松下 周平 理事長の独自取材記事
まつしたレディースクリニック
(福岡市早良区/西新駅)
最終更新日:2025/02/28

「診療を通して笑顔の輪を広げたいんです」と話すのは、「まつしたレディースクリニック」の松下周平理事長。九州大学に入局後、福岡市内の基幹病院で産婦人科医として幅広く経験を積んだ後、早良区西新で2023年6月にクリニックを開業した。妻で同じく医師の松下亜希副院長と協力しながら、思春期から更年期までさまざまな世代の女性の悩みに寄り添う。クリニックの特徴は、穏やかで聞き上手な松下理事長の人柄とその診療内容の広さだ。月経トラブルをはじめとした思春期ならではの症状から、妊娠を望む患者に対する不妊治療など、ライフステージやライフプランに適した治療を行い、かかりつけ医として女性の一生を支える。開業に至った経緯やクリニックの診療方針、大切にしていることなど話を聞いた。
(取材日2023年7月18日/情報更新日2024年8月29日)
医師2人体制で、産婦人科に関する幅広い悩みを診療
開業を決めた理由を教えてください。また、なぜこの場所を選ばれたのでしょうか?

医師としての生き方を考えた時に、自分のスキルを最大限に生かすことができるのは窓口の広いクリニックだと考え、婦人科関連の症状や悩みはすべて診察したいという思いもあって、開業を決意しました。私の診療の特長は、コミュニケーション能力を生かして、誠意をもって患者さまに接することです。患者さまの本音を聞き出したり、信頼関係を築いたりすることを何よりも大切にしながら診療を続けて来ました。ここ西新は、長年福岡で働いてきた中で特に住んでいた年数が長く、私自身よく知る地域なんです。朝早く出勤し、その日に予約されている患者さまのカルテやデータを確認し、当日の診療がスムーズにできるようにするためにこの場所を選びました。
これまでのご経歴や専門分野についてお聞かせください。
大学を卒業し、九州大学に入局後、福岡市内の基幹病院で婦人科の病気や妊婦健診など幅広く経験を積みました。産科・婦人科どちらにも力を入れている病院ばかりで、勤務医時代からカンファレンスにも真剣に取り組んできましたし、他のドクターが担当する症例やカルテもじっくりと見て何でも質問するようにしてきました。開業前には、不妊治療についてより専門的に学ぶため恵愛レディースクリニックへ。そのため、産婦人科に関することであれば何でも得意としています。さまざまな患者さまを診てきましたが、不妊治療や子宮内膜症の治療など、これまで担当した方から「先生に診てもらっていなかったら、人生が変わっていたと思います」と言われたこともあり、この仕事を続けてきて本当によかったと感じましたね。その時の言葉が今でも私の原動力になっています。
とても落ち着いた雰囲気ですが、院内づくりで工夫された部分はありますか?

産婦人科というのは診療内容がとてもデリケートなので恥ずかしさから受診をためらう人も多く、それによって診断や治療が遅れてしまうことも。こうした事態を防ぐためにも、できる限りプライバシーに配慮したシステムにしたいと考え、受付で症状を聞くのではなく、周りに話が聞こえない完全個室のカウンセリングルームを作ったのがこだわりです。また、専用のアプリをインストールしてもらうことで、スマートフォンから症状を事前に送っていただくことも可能です。院内のデザインについては、女性目線から使いやすさを追求するために妻に決めてもらいました。初診の際はお時間をいただいているので、患者さまが待ち時間をゆっくり過ごしていただけるよう安心感のあるグレーを基調に、内診室の灯りをあえて少し落とすなど、リラックスできるような工夫をさまざま取り入れています。
つらい月経やおりものの異常、我慢せずに相談を
女性医師の奥さまと2人で診療されているのですね。詳しい診療内容について教えてください。

