「リスの部屋」のように動物の案内札をつけて、お子さんが親しみを持てるようにしています。当院は基本的にすべて個室対応とし、待合室でお子さん同士が感染症をうつし合うのを避けるよう努めています。各部屋ベッドも備えており、具合の悪いお子さんは横になりながらお待ちいただけます。
土日祝日も診療する理由は何でしょう?
土日祝日も診療というと、単なる便利さのためだと思われることもあるかもしれません。でも、私にとって一番の理由は、一人のお子さんの経過をできる限り継続して診ていきたいという思いからです。休診日があると急な発熱や嘔吐、気管支喘息の発作などの体調不良時に、救急の外来など他院を受診されることになり、そこでの経過は当院のカルテには残りません。どのような状態だったか、どのような治療を受けたのか詳しくわからないまま、次の診察を迎えることになり、検査のタイミングや治療の最適な判断を妨げる場合もあります。ご多忙な親御さんを応援するためにも、平日は20時まで、土日祝日なども可能な限り診療日を設け、その子の経過や病歴を把握し続けることで、責任を持った診療ができると考えています。
この地で開業された経緯と、院名の由来をお聞かせください。

医師として自分ができることを一つ一つ積み重ねてきた結果、ここに至りました。恵比寿や近隣の地域は子育て世帯が多く暮らすエリアですが、一般の小児科が少なくて困っているという声を人づてに聞いたことがきっかけです。開業後にも「今まで予約が取れなくて困っていた」「健診の時期を過ぎてしまった」という保護者の方の声もあり、地域の切実さを実感しました。院名の「ことびあ(COTOVIA)」は、ポルトガル語で心地良いを意味する「Confortavel」、みんなを意味する「Todos」、安心を意味する「Alivio」、幸せを意味する「Alegria」を組み合わせた造語で、安心で心地良い医療を届けたいという願いを込めました。すべてのお子さんの幸せのために、医療を超えて寄り添える場所でありたいという思いです。
よく聞き、丁寧に診る。子育て経験が育む共感力
先生が小児科の道を選ばれるまでの経緯を教えていただけますか?

高校で進路を考えたとき、何か人の役に立てる仕事はないかなと思い、地元の徳島大学医学部に進みました。学生時代に、「小児がん患者を治す」という情熱と最先端の治療法の確立に奔走する小児科の恩師のお姿に感銘を受け、小児科に入局しました。大学病院や基幹病院の勤務医時代には、小児がんの他、髄膜炎や心筋炎など重症のお子さんの治療にも携わるなど、幅広い症例を経験する機会に恵まれ、笑顔で退院される時には大きな喜びを感じました。その後のお子さんの近況を親御さんから伺うこともあり、お子さんの回復や成長に立ち会うことができるのがこの仕事のやりがいと感じています。
日々の診療で大切にしていることは何ですか?
まず、親御さんのお話をよく聞くことを大切にしています。例えば「熱が出ました」というお話一つをとっても、その前から鼻水や痰がらみの症状があったのか、その間の活気や食欲、周囲の流行状況など、経過をさかのぼって丁寧に聞き取ることが適切な診断の助けになります。親御さんが抱えている不安も一つ一つ受け止めながら、お子さんの現在の状況や、今後注意していただきたい症状などを説明するように心がけています。話ができるお子さんに対しては「どこがつらい?」「痛いところはある?」などと優しく声をかけ、寄り添う姿勢で症状や困っていることを正確に把握するように努めます。熱一つ嘔吐一つにしても、風邪や胃腸炎以外の重大な病気がないかと、その都度、慎重に診察しています。また、生まれ持って備わった自然治癒力も信じ、過剰な投薬を避け、その子に合った治療を心がけております。
お子さんを育ててこられた経験は、診療にも影響していますか?

自分自身が育児を経験したことで、育児中の些細な悩みにも共感ができるようになりました。お子さんの体調不良時にはどれほど心配かも、より親御さんの気持ちに寄り添えるようになったと感じますし、子どもの自己肯定感を高める接し方をより意識するようになりました。今は情報があふれていて、真面目な親御さんほど「きちんとやらなければ」と一生懸命すぎて、つらくなってしまうこともあります。でも、その子なりの発達や発育、回復を見守ることもとても大事ですから、必要な診察と介入をした上で、「成長過程によくあること、大丈夫」「毎日しっかりケアしてくださっていますね」などと、親御さんがいつも頑張っておられることにもふれ、肩の力を抜いて子育てを楽しんでいただけるような声かけを心がけています。
すべての子どもの幸せな未来をチームで支える
クリニックを支えるチーム体制についてお聞かせください。

現在、私を含め総勢6人の医師がシフト制で日々の診療にあたっており、アレルギーや小児外科、小児循環器などを専門とする医師も在籍しています。予約制で各専門の外来も設け、幅広いお悩みに対応できるよう体制を整えているところです。医師同士でカルテでの申し送りや直接の連絡で情報を共有しながら丁寧な診察を心がけ、医療の質を高めています。その他スタッフは、皆優しく、患者さんにとって心地の良い環境と適切な医療をお届けできるにはどうすれば良いかと定期的に話し合いながら、一人ひとりが責任感を持って、毎日の診療をサポートしてくれています。
今後の展望についてお聞かせください。
子育てに悩みや不安を抱えている親御さんにとって、少しでも安心していただける場所でありたい。これからも誠実に、質の高い医療を追求していきたいです。現在設けている専門の外来の体制を今後も維持し、地域の方が気軽に各専門の医師の診察を受けられるよう努めます。また、わずか1日の入院の遅れが深刻な状況に陥ることもありますので、適切なタイミングで精密検査や入院治療におつなぎできるよう、地域の総合病院や大学病院の先生方との連携を一層強化していきます。近隣の保育園や学校での園医・校医としての活動や、生後2ヵ月からの定期接種や乳児健診にも力を注ぎ、病気の時だけでなく、お子さんの健やかな成長をサポートしていきます。かかりつけ医としての日常的な診療と、必要なときの高度医療機関への橋渡し、その両方を大切にして、生まれてすぐからのお子さんやご家族に長くお付き合いいただける、信頼されるクリニックでありたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

すべてのお子さんに幸せになってほしい。お子さんの病気のことや子育てのあらゆる場面で悩み、一生懸命でいらっしゃる親御さんの力になりたい。それが開院してからずっと変わらない私の思いです。私自身の子どもはもう成人しましたが、こうやってずっとお子さんたちの笑顔に触れることができて本当に有難いです。この子に笑顔でいてもらいたい、いい未来が訪れますように、と願いながら日々の診療にあたっています。親御さんと一緒にお子さんの未来を支えていけるよう、これからも一つ一つの出会いを大切に、志を同じくするチームの皆とともに、真摯に向き合ってまいります。

