丸山 泰幸 理事長、石川 昌弘 院長の独自取材記事
岩槻南循環器クリニック
(さいたま市岩槻区/岩槻駅)
最終更新日:2024/11/29
岩槻駅からすぐのショッピングモールの中にある「岩槻南循環器クリニック」。循環器救急診療などを担う「岩槻南病院」の丸山泰幸理事長が2023年に開業したクリニックだ。大学病院の循環器内科に長年勤務してきた石川昌弘院長と力を合わせ、内科診療と心臓リハビリテーションに注力している。広々としたフィットネス施設を併設し、ここに通うことで知り合いが増え、元気を取り戻す高齢者も少なくない。循環器疾患の再発を予防するための心臓リハビリはもちろん、クリニックに通うすべての人の健康増進のための健康増進プログラムを推奨しているという同院。どのような取り組みをしているのか、丸山理事長と石川院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2024年10月17日)
循環器疾患の再発予防のための心臓リハビリを身近に
岩槻で長く医療に携わってきたと伺いました。
【丸山理事長】曽祖父が岩槻で「丸山醫院」を開業したのは1896年。やがて「丸山記念総合病院」となり、あふれかえる透析患者の受け皿として「岩槻南病院」が誕生したのは1977年のことでした。初代院長を務めたのは「丸山記念総合病院」の副院長でもあった父・丸山正幸です。「医は仁術」を信念とし多くの人に慕われていましたが、私が医師になって2ヵ月で61歳の若さで他界してしまいました。もともと持病があり、父を治したいという思いもあって循環器内科をめざしていたのですが間に合いませんでした。「岩槻南病院」の院長としてまず私が取り組んだのは、循環器内科を立ち上げ、24時間365日体制の循環器救急診療を開始することでした。
新たにこちらを開業した理由をお聞かせいただけますか?
【丸山理事長】循環器疾患はせっかく救急で救えても、そのまま何の予防もしなければ再発して命を落としてしまう人も少なくありません。有酸素運動を習慣にして心臓の機能を維持していかなければいけないのですが、「スポーツジムに行ってください」「近所をウォーキングしてください」と患者さん任せにしても、続けるのが難しい方もいます。そこで、心臓や血管の病気の再発防止と健康維持に特化した心臓リハビリを始めたのですが、「岩槻南病院」は岩槻駅からバスという立地で、患者さんやご家族にご不便をおかけしていました。ストレスなく続けていただくことが何よりも大事なので、岩槻駅の目の前という便利な場所にフィットネス施設を併設した当院を新たに開業することにしたのです。
石川先生が院長に就任するまでの経緯を教えてください。
【石川院長】私も丸山先生と同じような医療家系に育ち、自然な流れで医師になりました。循環器内科を専門として大学病院で診療にあたってきましたが、難症例も数多く経験しました。やはり、再発問題は見過ごせず、心臓リハビリの重要性を痛感していたところに、丸山先生から声をかけていただいたんです。大学病院には20年以上いましたが、その間も「いつかは親類たちのように自分も地域医療に携わりたい」という思いも常にありましたしね。私は隣町の春日部で育ったので、岩槻に関わり始めてからまだ1年半。それでも、地元の皆さんが温かく迎えてくださって、このアットホームなコミュニティーの一員になれたことが心からうれしいです。大学病院よりも患者さんたちとの距離はとても近くなり、きめ細かに健康管理できる点にもやりがいも感じています。
充実設備を多職種連携で駆使し患者の健康を見守る
現在はどのような患者さんがいらっしゃっていますか?
