貞島 祥子 院長の独自取材記事
ブレインメディカルクリニック博多
(福岡市博多区/博多駅)
最終更新日:2024/08/27

博多駅筑紫口から徒歩10分の場所にある「ブレインメディカルクリニック博多」は、「博多メディカルクリニック」の分院として2023年5月に開業した。脳神経内科として脳や神経に関する症状の診療や、認知症やパーキンソン病、脳卒中の早期発見・予防に注力しながら、発熱や腹痛といった一般内科にも対応。院長を務める貞島祥子先生は、九州大学病院、福岡市民病院、飯塚病院などで脳神経内科の医師として研鑽を積んできた人物。優しい人柄で、患者第一の診療を何よりも大切にしている。貞島先生は「頭痛やめまい、物忘れなど皆さんにとって身近な症状を診療していることを知ってもらい、脳神経内科に対するハードルを下げていきたい」と語る。クリニックの診療方針や特徴、力を入れている治療などについて話を聞いた。
(取材日2024年2月7日)
専門性にこだわった検査体制で脳や神経の疾患を探る
こちらはどのようなクリニックでしょうか?

当院は、脳神経内科を中心に風邪や発熱、健康診断異常の精査といった総合的な内科診療も行うクリニックです。本院の「博多メディカルクリニック」に入っていた内科部門を、一つのクリニックとして独立させて開業しました。脳や神経に関する症状の診療から認知症やパーキンソン病、脳卒中の早期発見・予防、生活習慣病の管理まで、幅広く取り組んでいます。毎週土曜日には循環器内科専門の医師による診療も行っていて、心疾患や脳血管障害の原因となる不整脈や動脈硬化をはじめとした症状・疾患の予防や再発防止に努めています。
脳神経内科ではどのような診療を行っているのか教えてください。
脳神経内科というと、内科や外科といった他の診療科に比べて聞きなじみのない方も多いでしょう。ですが、主に診療しているのは誰もが一度は経験したことがあるであろう、頭痛やめまい、しびれといったとても身近な症状です。高齢の方ですと、やはり物忘れに関する相談が中心ですね。最近は若い方にも多い、横になった際に足にむずむずとした不快感が現れる「むずむず脚症候群」など、睡眠時のトラブルにも対応しています。頭痛やめまい、物忘れといった症状は身近なものであるがゆえに、生活に支障がなければ病院に行かなくても……と考えている方もいるようです。長年同じ症状を抱えている方や、原因がわからず不安を感じている方には、脳神経内科を受診することで有用な治療法が見つかることにつながり、漠然とした不安の解消も望めることを知ってもらいたいですね。
検査体制も充実していますね。

先進のMRIや超音波診断装置、神経伝導検査のための機器などを備えました。総合病院と同等の検査をめざして体制を整えています。また、MRIに関しては診療放射線技師が撮影に対応しています。こうした設備を生かして、当院では脳の病気の早期発見と予防を目的とした脳ドックも行っています。脳ドックとは、脳に特化したさまざまな検査を行う検診コースのことで、ベーシックなもの、脳卒中や動脈硬化のリスクを詳細に評価するもの、認知症を中心に調べるものの3種類のコースを用意しています。40歳以上でくも膜下出血や脳卒中などの家族歴のある方、糖尿病などの生活習慣病を抱えている方は、ご自身のリスクを知るためにも一度脳ドックを受けることをお勧めします。
つらい頭痛、我慢せずに相談を。増える治療の選択肢
診療方針や、注力している治療について聞かせてください。

