鈴木 俊輔 院長、三浦 太郎 先生の独自取材記事
山と空こどもアレルギークリニック
(八王子市/八王子駅)
最終更新日:2025/07/02

八王子城山線沿いのマンションの1階にある「山と空こどもアレルギークリニック」。日本アレルギー学会アレルギー専門医であり、小児科医でもある鈴木俊輔院長が2023年10月に開業した。院内の至るところに小動物や植物のイラストが描かれ、待合室には海をイメージした水槽で魚が優雅に泳いでおり、子どもも大人も心地良く過ごせる空間が広がっている。2025年2月より鈴木院長の大学病院時代の後輩でありアレルギー専門医でもある三浦太郎先生が新たに診療に加わった。これにより常時複数の医師による診療体制が整い、より充実した医療の提供が可能となっている。診療スタイルや専門性を生かしながら協力体制を築き、患者と真摯に向き合う鈴木院長と三浦先生に診療の特徴や今後の展望について話を聞いた。
(取材日2025年3月22日)
アレルギー専門医が新たに加わり充実した診療体制に
院内は安らげる空間で、患者さんに心地良く過ごしてほしいという思いが伝わってきます。

【鈴木院長】ありがとうございます。「いつも近くで見守ってくれる山と空のように、患者さんに安心して与えられる存在でありたい」という思いを込めてクリニック名をつけました。当院は、アレルギー専門医による花粉症、食物アレルギー、気管支喘息などさまざまなアレルギー性疾患をはじめ、一般小児科、子どもの中耳炎や副鼻腔炎、皮膚疾患など幅広い分野を診療し、小児のプライマリケアクリニックとして総合的な診療を行っています。院内で感染症への不安を減らすため、待合室を2つに分け、風邪やインフルエンザなど感染症の待合室を「山」、予防接種・健康診断・アレルギー診療の待合室を「空」と名気づけ、安心できる空間にしています。裏手にあるもう一つの入り口「こびと」からは、隔離診療室に直接入室できるようになっています。
アレルギー専門医がスタッフとして加わったそうですね。
【鈴木院長】2025年2月から、アレルギー専門医である三浦太郎先生が加わりました。以前は、アレルギー専門医が私一人だったため、風邪など感染症のお子さんとアレルギーのお子さんを同時に診ることが難しい状況でした。しかし、三浦先生という同じアレルギー専門医の小児科医が加わったことで、診療時間内にアレルギーと風邪などの感染症の両方の診療をスムーズに行え、お子さんから大人の方まで、より多くの患者さんに対応できるようになりました。曜日によっては非常勤の医師がもう一人加わり、3人体制で診療を行っています。
三浦先生は、どのような経緯でご勤務するようになったのでしょうか。ご専門についても教えてください。

【三浦先生】鈴木院長は、大学病院時代の先輩でした。院長とはアレルギーのトレーニングを同じ病院で受けたため、考え方や治療法が似ており、気心の知れた関係です。院長先生から開業前から「いつか一緒にやろう」と声をかけられており、この度当院で勤務することになりました。先輩後輩の間柄でお互いの性格や能力をよく理解しているため信頼関係が築きやすく、患者さんにとって最善の治療を提供できると考えています。鈴木院長は遠慮なく意見を言ってくれるため、患者さんの治療方針について率直な意見交換ができ、互いに切磋琢磨しながらより良い医療をめざせると思います。私の専門は鈴木院長と同様食物アレルギーです。喘息ガイドラインの作成メンバーとしての活動経験があり、喘息の診療も得意としています。
子どもの目線を大切に寄り添う治療を
診療において大切にしていることを教えてください。

