最期まで自分らしく生きる
絆・つながりを大切にする訪問診療

訪問診療導入成功への鍵は医師に何でも話しておくこと

Qどのような時に訪問診療を活用できますか？

A

▲豊富な知識と経験に基づき、患者に寄り添う医療を提供

難病を患っている、持病の症状が重くなった、足腰が弱ってきた、通院手段がなくなった、ご家族や介助の方が通院させることが難しくなってきたなど、かかりつけのクリニックに通院するのが難しくなってきた時にいつでも活用できます。また当院が得意とする整形外科的な疾患を考えるとわかりやすいのですが、例えば脳疾患や先天的なものなどでお体にまひがある場合も活用すると良いと思います。また、急性期や回復期で入院していた病院からの退院時に、病院から紹介されることもあります。このような場合は訪問診療でという決まりはなく、患者さんやご家族にとってより良い医療との関わり方を考えていただければと思います。

Q患者や家族が知っておくべきことはありますか？

A

▲患者や家族とのコミュニケーションを大切にしている

多くの場合は介護保険、福祉または障害の制度を使うことになるかと思いますので、制度に詳しいケアマネジャーさんのお力を借りるのが賢明かと思います。またおそらく一生に近い長いお付き合いになると思いますので、何でも遠慮なく相談していただいて、より良いケア環境を一緒に整えていきたいですね。特に患者さんが事前に何かする必要はありません。たくさんの人を上手に頼っていただければいいのではないでしょうか。患者さんやご家族は、些細なことでもお話ししていただければありがたいですね。ちょっとしたお話から診療に関わることも多いのです。

Q他の医療機関と連携する際に気をつけていることはありますか？

A

▲地域の医療機関と連携して、多角的なサポートを行う

ケアマネジャーさん、介護や看護の方々など、職種を越えて私たちは一人の患者さんを通して一緒に医療に取り組む仲間だと思っています。それこそ「つながる」ということです。私は大規模病院での勤務経験も長いのですが、病院では非常に多くの患者さんを短時間で診ますので、どうしても患者さんやご家族とわかり合えるところまでは難しい状況でした。しかし訪問なら患者さんのご家庭に出向いて話し合えますし、介護や看護、ケアマネジャーさんとも実際に顔を合わせて意思の疎通ができます。そういった温かなつながりを大切にしています。また地域にはそれぞれ専門性の異なる先生方が開業されていますから、連携しながら診療を行いたいですね。

Qこちらのクリニックの特徴を教えてください。

A

▲訪問診療時に使用するポータブルエックス線検査機器

私は整形外科では、特に足を専門的に診療してきました。また救急の外来や医療過疎地域の診療にも携わり、患者さんを疾患だけでなく一人の「人」として全人的に診る医療を実践し力を高めてきました。整形外科はご自宅で治療や介護されている方々の身近な存在です。生活の質を維持・向上させるために、運動機能や身体機能のリハビリテーションは欠かせませんし、関わり方でも結果が変わってきます。そういったことを長年の経験からより適切に、理学療法士さんに指示できます。もちろんブロック注射や関節内注射も行えますし、褥瘡（じょくそう）、潰瘍、皮膚疾患などの経験も豊富です。

Qそもそもなぜ、訪問診療を専門にしようと考えたのですか？

A

▲患者や家族の不安を取り除くことが重要だと話す森院長

私の父は、現在の介護保険制度や訪問診療の体制が社会全体に広がる前から、今でいう訪問診療の必要性に注目していました。その背中を見て育ち、自分も医師となり父の手伝いをしていく中で、訪問診療の大切さを感じ、また自分が整形外科の医師として経験を積んでいくうちに、整形外科的なアプローチを核に患者さんの生活に入っていくことができれば、より生活しやすくなるための治療やリハビリテーションに結びつけることができるのではないかと思ったのです。また地方病院勤務時には糖尿病や肺炎など併発している整形外科の患者さんの診療もしていて、診療科の枠を超えて対応していた経験も生かせています。