吉岡 早苗 院長、吉岡 篤史 副院長の独自取材記事
神明通りクリニック
(杉並区/荻窪駅)
最終更新日:2024/08/08
あえて駅前ではなく、「近くにあって安心」と感じてもらえるように杉並区宮前の住宅街に開業したという「神明通りクリニック」。風邪や生活習慣病などの一般内科診療を中心に行いながら、吉岡早苗院長と吉岡篤史副院長の両医師が専門とする胃と大腸の内視鏡検査にも力を入れるクリニックだ。2人は夫婦で、ともに日本消化器病学会消化器病専門医、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医の資格を持つスペシャリスト。明るい笑顔でざっくばらんに話す早苗院長と、穏やかな語り口で丁寧に説明をしてくれる篤史副院長、それぞれの人柄も「近所のかかりつけ医」として親しみやすく頼れるところ。そんな2人の医師に、開業に対する思いから、同院の内視鏡検査のことまで広く話を聞いた。
(取材日2024年5月16日)
「近所のかかりつけ医」ながら大腸と胃の内視鏡検査も
初めに、クリニックの特徴を教えてください。
【早苗院長】近隣で暮らす方たちのかかりつけ医になることが目標でした。ですので、まずは一般内科を診療のメインとし、加えて、私も副院長も、消化器内科の医師として急性期病院などで消化器疾患の治療や消化器内視鏡検査に携わってきたことから、専門性を生かした診療にも力を入れていきたいと考えました。日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医としての経験も生かせるように、院内で大腸と胃の内視鏡検査ができるよう設備を整えています。内視鏡検査では大腸と胃を同時に検査をすることも可能ですし、女性医師を指定することもできます。また、かかりつけ医として「近くにあって安心」という存在であることが大事だと考え、あえて駅前ではなくこの場所に開業しました。
開業の場所にも想いが反映されているのですね。
【早苗院長】子どもが3人いるのですが、妊娠中に風邪をひいた時、小さい子どもを連れてクリニックに行くのがとても大変だったんです。駅前にあるクリニックに行くための徒歩10分ほどさえも非常に遠く感じ、自宅の近くにクリニックがあればいいのにと思っていました。特にこの辺りは、駅の近くに自転車を気軽に止められません。その大変さを知っているので、「近所のかかりつけ医」として頼れるクリニックをつくりたいと考えていました。現在、いらっしゃる患者さんは近くにお住まいの方がほとんど。風邪や生活習慣病などの慢性疾患の方、健診で再検査となった方などが多いです。大腸内視鏡検査の前には下剤を飲まないといけないのですが、皆さんご自宅でトイレを済ませて来られます。落ち着いて入れる自宅のトイレで前準備ができるのも、近くのクリニックだからこそのメリットかもしれません。
診療の際、大切にしていることは?
【早苗院長】生活改善が必要な患者さんに対してベストなことだけを伝えるのではなく、現実的にできるラインを具体的に伝えるようにしています。例えば、お酒やタバコを止めて、塩分を控えた食事にするのがベストだけれど、どれも無理だという人にはせめて薬だけは必ず飲んでくださいと伝えます。診療がダメ出しだけで終わってしまうのは患者さんも前向きにはなれません。一対一で患者さんと向き合い、その方ができることを、その方に合わせてご提案することを大切にしています。
【篤史副院長】患者さんそれぞれ生活環境や立場が異なり、病気への関心も違いますから、お一人お一人に合わせてわかりやすい説明を心がけています。また当院では、カルテをほとんどそのままプリントアウトしてお渡ししています。情報を共有することで、患者さんと一緒に問題解決に取り組むことができると考えています。
鎮静剤を用いて内視鏡検査の苦痛と不安感軽減を
院長のご経歴を教えてください。
【早苗院長】東京医科歯科大学、青梅市立総合医療センターの内科での初期研修後、急性期病院の消化器内科に勤務し、診療経験を積みました。その後、急性期治療を経験した患者さんを受け入れる地域包括ケア病棟で、高齢の方たちの診療にも携わりました。開業前は、消化器内視鏡検査を数多く受け入れている八王子の「おなかクリニック」で常勤医師として、クリニックでの内視鏡検査の経験を積ませていただきました。生活背景の変化もあり、2023年の開業に至ります。大腸がんが増えており、大腸内視鏡の需要の高まりは肌で感じるところです。女性医師による検査を受けたい女性はとても多く、内視鏡を専門とする医師として需要に答えていきたいと思っています。
副院長は開業までにどのようなご経験を積まれましたか?
