伊藤 史子 院長の独自取材記事
あやこいとうクリニック
(渋谷区/代官山駅)
最終更新日:2024/05/22

代官山駅中央口改札を出てすぐの場所にある複合施設、フォレストゲート代官山にある「あやこいとうクリニック」。長い人生を健やかに、幸せに生きるための手立てを多角的な視点で提案する同院には、ケガのケアや予防を望むスポーツに励む大人やプロをめざす若者、更年期障害に苦しむ女性、抗がん剤の影響で失われた体毛を取り戻したいと願う人など、実にさまざまな人々が訪れる。院長の伊藤史子先生は形成外科を専門とする一方、更年期障害に対するホルモン補充療法にも精通している。同院では予防医療やエイジングケアまで幅広く対応。肌トラブルの相談にも対応している。「病気やケガをプラスに変えていける治療をめざしています」と話す伊藤院長に、診療のこだわりや今後の展望について聞いた。
(取材日2020年7月27日/再取材日2024年4月4日)
ネガティブをポジティブに変える治療やケアをめざして
2023年12月にこの場所に移転されたそうですね。

2011年に自由が丘で開業したのですが遠方から通ってくださる患者さんが増えてきて、もう少しアクセスの良い場所へということで2017年に代官山に移ってきました。その後もありがたいことに患者さんが増え、それに伴ってスタッフを増員し、新たな医療機器も導入したことで手狭になったため、前院の向かいに新たに開業した複合施設内に移りリニューアルオープンしました。いい意味で病院らしくない、リラックスできる空間にしたいと思い、内装は森の中を散歩するようなイメージでデザインしてもらいました。照明は木々の枝葉の隙間から差し込む木漏れ日をモチーフにしていて、時間帯によって明るさや光の色が変化する設計になっています。クリニック自体が体内時計をもって呼吸しているようで、午前中と夕方で院内の表情が違うんですよ。
クリニックのコンセプトからお聞かせください。
病気を未然に防ぐための予防医療が当院の大きな柱ではありますが、コンセプトとしては、患者さんが「ケガや病気になる前よりも良くなった」と感じられるようにサポートすることだと思っています。例えば、顔など目につきやすい場所に傷ができて落ち込んでいた人も、治療をすることで傷痕が目立たなくなれば気持ちも明るくなるでしょうし、中には傷がきれいになったことで肌の状態にも興味がわき、しみのケアや脱毛などを希望される方もいらっしゃるでしょう。ケガや病気を治すだけではなく以前よりも良い状態にまで引き上げ、ネガティブなこともポジティブに変換する、そんな治療やケアを提供できるクリニックをめざしています。
治すだけでなく、その後の未来まで見据えた診療を心がけているのですね。

当院では脊柱(背骨)が何らかの原因で曲がってしまう脊柱側弯症の診療も行っているのですが、側弯症の中でも10歳以降に発症する思春期特発性側弯症は女の子に多いのが特徴です。軽度の場合は経過観察ですが、中等度になると進行防止のために装具による治療を行います。ほぼ一日中、大きくて硬い装具をつけているのはストレスですし、おしゃれをしたい年頃の女の子が装具のせいで好きな洋服を着られなくなるのはつらいことだと思います。当院では、なぜこの治療が必要なのかという目的を事前にしっかり説明するとともに、可能な限りコンパクトで効率的な装具の作成で、ストレス軽減につなげています。治療の目的を理解できれば、ほとんどのお子さんは真面目に治療に取り組んでくれると思います。「側弯症になったから終わり」ではなく、側弯症になったことをバネに変えていけるよう患者さんをサポートしていきたいですね。
診療科の枠を超え、多様な不調を抱える患者の受け皿に
どのような患者さんが多く来院されていますか?

診療科目は形成外科・美容皮膚科・整形外科・皮膚科ですが、どの診療科を受診したらいいかわからないという方々の受け皿になれるよう、入り口は広く構えています。整形外科領域に関しては、老若男女問わず、さまざまな競技、ダンスに励む方々のケガからのリカバリーや、ケガをしづらい体づくりなどのサポートを行っています。エックス線検査や診察のほか、運動機能を力学的に解析するバイオメカニクスの専門家のサポートを得て、実際の患者さんの動きをチェックしながら体のバランスや強化すべき箇所を見極め、その患者さんに合った治療やトレーニングメニューを作成・提案します。そのほか、転んでケガをしたお子さんや、ニキビや水虫、ヘルペスなどの一般保険診療、更年期障害に対するホルモン補充療法も行っています。
通常の診療以外に、さまざまなトレーニングやレッスンも受けられるそうですね。
はい。クリニックと同じフロアにスタジオを設置していて、床に座ったまま行うフロアバレエや、筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせたサーキットトレーニング、ピラティスなどのレッスンを、各分野の専門のトレーナーが行っています。当院の患者さんを対象に開催しているレッスンですのでケガの予防や治療の要素が強いメニューが中心ですが、体力・筋力や柔軟性を高めたい、運動習慣をつけたいといった目的で参加される方もいらっしゃいます。転倒しない体づくりをめざすシニア向けのレッスンもありますので、健康への入り口として活用していただければうれしいですね。
「仕方がない」と諦める前に、気軽に相談してほしい
先進の医療機器を導入されているそうですね。

もともと機械が好きだったこともあって、さまざまな先進のものを多数導入しています。また、脊柱側弯症の適切な評価のため、背骨全体を1枚の画像で撮影できる全身用のエックス線撮影装置を設置しています。クリニックで導入している施設は少ないようで、メーカーさんからは「本当に納入しますか?」と事前に確認されました(笑)。
今後、取り組んでいきたいことはありますか?
当院には世界をめざしてスポーツに励む選手の方々も多く通ってくれていますので、これからも全力でサポートしていきたいですね。また、先ほどお話しした思春期突発性側弯症の発症には、クラシックバレエや新体操などの一部のスポーツが関連しているという報告があります。側弯症は学校検診などで発見されることが多く、診断後に治療を始めるという流れなのですが、そもそも側弯症を発症しないように予防しながらスポーツを継続していくような試みにも取り組んでいけたらと考えています。そのほか、ジュニア用のサプリメントや巻き爪の矯正治療に使用する装置の開発などにも力を入れ、将来的には世界に展開して日本の技術力をアピールできればと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

病気やさまざまな不調を「仕方がない」と簡単に諦めないでほしいとお伝えしたいですね。もちろんすべてを解決できるわけではないのですが、私たちがこれまで蓄積してきたスキルや経験を駆使すれば、意外とできることはあると思っています。体の不調を抱えているけれど「ケガをしたから、病気だから治らないのは仕方がない」と諦めてしまう前に、私たちにご相談ください。予期せぬケガや病気、不調をきっかけに失速するのではなく、よりポジティブで豊かな人生へとつなげられるように、精一杯サポートいたします。