田村 正年 院長の独自取材記事
あきらめない頭痛クリニック
(福岡市博多区/千代県庁口駅)
最終更新日:2024/05/28
福岡市地下鉄箱崎線千代県庁口駅から徒歩5分、ショッピングモールやマンションなどの多いエリアで2023年11月20日に新規開院した「あきらめない頭痛クリニック」。クリーム色や木々の色を基調とした院内は、優しい雰囲気に満ちあふれている。同院は鹿児島県で脳神経外科、頭痛の治療に専門的に取り組んでいた田村正年院長が、頭痛に特化した治療をより多くの人に知ってほしいという思いで福岡市博多区に開院したという。「頭痛の治療に積極的に取り組むようになったのは、頭痛で苦しむ家族を救いたいと思ったのがきっかけでした」と真剣な表情で語る田村院長に、その背景や治療方針、頭痛で悩んだ際のアドバイスなどを詳しく聞いた。
(取材日2023年12月6日)
家族の治療をきっかけに、頭痛治療を専門に
頭痛を専門にしたクリニックと伺っています。
当院は、あらゆる頭痛に対して多角的に原因追求を行い、根本から頭痛を治療することをめざすクリニックです。現在働き盛りで、時折起こる頭痛に対して対処療法的に薬を飲まれているという方から、原因不明の頭痛にずっと悩んでいる方など、さまざまなタイプの頭痛に対して、きちんと向き合って専門的に治療を行っていきます。大人の方はもちろん、子どもの頭痛治療も数多く経験がありますので、老若男女問わず安心してお越しいただきたいですね。頭痛があって当たり前で終わらせるのではなく、その原因やその背景にあるものなどもきちんと検査、判断して根っこから解決を図ることをモットーとしています。
頭痛に特化したクリニックを開きたいと思われたきっかけについて教えてください。
もともと私は、鹿児島県で脳神経外科の勤務医を経験した後、鹿児島県鹿屋市に田村脳神経外科クリニックを開業しました。それまでは脳神経外科全般の診療を行っていたのですが、その頃に家族の頭痛が悪化しました。当時はまだ頭痛に関する治療が未発達で、参考になる論文や書籍なども国内に少なかったので、あらゆる角度で情報を集め、国内外問わず治療方法を模索していきました。一脳神経外科医としてのプライドもありましたし、苦しんでいる家族を放っておけない、そして同じように苦しんでいる方に対して手を差し伸べたいという思いで考え得る治療を実施したのがきっかけですね。
その後、福岡で頭痛に特化したクリニックを開業したきっかけも教えてください。
私は、当時の頭痛に対する治療や調査の記録を、自院のホームページに「頭痛日誌」として綴っていたことがあったんです。そのホームページを通じて、家族だけでなく、鹿児島の方だけでもなく、全国に同じような悩みを抱えている方がいて、頭痛の治療を望まれているという現状を知り、もっと多くの方に自分の治療を役立てたいと思うようになりました。そこで、全国の患者さんがアクセスしやすい福岡市博多区というエリアで頭痛治療に特化したクリニックを開業する決意をしました。
「頭痛に悩まない生活」を諦めないのが基本方針
どのような方を対象にしたクリニックなのでしょうか。
当院は、年齢を問わず幅広く頭痛治療に取り組んでいます。これまでご相談いただいた患者さんの傾向としては、日常生活において頭痛で快適に過ごせていない30〜40代の方々や、小児で片頭痛の悩みを持たれている方が多いですね。頭痛で悩むようになると、音や光、臭いなどにも敏感になりやすく、さまざまな面で苦労することが増えるでしょう。一度良くなったとしても、また頭痛が再発するんじゃないかと不安を抱えて前向きになれない方も多いんです。このように、頭痛で悩まれている多くの方に、投薬治療はもちろん機械を用いた治療方法などを提案して、幅広く解決を図っていきます。頭痛の治療方法は、私が研究を始めてからこれまでどんどん進化しています。今も新しい治療については情報を集め、治療に生かせるように努めていますよ。
クリニック名の「あきらめない」に込められた意味や思いを教えてください。
