虎井 僚太郎 院長の独自取材記事
赤羽ここちクリニック
(北区/赤羽駅)
最終更新日:2025/11/14
大学病院や県立がんセンターといった大規模な医療機関で、さまざまな皮膚疾患と向き合ってきた虎井僚太郎先生。難治性症例も豊富に経験し、知識も技術も皮膚科領域を網羅してきたが、そんな臨床現場で唯一対応できなかったのが自由診療となる美容の分野だという。保険診療と自由診療の両方を希望する患者は大学病院でも多かったことから、ワンストップでかなえられる場があれば、と地域医療への道を模索。そして「赤羽ここちクリニック」での院長継承へつながったそうだ。同院では皮膚科、形成外科、美容形成外科が連携を図り、各分野の専門家である総勢8人の医師がそろう。「皮膚のことなら何でも相談でき、誰もが頼れる場でありたい」と意気込む虎井院長に、熱い想いを語ってもらった。
(取材日2025年10月9日)
臨床経験の豊富な皮膚科医として地域医療を支えたい
院長継承への思いをお聞かせください。

皮膚科医として歩み始めてから、大学病院や新潟県立がんセンター新潟病院など、比較的大きな医療機関で診療を行ってきました。一般の医療機関では対応が難しい重篤な症状や希少な疾患を多く経験し、高いレベルの皮膚科の臨床能力を身につけることができました。患者さんが抱える皮膚の悩みは多岐にわたります。重度のアトピー性皮膚炎の方が全身脱毛を希望されたり、アレルギーのある方が顔のできものやしみに悩んでいたりと、複数の症状や悩みを抱える患者さんがたくさんいらっしゃいます。大学病院では保険診療を中心に行っていたので、自由診療となる美容的な悩みに関しては他の医療機関へとお伝えすることしかできず、歯がゆい思いをしていました。保険診療と自由診療の両方を高いクオリティーで行い、患者さんのさまざまな皮膚の悩みにワンストップで応えたいと、地域医療の場を探していたところ、このクリニックとご縁がつながり、院長を継承しました。
皮膚科をめざしたのはどうしてですか?
小学生の頃からヨットを続けているのですが、そのご縁でお世話になったとある社長さんに「君は医師に向いているから、チャレンジしてみたら?」と強く勧められたのがきっかけでした。それから当時通っていた大学を中退し、1年間毎日図書館に通い猛勉強をして医学部に入学しました。皮膚は患者さんと医療者が一緒に症状を確認することができるので、お互いに理解を深めながら診療を進めることができます。また、赤ちゃんからご高齢の方まで誰もがかかる診療科ですので、ご家族そろって通院していただくこともあります。診療を通して、患者さんの本当のお悩み、体質や生活環境、ご家族のライフイベントまで、一緒に悩んで学んでいけることが、皮膚科の魅力だと思います。
今まで注力してきたことについて教えてください。

富山大学医学部卒業後は、母校の大学病院や新潟県立がんセンター新潟病院でキャリアを築き、日本皮膚科学会皮膚科専門医の資格取得は当然のこと、先端の皮膚科診療の普及、皮膚科医の教育など、臨床と医学教育の分野で研鑽を積んできました。皮膚疾患は感染症やアレルギー、腫瘍、遺伝性疾患などと幅が広く、患者さんが抱えるお悩みの種類も多いので、きちんとしたトレーニングを受けた皮膚科医でなければ、適切な診療を行うことは困難です。これまで臨床の現場で知識と技術を磨き、経験を重ねて「患者さんの悩みに対して、皮膚の専門家としてどこまで応えられるか」にフォーカスしてきました。環境が変わったとしても、それは同じです。自分が持つ能力を最大限に発揮して、目の前の患者さんのために尽力し、明るい未来へと導いていける医師でありたいと思っています。
トータルマネジメントができるクリニックであるために
疾患を診るのではなく、人を診るのが大事だとお考えだそうですね。

