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木村 俊夫 院長の独自取材記事

木村ウィメンズクリニック

(西宮市/香櫨園駅)

最終更新日:2024/03/12

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック main

兵庫県西宮市に2023年10月に開院した「木村ウィメンズクリニック」。オフホワイトとダークブラウンを基調とした院内はゆったりとした、落ち着いた雰囲気が特徴だ。院長を務めるのは木村俊夫先生。奈良県立医科大学を卒業後は大阪大学産婦人科に入局し、産婦人科領域をはじめ、子宮脱・膀胱瘤などの骨盤臓器脱、尿失禁など女性泌尿器分野の疾患についての経験を積んできた。木村院長は13年間市立芦屋病院の産婦人科部長を務めたスペシャリスト。同院では婦人科や女性泌尿器科を標榜し、専門としている医師がまだ少ないといわれる女性泌尿器疾患の治療に注力。骨盤臓器脱について研鑽を積み、手術経験も多い木村院長。「女性のQOL改善のお役に立ちたい」という木村院長に話を聞いた。

(取材日2024年2月15日)

泌尿器疾患に悩む女性たちのため、学びと経験を深める

開院されるまでのご経歴について教えていただけますか?

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック1

奈良の大学を卒業後、大阪大学の産婦人科に入局しました。そこではお産を含めて、幅広く産婦人科領域の診療を経験しました。父が産婦人科の医師だったこともあって産婦人科医の道に進みましたが、入院して唯一喜ばれるのは産科の特徴だと思います。それもこの診療科を選んだ大きな理由です。その後数か所の医療施設で研鑽を積みましたが、最後に勤務した市立芦屋病院では分娩を扱わなかったので、これまでの産婦人科の診療での経験を生かして、一般の婦人科疾患と女性泌尿器科疾患の診療を中心に行ってきました。ですから、婦人科とともに女性泌尿器科に特化した治療をしていきたいと、このクリニックを開院しました。

女性泌尿器科を掲げているクリニックは少ないように思いますが、どのような疾患が主になるのでしょうか。

骨盤臓器脱や女性の尿漏れ(尿失禁)などです。女性と男性では骨盤内の構造がまったく異なっており、女性のこれらの症状を専門的に診る診療科が女性泌尿器科です。最近は「フェムテック」とも表される女性が抱える健康における課題を解決するための商品やサービスが注目されるようになった流れで、女性泌尿器疾患を専門にする女性医師も増えてきましたが、全国的に見てもまだまだ少ないのが現状です。

骨盤臓器脱を専門にされたきっかけについて教えてください。

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック2

骨盤臓器脱とは、膀胱・子宮・直腸などが腟から脱出する状態で、海外では女性の2割くらいが手術などの治療を受ける疾患です。日本でも昔から普通にあったのですが、あまりきちんとした治療がされていないことが多いのが現状でした。日本人はその症状であまり受診されないですし、手術して再発や尿漏れなどの症状を起こしたとしても、仕方ないと諦めてしまっていた方も多いのだと思います。医師になって10年ほどたった頃に骨盤臓器脱に詳しい医師に出会ったこともあり、勉強するようになりましたね。その中で、悩んでいる方たちを見て、なんとか治したいと思うようになり、その治療に多く関わるようになりました。

骨盤臓器脱の手術で女性の生活の質向上をめざす

骨盤臓器脱の患者さんはどのような症状で受診されるのでしょうか。

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック3

骨盤臓器脱の一番の原因は分娩で、出産経験がない方は圧倒的に少ないのも特徴です。海外では骨盤が下がるのが嫌という理由で帝王切開を選択することもあるくらい。早ければお産の後にすぐ症状が出る若い方もいますが、産後一旦は落ち着き、実際に骨盤が下がってくるのは閉経後が多いですね。まれな病気ではなく、分娩をされた方では軽度の下垂がみられることはよくあり、腟外まで脱出していなければほとんど症状がありません。症状が進みひどくなり、腟外にまで脱出した臓器に触れることで、びっくりして受診される方がほとんどです。昔の日本では公衆浴場で周囲の人が見てもわかるくらい出てしまっている女性も珍しくなかったようですよ。生命に関わる病気ではありませんが、臓器が出てしまうことにより、尿が出にくくなってしまうと腎臓にも影響することも。また、自分で触れるぐらいに下垂してきた場合には生活の質を落とすことは確かです。

骨盤臓器脱の治療方法にはどのようなものがありますか?