当院では「幸せをあきらめない」というビジョン、「引き下がらない医療を」というミッションを掲げています。頭痛というのは、生活の質を下げる大きな原因になり得る病気です。その一方で、市販薬だけの治療や痛みを多少であれば我慢する、という対応をしている人が多くいるのも事実です。そこで当院では、より良い有意義な人生を送っていただくための治療を「絶対にあきらめない」という思いをクリニック名に込めました。私自身がこれまで、家族のために、地域のために、頭痛で悩んでいる人のために行ってきた治療を一言にすると「あきらめない」という言葉がしっくりきたんです。この名前を掲げて、引き続き多くの頭痛で悩んでいる方のために貢献できればと思っています。
開業するにあたって、クリニック内でこだわったところを教えてください。
当院に来られる方は、頭痛で悩まれている患者さんです。前述のとおり、頭痛の患者さんは音や光、においに過敏になられることが多いので、院内の照明を少し抑えめにしています。また、白い壁でなくクリーム色や淡い色を採用して、知覚が刺激されすぎないように配慮しました。また、頭痛が治っていくイメージをもとにロゴなども作成しています。そして、院内にはいくつかのアートも飾りました。これらは精神障害のある方に描いていただいたもので、ひたむきに絵を描かれているその姿が当院の姿勢に近いものを感じ、依頼させていただきました。院内の案内表示などにも採用しています。
多種多様なアプローチで、頭痛の治療に励む
どのように頭痛の治療を進めていくのでしょうか?
まずはご来院いただき、問診と検査を行います。頭痛の診断において問診はとても重要ですから、患者さんご自身の頭痛についてより正確に伝えていただけるよう、いくつかの質問を行います。例えば、いつ頃どのように頭痛が起きたのか、痛みはどれだけ持続するのか、どこがどの程度痛むのか、同時に症状は出るのか、などです。頭痛の痛み方も、締めつけられるような痛みや、ずきずきした痛みなど種類が複数あるので、どれに当てはまるのかもお答えいただきます。そして客観的に判断するための検査として、CTやMRI、エックス線などを活用して状況を把握していきます。これらの問診と検査をもとに原因を特定し、投薬治療や機械治療など、症状に合わせた治療を進めていきます。
頭痛の記録をつけるのも、原因特定に役立つと伺いました。
受診しようと思ったときには、頭痛が治まっているということもありますよね。また、どんなタイミングで頭痛が起きたのかを知ることは、診断にも役立ちます。頭痛の起こった時間、痛みの持続時間、いつもと同じような痛みなのか、違う場合はどのように違うのか、痛みの強さ、薬を飲んだ場合はその時間と薬の名前などをメモしましょう。頭痛を点で捉えるのではなく、生活の中で線として捉えることで、さまざまな原因を検討する材料となります。また、生活習慣を知ることにもなり、その習慣の改善が頭痛の治療につながるケースもあるんです。他にも、精神的な原因から片頭痛になることなどもあります。そのため、内科としてのアプローチはもちろん、精神科としてのアプローチも大切にして治療を進めるケースもあるんです。
最後に、今後クリニックがめざしていきたい姿などを教えてください。
頭痛に対して「親や祖父母も同じように頭痛に悩んでいたから、自分も仕方ない」とか「鎮痛剤でどうにかしよう」という治療方法は、もう時代にそぐわないものだと考えています。頭痛を我慢することなく、解決する方法はいろいろと見つかっており、その手立てを提供できる環境が当院にはあると自負しています。頭痛を治療するための手立てを知らないことで、ずっと我慢をして悩み続ける方がいるというのはとても悲しいことです。当院では、少しでも多くの方に知ってもらい、頭痛に苦しむことのない楽しく有意義な人生を提供していきたいという思いで、日々診療に取り組んでいます。その使命を胸に、当院の認知度を高めながら、頭痛治療の普及を積極的に進めていきたいです。