淺田 英穂 院長の独自取材記事
吉祥寺脳神経外科・内科クリニック
(武蔵野市/吉祥寺駅)
最終更新日:2023/09/07
吉祥寺の落ち着いた住宅街の中に立つ「吉祥寺脳神経外科・内科クリニック」。ゆるやかなスロープが設けられた小道から中へ入ると、窓いっぱいに緑が広がる待合室がある。この場所はもともと、院長を務める淺田英穂(あさだ・ひでお)先生の実家があった所。慣れ親しんだ地での開業で、患者の中には淺田院長の子ども時代を懐かしんでくれる人もいるそうだ。長年脳神経外科の臨床に携わってきた淺田院長は、豊富な経験を地域の人とより身近なクリニックで生かしたいと開業を決意。大きな病院での勤務時代、救急で運ばれてくる重症の患者は、生活習慣病を放置していた例が多かったことから、日頃の内科治療の大切さも痛感したという。予防の意味も含めて、クリニックだからこそできることをしたいという淺田院長に熱い想いを聞いた。
(取材日2023年7月6日)
脳神経外科医としてのキャリアを生かした内科診療を
開業のきっかけを教えていただけますか?
脳神経外科医として30年以上臨床に携わり、多くの患者さんを診てきました。そのうちの25年は済生会中央病院という一つの病院に勤務し、部長まで務めました。その経験を生かし、生まれ育った吉祥寺を中心に地域の皆さんのお役に立ちたい、貢献したいという思いで開業に踏み切りました。標榜科目には専門の脳神経外科とともに、内科も掲げています。というのも、勤務医時代脳神経外科の救急に運ばれてくる重症の患者さんは、血圧やコレステロール値がずっと高かったのに治療していなかったなど、内科の慢性疾患から脳卒中を発症することがたいへん多かったんですね。日頃の内科的な治療の重要性を痛感していましたので、クリニックの開業にあたって、予防という意味でも、内科的治療にも力を注ぎたいと思いました。生活習慣病に限らず、風邪や腹痛、ケガなど、地域の皆さんのかかりつけ医としてお役に立ちたいと考えています。
脳神経外科医が生活習慣病を診るメリットを教えてください。
例えば、今の高血圧の基準は140/90mmHgです。そうすると、「血圧はもっと低く」と、降圧剤をたくさん処方されている高齢者の方がいらっしゃいます。ですが、高齢者の場合、血圧が下がると、かえって足がふらついたりすることもあります。脳神経外科医としては、数字にこだわるあまり、血圧を下げすぎてしまうと、かえって危ないのではと思うことがあります。そういったことも考えに入れて診療していきたいですね。脳卒中などの再発防止の点からも、生活習慣病をうまくコントロールすることは本当に大切なことで、身近なクリニックで皆さんのお力になれればと思っています。
庭の緑がパッと目に飛び込んでくる気持ちのいい待合室ですね。
ここはもともと実家のあった所で、祖父の代からここで暮らしていました。開業するなら、やはり生まれ育った街でと思い、改装してクリニックにしました。もともとの庭をそのまま生かし、窓も大きく取って、緑が目に入るように作っています。待っていただいている時間に少しでもホッとしていただけたらうれしいですね。待合室だけでなく、できるだけクリニック全体がやわらかい雰囲気になるよう、受診しやすい環境づくりのためにいろいろと工夫をしたつもりです。診察室はグリーン、検査室はブルー、待合室は落ち着いた茶色を基調にしています。CT室は特に緊張なさる方が多いと思いますので、壁に押し花の模様の壁紙を張りました。国立博物館に実際収集されている押し花を壁紙にしたものです。トイレもピンク色と花の壁紙にし、くつろいでいただけるようにと考えました。
必要な検査が即日で受診可能な診療体制
ご専門の脳神経外科についてどのような診療が受けられますか?