【鈴木院長】お子さんの目線を大切にすることです。たとえ小さな赤ちゃんでも、「今日はどうしたの?」と、まず本人に聞くようにしています。もちろん、まだ話せない子であればすぐに親御さんに尋ねるようにしますが、できるだけ本人から話を聞き、親御さんからプラスアルファの情報をお聞きするようにしています。「お口アーンできてすごいね」など、褒めることも大切にしています。
【三浦先生】お子さんたちに、病院を「痛くて嫌な場所」と思わせないことです。また、隠れた病気を見逃さないように注意深く診察することを心がけています。保護者の方々は、気になる症状を訴えて来院されますが、医師として、親御さんが気づいていない病気がないか、総合的に判断することが重要だと考えています。お子さんの成長や発達にも気を配り、風邪の診療だけでなく、発達に関する悩みなど、親御さんが気軽に相談できるような関係性を築きたいと思っています。
食物アレルギーの治療では、食物経口負荷検査も行っているのですね。
【鈴木院長】食物アレルギーの食物経口負荷検査は、症状が出るリスクを考慮し慎重に行う必要があります。お子さんの症状や食べた量などを親御さんから詳しく聞き取った上で症状が出ないように配慮しながら行います。食物アレルギーの確定診断と、食物に含まれるアレルゲンの量を把握して安全に食べられる食品や量を確認することがこの検査の目的です。万が一、症状が出た場合でも、当院は複数医師で対応できる体制を整えているため、安心して検査を受けていただくことができます。
花粉症などアレルギー性鼻炎にはどのように対応しているのでしょうか。大人も診療しているそうですね。

【鈴木院長】必要に応じて血液検査などを行い診断しますが、血液検査以上に問診や鼻の中を診るなどの診察でどれくらいアレルギー症状が出ているのかを診査し、その情報をもとに診察することに重きを置いています。治療法としては、一般的な抗アレルギー薬の内服や点眼、点鼻薬に加え、漢方薬や舌下免疫療法、免疫抑制作用のある注射など、患者さんの症状や生活スタイルに合わせた治療を提案しています。また、当院では、花粉症、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、じんましん、食物アレルギーなどアレルギー疾患に悩む大人の方も診療しています。お気軽にご相談ください。
医療の充実とともに患者が受診しやすい体制づくりを
ほかにはどのような治療や取り組みを行っていらっしゃるのでしょうか。

【鈴木院長】便秘や夜尿症は、以前は病気と認識されにくい症状でしたが、現在では医療機関への相談が増えています。お子さんの便秘の目安としては、排便が週2回以下、排便時に痛がる、出血がある、夜尿症については、小学校入学前後の年齢でも続いている、という場合受診をお勧めします。また、ニキビと水イボの治療も行っています。水イボは、一般的にピンセットでの摘除や液体窒素による治療が行われることもありますが、これらの方法は痛みを伴うため、お子さんの負担を軽減する目的で、保険診療でのヨクイニンの内服の他、銀を含むクリームを用いたスキンケアなどの紹介を行っています。予防接種は病気予防の重要な手段であり、定期接種以外にも任意接種があります。自治体からの情報だけでは不足する場合もあるため、当院では予防接種に関する相談も受けつけています。
子ども目線に立ったさまざまな取り組みをされていて、親子で安心して受診できますね。
【鈴木院長】当院では、家庭でのお掃除方法や正しい薬の飲み方などを紹介した「花粉症・アレルギー性鼻炎対策ブック」をはじめオリジナルの冊子を作成し、必要に応じて保護者にお渡ししています。これらの資料は開業前から少しずつ作成してきたもので、感染性胃腸炎や溶連菌など病気に関する情報や、漢方をおいしく飲む方法などたくさんの種類があります。初めて育児をする保護者の方は、不安なことが多いと思いますが、これらの資料に目を通していただくことで、少しでも安心していただけたらと思っています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

【三浦先生】お子さんのことで少しでも気になることがあれば、どんな些細なことでも遠慮なくご相談ください。「こんなことを聞いてもいいのかな?」と迷う必要はありません。私たち小児科医は、お子さんの健康に関するあらゆる疑問や不安に対応いたします。また、どの診療科を受診すれば良いかわからない場合も、まずは小児科を受診してください。小児科医が症状を総合的に判断し、必要に応じて適切な医療機関をご紹介いたします。お子さんのことで迷ったらまずは当院にご相談ください。
【鈴木院長】医療の充実とともに、患者さんがより受診しやすいよう、これまでの順番予約から時間予約制を導入しました。また、待合室を広くして快適な待機スペースを確保し駐車場も20台に増設しました。お子さん向けのアニメやおもちゃ、無線LAN設置などさまざまな工夫を実施し、より快適な受診環境を提供していきたいと思います。