治療法は、手術や腟内にペッサリーを挿入するなどがあります。骨盤底筋体操は予防には有用ですが、脱出後の改善は困難でしょう。ただし、「下がっている」と「治療」はイコールではないと僕は思っています。本人が気づかず症状がなければ、そのままで良いと思います。自分で不快に感じ、「治したい」という希望があって初めて治療を勧めます。治療法については、手術のご説明はしますが強制はしません。そして手術を希望される患者さんには、メッシュを用いる手術と用いない手術、患者さんに合わせてより再発しにくい方法を選択します。手術は近くの笹生病院と連携しており、そちらで私が執刀させていただきますので安心いただけるのではないかと思います。

将来の骨盤臓器脱の予防のため、産後に気をつけたほうがいいことはありますか?

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック4

そうですね。特に産後は骨盤底筋が一番弱っているときなので、ケアはしたほうがいいと思います。しかし、産後の体型を気にしておなかをガードルなどで締めつけてしまうと、余計に骨盤底筋に圧がかかるので、骨盤臓器を支える骨盤底筋にとってはあまり良くないんです。また、産後に腹筋を鍛える場合は、骨盤底筋も一緒に鍛えていただく必要があります。間違ったケアをすると、50~60代になったときに影響として出やすいんです。産後の体についての正しい知識がもっと広めていきたいと考えています。

泌尿器のみならず、女性特有の悩みにも幅広く対応

尿漏れについては、どのような治療をされるのでしょうか?

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック5

女性ホルモンが減ると尿漏れが増えてくるので、50~60代ぐらいで、悩みを抱えている方が多いですね。女性の尿漏れは大きく分けると腹圧性と切迫性という2種類がほとんどです。これらが合併していることも多く、混合性尿失禁といいます。腹圧性は咳やくしゃみなど、おなかに力がかかったときに尿が漏れるタイプで、基本的に手術を優先します。それに対して、尿意を感じて我慢できず尿が漏れてしまう切迫性は、薬剤治療が中心になります。まずはどのタイプかを見極めます。また、尿漏れではなく頻尿の場合は、加齢によって増えてくる過活動膀胱という病気の可能性があります。これは手術ではなく、薬による治療を行います。院内には排尿の勢いや残尿を測る特殊なトイレも完備しており、尿の出方のパターンを見ています。出方が悪い場合は膀胱の収縮の力が弱く、手術をするとリスクが高いこともあり、そういったことも含めて、治療方法を判断していきます。

骨盤底筋を鍛えるための指導も行っているのですか?

骨盤底筋の衰えを予防するための体操などもよく知られるようになってきましたが、実際に正しく骨盤底筋を意識してできている方は少ないんですよ。おなかばかりに力がかかると、かえって良くないこともあります。なので、適切なアプローチ法をご提案させていただきます。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

木村俊夫院長 木村ウィメンズクリニック6

骨盤臓器脱に関しては、手術をした年配の患者さんが、お友達を連れて来院されることが多いんです。それだけ身近に悩んでいる方がたくさんいるということですし、長年悩まれている方も多いのだと思います。女性泌尿器科の話がメインになりましたが、月経困難症や子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫、更年期に多い女性内科疾患などにも幅広く対応しております。女性特有のお悩みを抱えて不快感を我慢している方、恥ずかしさから受診をためらわれている方にも、気軽に相談に来ていただけたらと思っています。また尿漏れの治療を長く続けている方の中には、骨盤底筋の筋力低下が原因という方もいらっしゃいます。なかなか改善されない方はぜひ一度ご相談いただけたらうれしいですね。

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