産婦人科系であればどのような症状でも相談していただけます。月経やおりものの異常、不妊治療など一般的な診療は妻と2人で行い、妊婦健診や手術、特殊な症例については私が担当する形です。医師2人体制を取ることで急な受診にも対応できる点はメリットと考えています。一人の患者さまに対して時間をとって真摯に向き合うことを大切にしている一方で診療の待ち時間が発生してしまうこともあり、お待ちいただいている患者さまには申し訳なく思っております。時期によっては予約が1週間先になることも。お待たせしてしまいますが、寄り添った医療を提供していくためにもご理解いただけるとありがたいですね。
診療内容の中で相談が多いお悩みはありますか?
特に多いのは月経のトラブルとおりものの異常ですね。月経トラブルは子宮や卵巣機能が成長途中の思春期の女性に多く、月経不順やひどい月経痛で受診されています。生理前に体や心の不調が現れる月経前症候群(PMS)についても認知されるようになり、相談が増えてきた印象です。医療や技術が発達したこの時代に、女性だけが生理に苦しむというのはもはや時代錯誤だと思います。今は副作用が少なく症状を和らげるためのピルや薬がたくさんあり、私たち産婦人科医からも患者さまに正しく情報を提供し、少しでも快適に過ごしていただきたいと願っています。月経のトラブルの中には放置すると不妊症になってしまう場合もありますから、たかが月経痛と思わずに相談してください。
おりものの異常については、どのように対応されているのでしょうか?

当院では、その日のうちに顕微鏡検査を行っておりものの中の病原体を確認しますので、細菌性腟炎やカンジダかどうかの早い診断が行えます。カンジダはおりものの異常や陰部のかゆみが現れる病気で、一度治療しても免疫の低下などによって症状を繰り返し、つらい思いをする方も多いと思います。短期間での再発を防ぐためにも、洗浄もしっかりしてカンジダ培養で陰性を確認できたら治療を終了します。繰り返さないためには、生活習慣の改善も重要です。緊張されているとクリニックでの話を覚えるのが難しいこともありますので、病気の説明や詳しい治療の流れ、生活上の注意点を文章化してお渡しします。
ライフプランやライフステージに合わせた治療を提案
最近は、不妊治療への注目も高まっていますね。

赤ちゃんを望む人たちに寄り添いたいという思いはとても強く、タイミング法と人工授精を中心に患者さまの希望に沿う治療方法を提案しています。例えば奥さま本人は治療に前向きなのに対して、旦那さまが協力的ではないことがあります。その場合には奥さまにどうしていきたいのかじっくり話を聞き、一緒に頑張りたいというのであればそのサポートをさせていただきます。妊娠してからも不安や悩みを気軽に相談してもらえる関係づくりに努めます。妊婦健診の際には4Dエコーも行っていて、赤ちゃんを見て幸せそうにしている様子を見られたなら、私もうれしく思います。また、なるべくご夫婦で一緒に見てもらいながら、愛着形成につながるようにご主人にも「かわいいでしょう」と積極的に声をおかけします。
患者さまと接する際に気をつけていることを教えてください。
患者さまの本音を聞き出すことです。月経不順で受診した人がいた時に、本人は月経不順自体に不安を感じているのではなく、実はこのままで妊娠できるのかな? ということが一番不安なんですよね。ですから、問診表を見て「生理不順ですね、ピルを飲みましょう」で終わってはいけません。診療を通して患者さまとの信頼関係を築き、その人が本当に困っていることや不安に感じていることをすくい上げるのも、医師としての大切な仕事です。当院のコンセプトは「継続して患者さまを見守る」。結婚・妊娠・子育てなど女性ならではのライフプランを考えた時に、婦人科はとても重要な役割を担っています。かかりつけ医として、将来望んだタイミングで妊娠できるよう、思春期の頃から継続してケアをしていくのが理想です。そのためにも、安心して受診できる環境を大切にしていきたいと思います。
最後に、読者の皆さまにメッセージをお願いします。

診療を通して患者さまを幸せにすることで、患者さまの家族も幸せになり、幸せの輪が広がっていく、それが私たちの願いです。私自身、とてもやりがいを感じながら仕事をしています。産婦人科を決して怖い場所と思わず、受診のハードルが高いと感じている方こそ当院に来ていただきたいと思います。きっと産婦人科のイメージが変わるはずです。産婦人科をより身近に感じてもらうことで、定期的な受診につながり、患者さまの未来がより良いものになると信じています。どんな悩みでも構いませんので、いつでも気軽に相談してください。