【石川院長】循環器疾患をお持ちのご高齢の方が中心ですね。あとは母体となる岩槻南病院だけではなく、近隣のクリニックからの患者さんも積極的に受け入れています。慣れ親しんだかかりつけ医に診てもらいながら、心臓リハビリだけは当院で、といった方も多いですね。循環器のほかにも岩槻南病院と密に連携しながら幅広く内科一般の診療をしています。ワクチン接種、各種健診、がん検診なども行っているので、気軽にお立ち寄りいただければと思っています。
設備もスタッフもとても充実していますね。
【石川院長】検査としては心肺運動負荷試験(CPX)、心電図検査、超音波検査、エックス線検査、多種多様な血液検査ができる設備を備えました。循環器疾患を見守るのに欠かせない、心臓・頸動脈・下肢静脈などを得意とする臨床検査技師も常駐しています。また、何といっても先進機器を備えたフィットネス施設を併設しているのも、当院ならではの特色です。さらに、心臓リハビリを専門とする看護師、理学療法士や、健康運動指導士など、専門知識を持ったスタッフがそろい、患者さん一人ひとりの症状やライフスタイルを考慮したオーダーメイドの健康増進プログラムを行っています。医師の目線だけではなく、多職種連携により多角的なアプローチができるのも大きな強みといえるのではないでしょうか。
診療にあたって何を大切にしていますか?
【丸山理事長】まだ若くて自分よりも年上の患者さんの診療にあたるばかりだった頃から、心から尊敬して接することを大切にしてきました。自分の親世代の患者さんを診ることもあり得ますから、治療方針に迷うことがあれば「自分の親だったらどうするか」を指標としています。患者さんの性格、ご家族との関係性などにも配慮して、どなたも不安にならないような、「心の通い合う、質の高い医療」を追求していきたいと思っています。
【石川院長】近隣のクリニックとも連携して、当院の充実した検査設備やリハビリ設備を活用していただければと考えています。このエリアにお住まいの方々が少しでも長く健康的に人生を楽しめるよう、地域医療連携もさらに深めていきたいですね。
岩槻の地域医療に貢献してきたバトンを未来へつなぐ
今後の展望についてお聞かせください。
【丸山理事長】当院のフィットネス施設は心臓リハビリだけではなく、クリニックに通うすべての方を対象とした健康増進プログラムも実施しています。プロのダンサーと協力して、高齢者もできるダンスを開発したのですが、これを普及させていきたいですね。ボウリングやラジオ体操程度の強度なので、心臓リハビリにも使用しています。私も踊っていますが、とても爽快感があります。ストレス解消にもなりますし、振りをまねしなければいけないので認知症予防にもなるでしょう。ストリートダンスの要素もあるので、ご高齢の方に限らず、働き盛り世代でも楽しめると思います。ロコモティブ症候群だけではなく生活習慣病の予防にも役立てていただければ幸いです。今後、このような健康増進施設をもっと増やしていけたらいいですね。
ダンサーさんも御親戚の方だそうですね。
【丸山理事長】いとこなんです。一族では珍しく医療とは別の道を歩み、長年ダンスの世界で活躍しています。長いキャリアを経て「ダンスを健康増進に役立てたい」となったのは、やはり医療者の家系に育った血筋なのかもしれませんね。実は、石川先生もいとこなんですよ。
【石川院長】5歳年上の丸山先生は頼れる兄貴分で、子どもの頃からよく一緒に遊んでもらいました。僕の愛称は普通に「まーちゃん」でしたが、丸山先生は親戚中から「スラちゃん」と呼ばれていたんですよ。
【丸山理事長】産婦人科医師だった祖父がヨーロッパの講習会に参加した折にお土産で買ってきてくれた、胎内と同じ周波数が出る器具の名称が由来だそうです。どんなにぐずっていてもそれを聞くと泣きやんだらしいです(笑)。
最後に、地域の方々へのメッセージをお願いします。
【丸山理事長】長くこの地で先人たちが医療に携わってきたからこそ、地元の方々も頼りにしてくださっています。地域の先生方も「循環器のことならあそこだ」と患者さんを送ってくださることも少なくありません。これまで築き上げてきた信頼を損なうことのないよう、これからも真摯に地域医療に取り組んでいきます。いまだに「丸山先生の息子さんだから」と通い続けてくださる患者さんも多く、とてもありがたいです。もちろん、新しい患者さんも歓迎していますし、どなたに対しても等しく丁寧な医療を提供していきたいと思っています。
【石川院長】ご自身だけではなく、ご両親やお友達など大切な方を紹介したくなるクリニックをめざしています。どんな小さなお悩みでも、気兼ねなくお立ち寄りください。