大野木 輝 院長の独自取材記事
夢宏健会レディースクリニック
(大阪市大正区/大正駅)
最終更新日:2025/01/21

大阪区役所前バス停留所からすぐのところにある「夢宏健会(ゆめこうけんかい)レディースクリニック」。2023年に開業した同院の大野木輝(おおのぎ・あきら)院長は約20年間、大学病院の医局に属しながら多くの病院で産婦人科の診療にあたってきたベテランの医師だ。産婦人科において、自身が男性医師であるということが患者に与えるプレッシャーをよく理解し、女性が少しでも安心して通院できるよう、同院では患者ファーストな診療に注力。メンタル面の不調への相談も受け入れ、女性が抱えるさまざまなトラブルに丁寧に向き合っている。優しく患者思いの大野木院長を慕って遠方からも受診する患者がいるという同院。診療への思いなどを大野木院長に尋ねた。
(取材日2024年12月25日)
女性特有のトラブルに幅広く対応
どのような方が多くいらっしゃいますか。

10代から50代を中心に、ご高齢の方まで幅広くお越しくださっています。若い患者さんですと、やはり月経に伴う心身の不調ですね。生理痛などの体の症状だけでなく、月経前後に落ち込む・イライラするといったメンタル面での不調を抱えていらっしゃる方は少なくありません。それから、かゆみ・おりもの・出血などが心配でお越しになる方も多く見られます。40代後半から50代くらいの方では、更年期に伴う諸症状でお困りの方が多いです。冷え・ほてり・頭痛・めまいなど更年期の症状はさまざまですので、状況に応じてホルモン治療、プラセンタ注射、漢方薬等を使い分けるなどしてそれぞれのお悩みに対応しています。また、当院では大阪市の子宮がん検診を実施していますので、検査のために来院される場合もあります。
メンタル面の不調も診ていただけるのですか?
はい。心の症状もしっかり診るというのが当院の特徴の一つです。患者さんのお話を伺うことはもちろん、心療内科で処方される向精神薬などを当院でも扱い、お一人お一人の症状に合わせて調節しながら処方しています。一般的には「メンタルのことは心療内科へ」と思われるでしょうが、患者さんにしてみれば、生理前や更年期というタイミングで心に不調があったとき、いきなり心療内科や精神科の門はたたきづらいのではないでしょうか。それでひとまず当院に相談してみようという方が多いです。当院で治療を行った後、状態に応じて心療内科や精神科のクリニックを紹介させていただくことも可能ですので、調子が悪いなと感じたらお一人で悩まずにご相談ください。
クチコミを見て来院される患者さんが多いと伺いました。

開業以来、患者さんには本当に支えられています。当院は初診からウェブ予約ができますが、ウェブ上の問診票で当院を知ったきっかけについて伺うと、「クチコミを見て」という方が非常に多いんです。産婦人科の特性上、デジタル世代の若い患者さんが多いので、あらかじめ当院のことを検索してからいらっしゃる方がほとんどなんですね。「ここだったら安心して行けると思った」とのお声もあり、身の引き締まる思いです。女性にとって産婦人科はただでさえハードルの高い場所ですが、男性医師ということでますます不安になるのは無理もありません。だからこそ、皆さんが安心して通院できるよう、優しい言葉がけや丁寧な対応をより徹底し、皆さんの特別な場所となれるよう取り組んでいます。
患者の希望に添った診療を第一に
診療方針について教えてください。