【篤史副院長】東京医科歯科大学を卒業して初期研修を終えた後は、大学院で潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患の研究に従事し、博士号を取得しました。東京共済病院消化器内科や青梅市立総合医療センターの消化器内科医長を経て、多摩総合医療センターの消化器内科に勤め、一般消化器内科の診療を行いながら、胃と大腸の内視鏡検査や、専門である炎症性腸疾患の外来も担当しました。当院の開院後は一般内科の医師として地域医療に貢献しつつ、多摩総合医療センターでの炎症性腸疾患の外来診療も継続しています。専門性を維持しながら、一般消化器内科、内視鏡検査の経験を積んできたことは、当院での診療にも役立っています。
内視鏡検査を行う際の工夫やこだわりを教えてください。
【早苗院長】希望する方には鎮静剤・鎮痛剤を用いて検査を行います。もちろん苦痛の軽減につなげるためのものですが、痛みだけではなく不安感の減少にもつながることが利点です。大腸内視鏡検査は一回検査をしてみて問題がなかったとしても、数年後大丈夫とは言い切れませんから、もう一度検査を受けていただくためにハードルを下げる必要があります。「これならまた受けられます」と言っていただけるような検査になるよう、日々最大限の努力を行っています。
【篤史副院長】当たり前のことかもしれませんが、丁寧な観察と丁寧な説明を心がけています。内視鏡検査に対して勇気をもって当院に来てくださったからには、きちんと見つけて適切な治療へとつなげたいんです。その想いを常に持って検査を行っています。
地域の健康を支える「近くにあって安心」なクリニック
消化器がんの啓発にも力を入れているとお聞きしました。
【早苗院長】開院1周年を記念して、当院の向かいにある大宮前体育館で講演会を行いました。診察時間内に多くのことを伝えきるのは難しく、それを補うための時間を設けたいと考えました。30人ほどの方が講演会に来られまして、「たいへん勉強になりました」「来て良かったです」とありがたいお言葉をいただきました。こういった講演会は以前勤めていたクリニックでも行っていて、参考にさせていただきました。初回は専門である胃がんと大腸がんがテーマでした。これらのがんは早く見つければ治療により治ることが見込めますから、とにかく検診は受けていただきたいと思っています。健康診断のタイミングで胃内視鏡、胃バリウム、便潜血検査を定期的に検査するのがいいと思いますが、おなかの痛みやおなかの調子が悪く悩んでいる方は、当院でも検査できますのでご相談ください。
診療に子育てに、お忙しいと思いますが、休日は何をされていますか?
【早苗院長】開業前は定期的にヨガなどを行っていましたが、開業後は忙しく休日は体を動かすことはさぼりがちで、家でゆっくりと過ごすことが多いです。インターネットで漫画か動画を見たり、すっかりインドアです(笑)。ただ、最近肩こりや腰痛など、体を動かさない影響を感じるようになり、またヨガを定期的にしたほうが良いかな、と思っています。
【篤史副院長】院長が少しはリラックスできる時間を持てているようで良かったです。私も同じくインドア派で、主に落ち物パズルゲームをやっています。オンライン上でいろんな方と対戦しますが、小学生のお子さんも手強くて、本気で勝ちに挑んでいます(笑)。
最後に地域の方へメッセージをお願いします。
【篤史副院長】一般消化器内科から炎症性腸疾患、胃・大腸内視鏡検査と経験を積んできました。その経験と専門性を生かして診療を行っています。何かつらい症状があればなんとかして助けになりたいと思っています。気軽に相談に来てください。
【早苗院長】受診のハードルを下げるためにこの場所に開業しました。気になる症状があれば気軽にいらしてください。私自身、子育てを通していろいろな環境にある患者さんの生活がより想像しやすくなりました。そういった患者さんの生活面を加味しながら、「近くにあって安心」なかかりつけ医として診療に取り組んでいきたいと思います。