皮膚科に来られる患者さんは「今日はこの悩みで来たけれど、実はここや、こっちも」というように、初診の段階で複数の症状を訴える方もいます。それが感染症と湿疹など原因が異なる場合、治療に入る前のプランニングが何より大切で、治療のゴールの見通しを立て、プロセスを綿密に組んでいく必要があります。どの疾患を最初に治療するか、内科的な要因は隠れていないかなど、表面に出ている疾患だけを診るのではなく、目の前の患者さんを見て、その方の背景までを含めて診察します。皮膚科医には、総合的に人を診てトータルマネジメントを行う力量が求められると考えています。
診療の際、どのような点に気をつけていますか?
先入観を持たず、第三者の視点で診察するよう心がけています。皮膚科領域は経験を積んでいけば、全体の85%の疾患を診る力量はつくといわれています。ただ、残りの15%に難しい症例や珍しい疾患があり、そこを見抜けるかが重要です。患者さんがはっきり病名を言われて来院されたとしても、最初はあらゆる疾患の可能性を思い浮かべ、しっかりと鑑別をすることに注力します。いくつ鑑別疾患を挙げられるかが鍵で、これは臨床能力に比例すると考えています。皮膚症状や経過を確認し、可能性の低い疾患を一つずつ除外していきます。生活と疾患が結びついていることも多いので、患者さんの生活環境や職業、食生活なども聞いて原因を探ります。正しい診断や治療方法を判断するには、過去に自分自身が記載したカルテさえ疑うこともあります。常に診断が合っているか、現在の治療法が適切か、プロとしてできることは何か、物事を俯瞰して考えるようにしています。
患者さんとの関係性やつながりも大切にしていると伺いました。

はい。「医師と患者」という立場の違いはありますが、まずは「人と人」でありたいと思っています。目の前の患者さんを理解し、信頼関係を深めていくことを第一に、心に寄り添うことが大切だと思っています。ですから、診察時はいろいろな話をしていますね。「睡眠はきちんと取れていますか?」「お仕事はどうですか?」「スポーツはしますか?」「好きな食べ物は何ですか?」など、些細なことでも、患者さんからの言葉はカルテに記載します。患者さん一人ひとりと向き合い、丁寧に話すことがそのまま治療に結びついていると感じています。
皮膚領域の専門家による診療提供をめざす
クリニックの特徴、強みを教えてください。

私が担当している皮膚科を筆頭に、形成外科や美容形成外科とそれぞれを専門領域とする医師がそろい、幅広いご要望に応えられるよう体制を整えています。皮膚科には私以外に2人の女性医師がおり、形成外科と美容形成外科では男女5人の医師が診療を担当しています。皮膚科の治療が終わって美容形成外科へ行かれる方、形成外科にかかっていたが皮膚疾患もある方など、患者さんが他のクリニックに移動せずに当院だけでお悩みが完結できるよう配慮しました。各診療科にスペシャリストがいるので、自分の領域を超えた場合は即座に医師同士が連携して相談をしています。保険診療と自由診療の両方に臨機応変に対応できることも、当院ならではだと思います。
すべての人に開かれたクリニックをめざしているそうですね。
皮膚のことなら何でも相談でき、当院に来れば何らかの適切な解決策が得られるというように、悩める人たちの窓口のような場所でありたいです。お子さんの診察で来られた親御さんが「実は私のことなんですが」「家族のことで……」といった相談も大歓迎です。「こんなことで」とか「わざわざ聞くのも」など気にせず、遠慮せずに話してみてください。気軽に行きやすく、医療のクオリティーは高く維持し、ご家族全員で頼ってもらえるクリニックでありたいと思っています。
最後にメッセージをお願いします。

医師としてはもちろん、一人の人間として、社会に貢献する仕事ができればと思っています。私が得た知識や技術、キャリアのすべてを生かし、地域医療の現場で還元していきたいです。誰もが頼れる身近な存在でいられるよう、クリニックで皆さんをお待ちしています。
自由診療費用の目安
自由診療とはしわケア(眉間・目尻各1ヵ所)/1万4300円、別途診察代/2200円