私たちが大切にしているのは、患者さん第一という姿勢です。患者さんはどなたも不安な気持ちで来院されますから、原因や治療法を探ることでその不安を和らげ、少しでも明るい気持ちで帰っていただきたいと考えています。異常がなければ「心配ありませんよ」と一言かけてもらったり、何かあっても治療についてやこれから先のことを一緒に考えることで、心持ちはまったく違ってくると思うんです。そのためにも患者さんのお話をよく聞き、私がこれまで経験してきたことや学んできたことすべてを還元していきたいと考えています。現在力を入れているのは、相談が多い頭痛の治療です。頭痛にもさまざまな原因があり、当院では詳しい検査や専門の医師による問診によって、その人に合った治療法を一緒に見つけていきます。
頭痛がある場合、どのようなタイミングで受診したら良いのでしょうか?
頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛などの一次性頭痛と、脳出血やくも膜下出血といった血管障害や脳腫瘍が原因で起こる二次性頭痛に分けられます。これまで経験したことのない強い頭痛の場合には二次性頭痛の疑いがありますので、すぐに医療機関を受診する必要があります。一方一次性頭痛の場合、長年症状を抱えている方が多く、市販薬を飲んで痛みをやり過ごしている方もいるかもしれません。片頭痛に関しては近年新たな治療薬が開発され、頭痛の予防や、急性期治療の選択肢が広がってきています。最近頭痛の頻度が増えてきた、薬の効きが悪い、毎月5回以上頭痛薬を服用している、頭痛で生活に影響が出るといった方は、治療を行うことで頭痛による生活への負担を減らすことが見込めるので、ぜひ受診していただければと思います。
整形外科を標榜する本院とどのように連携しているのでしょうか?

同じ運動器に関わる診療科であることから、整形外科と脳神経内科は似た症状を扱う傾向にあります。例えば、手の動きが悪く肩が原因と思い込んでいたら実はパーキンソン病だったというパターンや、首や後頭部の痛みで整形外科を受診したところ椎骨動脈解離という血管の病気だったというケースも報告されています。整形外科と脳神経内科が連携して原因を探ることで、より適切な診断を下すことができると考えています。また、本院が培ってきたノウハウを受け継いでおり、整形外科的な観点を生かしたリハビリテーションを行っていることも当院の特徴です。脳卒中や神経疾患、運動器疾患によって低下した機能の回復・維持に努め、患者さんがより良い生活を送れるようサポートしています。
地域の人が気軽に受診できる脳神経内科であるために
これまでのご経歴や、院長に就任されたきっかけについて教えてください。

鹿児島大学を卒業後、済生会福岡総合病院や九州大学病院、福岡市民病院、飯塚病院などで、脳卒中やけいれん、パーキンソン病、神経疾患の治療に取り組んできました。本院「博多メディカルクリニック」の田中基貴理事長は研修医時代の先輩で、そのつながりから当院の院長を務めることになりました。これまではずっと病院で働いてきたので、治療を終えた患者さんが退院された後「ご自宅ではどう過ごしているかな? 体調はどうだろう?」とずっと気になっていました。今はこうして地域のかかりつけ医として、患者さんの近くで診療からリハビリまで見守ることができるのがとてもうれしいですし、やりがいを感じます。
患者ファーストを実現するために、心がけていることはありますか?
とにかく患者さんのお話を聞くことですね。患者さんの話の中から、どうしてほしいのか、何を気にされているのかをすくい上げられるよう意識しています。脳神経内科はいつ、どのような形で発症したかなどの病歴がとても重要で、それによって推測できる病気がまったく違ってきます。ですから、そういった意味でも話を聞くことはとても大切だと思っています。また、脳神経内科では「診察室に入ってきた時の姿勢から見なさい」とよく言われていて、日頃から患者さんの歩き方や姿勢を観察し、小さな変化でも気づけるよう心がけています。こうした診療を続けていけるのは、支えてくれるスタッフのおかげです。当院のスタッフは明るく元気な人ばかりで、いつも和気あいあいとした雰囲気で働いてくれています。こうした姿勢が、私だけでなく患者さんの精神的な支えにもなっていると思います。
今後の展望と、読者の皆さんにメッセージをお願いします。

脳神経内科はまだまだクリニックの数が少ない印象です。まずはこの地域に脳神経内科のクリニックがあることをもっと多くの方に知ってもらいたいですね。そして、頭痛やめまいで困った時には、気軽な気持ちで利用してもらえるようになればと思います。また、脳の病気は一度発症するとどうしても後遺症が残ってしまいやすいので、本院や循環器内科の医師と協力しながら病気の早期発見や予防に努めていきたいと考えています。当院では病院へ行く手前の段階で一通りの検査ができますので、ある程度疾患や原因を絞って次の医療機関につなげることも可能です。脳や神経の症状や気になることがあれば、最初の相談窓口としていつでもご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/ベーシックコース:2万2000円、脳卒中や動脈硬化のリスクを調べるコース:3万円、認知症を中心に調べるコース:2万5000円