下肢静脈瘤の日帰り手術は
血管の手術経験が豊富な医師のもとで
MYメディカルクリニック田町三田
(港区/田町駅)
最終更新日:2024/01/05
- 保険診療
女性に多い下肢静脈瘤は高齢者の疾患というイメージもあるかもしれないが、実は30代でも発症する。命に関わる病気ではないものの、放置したままでは見た目にも影響してしまうことも。心臓血管外科の治療を難手術を含めて多く行ってきたMYメディカルクリニックグループの総院長を務める馬場健先生は、いわば血管の手術に関するエキスパート。「MYメディカルクリニック田町三田」の院内に設けた手術室に先進の機器をそろえ、街のクリニックでありながらこれまでの研鑽を生かした繊細な手術に挑む。下肢静脈瘤の手術は難しいものではないが、患者一人ひとりに適した治療法を選択する目も必要だ。下肢静脈瘤の検査や手術方法にはどのようなものがあるのか、詳しく教えてもらった。
(取材日2023年12月27日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q下肢静脈瘤について教えてください。
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A
体内のすべての静脈には血液の逆流を防ぐ静脈弁があります。下肢静脈のうち体表付近にある表在静脈の弁が壊れて血液が逆流し、うっ滞が起きてこぶ状の塊が発生してしまう病気が下肢静脈瘤です。1:4の割合で女性が罹患することが多く、遺伝的要因、肥満、加齢、妊娠などでリスクが高くなると考えられています。出産経験がある人の約半分が実は下肢静脈瘤を抱えていて、たくさんの子どもを産んでいる方ほど発症しやすいとされています。
- Q下肢静脈瘤にはどのような症状がありますか。
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A
まず、むくみ、血流うっ滞による足のだるさ、足がつるといった症状があります。やがて湿疹、かゆみが見られ、さらに進行すると色素沈着、黒ずみが目立ってくるでしょう。最終的にはうっ滞性皮膚炎、皮膚の硬化、潰瘍形成にまで至るケースもあり、ここまで来ると下肢静脈瘤の手術後も皮膚の色だけはなかなか元に戻りません。そうならないためにも、できるだけ早く治療を開始するようにしたいところです。初期ならば手術ではなく弾性包帯や弾性ストッキングを用いて対応することで済む場合もあります。
- Q下肢静脈瘤の手術は血管の手術の一種なのですね。
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A
血液の逆流が起きている血管を閉塞させる手術になります。主流となっている血管内焼灼術は、血管に挿入したカテーテルの先端から照射されるレーザーで静脈を焼いて閉塞させるという方法です。歴史もある技術である一方、周囲の神経を誤って焼いてしまい神経障害を起こす場合もあり得ます。そのようなリスクがないのが、比較的新しい治療法とされる血管内塞栓術です。血管内にグルーという糊を挿入して閉塞させていくため、まれにアレルギー反応を起こしてしまう人もいます。どちらを適用するかは、患者さんの下肢静脈の状態やアレルギー体質の有無などをしっかりと検査の上で慎重に決めていかなければいけません。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診
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いつ頃からどのような自覚症状があるのか、右足と左足のどちらが気になっているのかなどを話す。慢性疾患、アレルギー疾患がないかなどバックグラウンドについても細かく伝える。更衣室で検査衣になり医師や看護師に足を観察してもらい、どこからどこまに静脈瘤が発生しているか見当をつけてもらう。
- 2超音波検査
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超音波検査を受ける。約10分かけ、足全体、足の付け根から足首までじっくりと見てもらう。同院では、検査技師ではなく馬場先生が検査を担当している。これは、「超音波検査をしながら治療の戦略を立て、この時、場合によっては穿刺してカテーテルを入れる場所も決めていくから」とのこと。超音波検査が終了したら治療法の説明を受け、内容を理解した後、手術同意書にサインをする。
- 3術前検査
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手術の前に、血液検査や胸部レントゲン、心電図検査などを受ける。特に感染症を起こしていないかは慎重に調べられる。これは院内検査の代わりに健康診断の結果を持参することで対応することも可能だそう。会社や健康診断の施設で受けた結果でも構わないとのこと。手術日を決め、当日に備える。
- 4手術
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手術衣に着替える。血管内焼灼術ならば薄めた麻酔液を血管のまわりに注入されるTLA麻酔と静脈麻酔、血管内塞栓術の場合は麻酔なしで手術を受けることが可能なのだそう。手術の所要時間は20〜30分。術後はリカバリールームで休み、止血を確認してもらい、弾性包帯を巻いてもらう。術後に仕事も可能だが、当日の入浴や飲酒は禁止とのこと。
- 5術後管理
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できれば翌日、難しい場合も2〜3日後には必ず診てもらう。経過が良ければ次の予約は1ヵ月後、さらに半年後という頻度で通院し再発がなければいったん治療は終了。しかし、むくみ、だるさ、かゆみなどが出てきたら、次の予約を待たずにただちに受診するようにしなければいけない。