根管治療は再治療を防ぐのが重要
虫歯による感染部分の徹底除去を
上尾かしわざ歯科医院
(上尾市/上尾駅)
最終更新日:2024/07/09


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激しい歯痛で歯科医院に駆け込んだら、根管治療が必要だと告げられた経験がある人もいるだろう。歯の根元には根管と呼ばれる部分があり、神経や毛細血管が走る歯髄という組織が入っている。この歯髄部分が細菌感染を起こした時に必要になってくるのが根管治療だ。感染部分の取り残しがあると再治療が必要になるが、回を重ねるほど治療の難易度も上がり、患者の負担も大きくなる。再治療防止のためにも、根管治療ではいかに根管の形状を詳細に把握できるかが鍵だという。CTやマイクロスコープを活用して緻密な根管治療を心がける「上尾かしざわ歯科医院」の永倉遼太郎院長に、根管治療とはどのようなものなのか、注意すべき点などと合わせて解説してもらった。
(取材日2023年9月25日)
目次
根管治療では虫歯などで細菌感染した神経を取り残すことなく除去することをめざし再感染防止を図ることが鍵
- Q根管治療が必要になる時、どのような自覚症状がありますか。
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A
▲同院では繰り返さない治療をめざしている
歯のエナメル質、象牙質の内部には歯髄と呼ばれる神経組織がありますが、この部分が細菌感染を起こした時、根管治療が必要になってきます。例えば、歯の内部までむしばまれるような虫歯ができていて、強い痛みを訴える患者さんも少なくありません。ただ、歯の表面のエナメル質は丈夫なので表面的には健康に見えて、象牙質から下に大きな虫歯ができているケースもあります。痛みは強いとも限りませんが、就寝前に交感神経と副交感神経が切り替わるタイミングでズキズキするのは、細菌が神経にまで到達している可能性があるので注意してください。
- Qそもそも根管治療とはどういった治療ですか。
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A
▲丁寧な検査をもとに慎重に検討し、適切な診断をすることが重要
根管治療とは、細菌感染した歯の根管部分にある歯髄を取り除く治療です。当院では可能な限り神経を残すために深い虫歯でも歯髄温存療法などを提案します。しかし、歯髄感染や歯髄壊死の場合には取り残しのないように根管治療を行います。なぜなら、少しでも取り残しがある場合、再感染を引き起こす恐れがあるからです。再根管治療は、1度目の治療以上に難しく時間もかかるので、患者さんの負担軽減のためにも避けなければいけません。そのためには、まず根管の形を精密に把握する必要があります。根管は前歯は1本、奥歯は3〜4本ということが多いのですが、奥歯は複雑に枝分かれをしているケースもあるため、CTで詳しく検査したいですね。
- Q貴院の根管治療におけるこだわりをお聞かせください。
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A
▲より良い治療を行うために歯科用CTやマイクロスコープを完備
一つは歯のような硬組織を検査するのに特化した歯科用コンビームCTを使用し、なおかつ根管治療用に特定の歯だけを撮影できるようにカスタマイズしている点です。これにより、根管がどのように枝分かれしているか詳細に確認できますが、実際の治療の際に肉眼で確認するのは限界があります。そこで、もう一つこだわったのがマイクロスコープの導入です。マイクロスコープは高倍率で見られるというだけではなく、患部に直接光を当てられるというメリットがあります。その他、歯の周りをゴムのシートで覆い、唾液や汚れが根管に入って再感染することを防ぐためにラバーダムも使用します。
- Q歯髄腔に充填する素材にもこだわっているそうですね。
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A
▲十分な強度と封鎖性の見込めるMTAセメントも選択できる
保険診療の根管治療では、根管内の歯髄除去を図った後の歯髄腔にはガッタパーチャという樹脂の薬剤などを充填していきます。当院では自由診療の根管治療も行っているのですが、その場合はMTAセメントという素材を使用することも可能です。MTAセメントとは歯の成分でもあるカルシウム化合物を主成分とした歯科用セメントで、十分な強度が見込めることが確認されています。また、従来の歯科用セメント以上に封鎖性が高いことが望めるため、再感染防止にもつながるでしょう。歯髄にMTAセメントで蓋をして細菌感染を食い止め、神経を残すことをめざす治療も可能です。
- Q根管治療の流れを教えていただけますか。
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A
▲治療後は定期的に通院し、メンテナンスを受けることを勧めている
まず、問診をして根管治療の必要性が疑われる歯があれば、場合によってはCT検査なども行った上で、具体的にどれくれいの時間と費用がかかるのかを説明し、患者さんが納得していただけたら治療開始です。歯の表面に穴を開け、感染した歯髄を摘出して充填素材を詰めていきますが、何度か通院が必要な場合は仮蓋をします。最後に仮蓋ではない頑丈な蓋をして、その上に補綴治療を行って治療完了です。再根管治療は大変になることが多く、週に2度の通院で2ヵ月近くかかる例もあります。再治療の必要がないよう、根管治療は専門的に取り組んでいる歯科医院に相談してみてはいかがでしょうか。
自由診療費用の目安
自由診療とは根管治療(1根管)/3万3000円~