女性の骨盤内うっ血症候群
カテーテル治療でスピーディーに対処を
西梅田静脈瘤・痛みのクリニック
(大阪市北区/大阪駅)
最終更新日:2024/01/12


- 保険診療
静脈の弁不全によって起こる病気としては下肢静脈瘤がよく知られているが、骨盤内で同じようなトラブルが起きるのが女性に特有の骨盤内うっ血症候群。下腹部の痛みやだるさを特徴とするが、認知度が低いため婦人科疾患と思い込み、専門の医療機関にたどり着く人が少ないのが現状だという。そうした女性の痛みの解消に向け、精密な診断や治療を積極的に行っている数少ないエキスパートが「西梅田静脈瘤・痛みのクリニック」だ。同院では日帰りでのカテーテル治療を積極的に提供することで、患者を長く続く痛みから解放することをめざす。そんな骨盤内うっ血症候群治療の流れやポイントを、小田晃義院長の解説で詳しく追ってみよう。
(取材日2023年12月26日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q下腹部の痛みが続く場合、何科を受診すればいいでしょうか?
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A
下腹部に原因不明の疼痛が続くのは女性に多い症状であり、婦人科疾患や泌尿器疾患ということも大いに考えられます。まずは婦人科や泌尿器科、消化器内科などに相談し、診断がつかない場合は骨盤内うっ血症候群を疑って静脈疾患を専門とする血管外科などを受診するのが順当でしょう。目安としては、立ち仕事によって痛みが増し夕方にひどくなるなどの症状が、月経とは関係なく6ヵ月以上続くようであれば、骨盤内うっ血症候群である可能性が高いといえます。痛みを放置していると生活に支障を来すばかりでなく、早期に治療を受けた人とはその進み具合にも差が表れます。なるべく速やかに適切な医療機関を受診し、一日も早い快方をめざしましょう。
- Q診断や治療は、どのように進めていきますか?
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A
症状的に合致していれば、他科で診断がつかないだけでも骨盤内うっ血症候群を疑う余地は十分にあります。CT検査で卵巣静脈が直径6mm程度まで拡張しているのが確認されれば、その可能性はさらに高まります。ただし確定診断に至るには造影剤を用いた血管造影検査が必要です。検査をして確定診断がついた場合、そのまま日帰りカテーテル治療に入るという選択も大いに考えられます。カテーテルと聞くと、心臓や頭部などの重篤な疾患に用いられるイメージがあるかもしれませんが、痛みも少なく、想像よりも軽い負担で施術を受けていただけるでしょう。他の臓器にアクセスする必要もなく、安全にも配慮しながら治療を行っています。
- Qカテーテル治療のメリットや注意点を教えてください。
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A
カテーテル治療は、うっ血の原因となる静脈を小さな金属製のコイルでふさぐ目的で行われ、IVR(画像下治療)とも呼ばれます。細径のカテーテルを用いるため侵襲は少なく、早急な改善をめざせるなど、さまざまなメリットが期待できます。診断さえつけば、予約がなくてもその場でカテーテル治療を行うことも可能。術後はその日のうちに帰っていただけますし、翌日からは入浴も可能です。造影剤のアレルギーや合併症のリスクはゼロではありませんが、安全性を重視して治療を進めます。治療が不安で悩んでいるままだと、いつまでも痛みや不便さからの解放は望めません。ぜひ前向きにご検討いただければと思います。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1問診・診察
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まずは問診票に、自覚症状や他院での受診経緯などを詳しく記入。その後に医師による診察が行われる。いつ頃からどのような状態で痛みが出るか、鎮痛剤を飲んでいる場合は服用後の変化もしっかりと伝えること。骨盤内うっ血症候群の診断は専門家でも難しいため、婦人科や泌尿器科での受診内容も重要な参考情報となる。もし近日にCTなどの検査を受けていれば、そのデータも忘れずに持参しよう。
- 2静脈の状態を詳しく検査
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検査の基本はCT撮影だが、確定診断には造影剤を使った血管造影検査が必要。その場合は腎臓機能の評価のための血液検査も行われる。症例によってはカテーテル検査で、静脈の状態をさらに詳しく調べる必要もあるという。カテーテル検査は処置室のベッド上で、30分もあれば終了。CT検査については徒歩圏内の提携病院にて実施するという。CT検査を受け、同院に戻りそのまま治療を受けることも可能だとか。
- 3診断と治療説明
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検査によって骨盤内うっ血症候群と診断されると、医師から病態説明と治療提案が行われる。慢性骨盤痛には薬物療法もあるが、「当院で勧めているのはカテーテル治療」と小田院長。豊富なエビデンスがあり、侵襲が少ないことなどが説明される。診断がつけばその場でカテーテル治療を受けることも可能だが、直前の食事は抜くのが原則。そのため、治療を受けることも事前に想定しながら受診することが望ましい。
- 4カテーテル治療
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カテーテル治療の実施が決定すれば、検査着に着替えて施術室のベッドに横たわり、局所麻酔を受ける。治療中の痛みに配慮し、同院では細径のカテーテルを用いる。カテーテル治療はモニターを見ながら行われ、所要時間は60分から90分程度。治療後は30分間ほどリカバリーチェアで休み、その後は歩いて帰ることもできる。入浴は翌日からとなるが、帰宅後は普段どおりに生活して特段の問題はないという。
- 5術後の経過観察
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治療痕はほとんどないので、特に手当は不要。術後2日から3日は違和感や軽い吐き気を覚える人もいるというが、体内に異物が入ったことで起こる当たり前の反応なので必要以上に慌てる必要はないそう。同院にはカテーテル治療を受けるために遠方から来院する患者も多いとの理由から、経過観察のための通院の手間をなるべく省略。1週間後、1ヵ月後にクリニックから電話をかけ、術後の経過を患者に尋ねるようにしているという。