まず必要な検査がすぐ行えるのは、当クリニックの良いところでしょう。CTとエックス線があり、さらに心電図、動脈硬化を調べる血圧脈波計を備えています。加えて血液検査を行えば、脳神経外科の疾患のほとんどの診断がつけられます。大きな病院では、診察で1日、検査はまた数日後ということが少なくありません。ここではお忙しい患者さんの不安をすぐに解消して差し上げたいと思っています。もしMRI検査が必要な場合は、提携先にすぐご紹介することもできます。普段と違う頭痛やふらつき、めまい、手足のしびれなど、少しでも気になるところがあれば、ご相談ください。頭をぶつけたり、転んだりしたときの頭部のケガにも対応し、ちょっとした傷ならここで縫っています。夜は7時まで診察していますので、仕事帰りにおみえになる方にも便利かと思います。
頭痛は根本的な改善が重要なんですね。
頭痛には必ず原因があります。ストレスによる緊張型頭痛や片頭痛、あるいはその2つの混ざった頭痛、目の疲れや肩凝りで起こる頭痛、低気圧による頭痛など、原因はさまざまです。お薬もお出ししますが、それは一時的な対症療法です。患者さんのお話をよく伺うと、その原因が見えてくるんですね。例えば、スマートフォンを使うことが多い方は、目を休めたり、肩凝りを改善するためのストレッチをしたりして生活習慣を見直すことで、頭痛を和らげることが図れます。患者さんによって原因はいろいろですから、お話によく耳を傾け、それを突き止めることが大事だと思っています。
病院での診療も続けていらっしゃるのですね。
済生会中央病院で週に2回、北里大学北里研究所病院で月に1回、診療しています。新しい薬や治療法について、情報や知識をスピーディーに得ることは当院での診療にも欠かせないことですし、外の風を感じることは、私にとっても刺激になります。また慶應義塾大学は私の出身校です。そういったつながりを持っていれば、何かあって病院をご紹介するときもスムーズにいきますし、患者さんのお役にも立つかと思います。
地域の皆さんの「かかりつけ医」として身近な存在に
診療の際、先生が大事にされているのはどのようなことでしょうか?
「一人ひとりの患者さんのために信念を持った治療を!」と心がけて診療しています。いい加減なことが嫌いで、どんなに混んでいるときでも、目の前の患者さんの力になって差し上げたいという思いで対応しています。コミュニケーションも大切です。患者さんがおいでになるのには必ず何か不安やお困りのことがあるからで、その背景を知ることが大事です。急に仕事が変わってストレスがたまった、いつもの頭痛とは違う感じがするなど、患者さんのお話をよく聞き、生活背景を知ることが治療につながることもあります。ただお薬を出すだけではなく、お話を伺った上できちんと検査をし、その結果を丁寧にお伝えするようにしています。
先生ご自身が実践されている健康法があれば教えてください。
歩くことですね。通勤と帰宅の時間がスポーツジム代わりで、自宅のある白金から最寄りの恵比寿駅まで20分、それから三鷹台駅からクリニックまで15分、朝晩歩いています。勤務医の時は自宅から病院まで3kmの道のりを雨の日でも往復歩いて通っていました。電車やバスを利用するのと、時間もそんなに変わらないんですよ。歩くことはいい気分転換になりますし、患者さんにもお勧めしています。それ以外に、ご高齢の患者さんで目立った症状がない方によくお話しするのは、男性には仕事を続けるように、女性にはいろいろな人と会っておしゃべりをしましょうということです。仕事の緊張感、人との会話の刺激が健康にはいいようです。そして「それ以外は今のままの生活を続けてください」とお話しすることが多いですね。ああしなさい、こうしなさいと言われるより、ホッと安心なさると思います。
最後に患者さんへのメッセージをお願いします。
地域の皆さんの「かかりつけ医」として健康をサポートさせていただきたいと思っています。風邪や胃腸炎、便秘症、不眠症など身近な病気から、高血圧、糖尿病、高脂血症といった生活習慣病、心不全、脳梗塞などの脳卒中、認知症や記憶力障害、歩行障害、頭部打撲、頭のケガなど、月曜日から土曜日まで毎日診療しています。また65歳以上で介護保険が必要な方には主治医として意見書も作成いたします。そして住民検診や予防接種も今後行っていく予定です。小さいお子さんからご高齢の方まで、お力になれるよう全力で診療していきますので、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。