単に病気を見て、「この薬を飲んでください」と伝えるのではなく、「こういう薬がありますが、どうされますか」などと患者さんの希望をお聞きしてから診療を進めるようにしています。患者さんが望まない検査や薬を無理に勧めることはありません。もちろん標準的な治療のご説明はしますが、患者さんのほうから「それもあるかもしれないけど、こっちの薬を出してほしい」という希望があれば、できる限りその方向で対応しています。患者さんのご希望が症状にそぐわなければ処方しませんし、責任が持てない診療を行うこともないので安心して仰っていただければと思います。また、当院ではオンライン診療に対応していますので、以前から通っていらっしゃる患者さんで症状が安定している場合は、オンラインから薬を処方することも可能です。
内診は必ず受けなければいけませんか?
そんなことはありません。内診の有無に関しては、10代のお子さんがいらっしゃるお母さんからよく尋ねられますし、大人の方でも抵抗のある患者さんが多いと認識しています。各クリニックの考え方によりますが、当院では「内診をしないと薬は出しません」ということはないので大丈夫です。まずはお話を伺い、必要であればご提案はしますが、仮に必要であっても患者さんに抵抗があるようでしたらしませんので安心してください。その場合はおなかのエコー検査をご提案することがありますが、エコー検査も無理という場合も、それも強いることはありません。いずれの場合も安全性に配慮して薬を処方していますので、お気軽にご相談いただければと思います。
診療において大切にしていることをお聞かせください。

私は開業するまで20年間、大学病院の医局に所属し、そこから医局派遣という形であちこちの産婦人科に勤務しました。その時に実感したのは、妊婦さんをはじめ産婦人科を訪れる患者さんには、メンタル症状を強く訴える方が少なくないということです。メンタル面だけでなく、別の内科的なトラブルを抱えていらっしゃる方も産婦人科には大勢いらっしゃるんですね。そうしたときに「自分は専門じゃないから」とは言わないようにしてきました。状況によっては専門の先生につなげる必要がありますが、一旦は患者さんの訴えを受け止め、できる限りのことをするというのが診療モットーです。その思いは今も変わりません。できる範囲で柔軟に対応することが医師への信頼につながり、患者さんが前向きに治療に臨むための一つのきっかけになると考えています。
かかりつけ医として、さまざまな訴えに真摯に対応
そもそもなぜ医師に、とりわけ産婦人科の医師になろうと思われたのですか。

苦しんでいる人を助けたいという思いがずっと心にあったからだと思います。産婦人科を選んだ理由は、お産という喜ばしい瞬間に医療行為で関わることができるという側面もありますが、幅広い分野の診療に対応することが求められる科だからです。申し上げたように、妊婦さんでも糖尿病や喘息があったり、風邪をひいたりすることもあります。けれども妊婦さんは内科では診てもらえないことがあるので、産婦人科の医師は、内科をはじめ、眼科や皮膚科などさまざまな領域の知識や技術をある程度習得しておく必要があるんですね。それは、「ひとまずどんな訴えも受け止める」という自分の診療モットーにもつながりますが、専門のこと以外はわからないという医師ではなく、患者さんの訴えをできる限りワンストップで対応できるような医師になりたいと考え、産婦人科医をめざしました。
スタッフの皆さんはどのような存在ですか。
男性である私にはどうしても足りない部分をスタッフが補ってくれていると感じます。例えばデリケートゾーンの乾燥やかゆみで悩んでいらっしゃる場合など、私からご説明することもありますが、同じ女性である看護師のほうが患者さんにとって相談しやすい存在だと思うからです。当院にはプライバシーに配慮した相談室がありますので、私に言いにくいことがあればぜひ看護師までお伝えください。また、スタッフの大半は20歳前後の娘さんがいらっしゃるお母さんだということもあり、経験談やフェムケアの話など、「最近こういうことで悩んでいる女性が多いですよ」というスタッフの声は実際の診療にも生かされています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当院は地域のかかりつけ医として「安心していつでも行けるクリニック」をめざし、利便性の向上にも努めています。長時間お待たせすることがないような予約システムを採用するだけでなく、急な症状には予約外の診療も受けつけていますのでご安心ください。駅から離れていて一見不便に見えますが、最寄りの大阪区役所前バス停留所は多くのバスが止まりますので実際通院しやすい環境かと思います。今後はオンライン診療の充実もめざし、さらに受診へのハードルを下げ、「これくらいの症状だったら大丈夫かな」とつらいのを我慢していらっしゃる女性が少しでも安心して受診できるよう尽力してまいります。「産婦人科=必ず内診」ではありません。気になることがあれば相談だけでも構いませんので、お気軽にいらしてください。