骨密度検査で骨の状態を知り
骨粗しょう症の早期発見、早期治療を
くろだ整形外科クリニック
(吹田市/桃山台駅)
最終更新日:2025/01/16


- 保険診療
骨の強度が低下して、骨折しやすくなる骨粗しょう症。骨がもろくなってしまうと、転倒だけではなく、くしゃみなどのわずかな衝撃でも骨折してしまうケースがあるという。そして骨粗しょう症による骨折をきっかけに、寝たきりになってしまう人、日常生活が困難になってしまう人も多く見られる。ところが骨粗しょう症は自覚症状がないため、知らないうちに進行することがほとんど。将来の骨折リスクを避けるためにも、検査を受けて早期発見、早期治療をすることがとても大切だ。吹田市桃山台にある「くろだ整形外科クリニック」の黒田泰生院長は、DEXA法による骨密度検査を行い、骨粗しょう症の予防と治療に取り組んでいる。今回は、骨粗しょう症という病気や検査、治療内容について詳しく解説してもらった。
(取材日2023年7月11日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q骨粗しょう症とはどんな病気ですか?
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A
骨粗しょう症とは、骨を作る骨形成と骨を壊す骨吸収のバランスが壊れてしまった結果、骨密度が低下して骨折しやすくなる病気です。特に女性に多い病気で、女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、骨吸収を制御する働きをしていますが、閉経期を迎えてエストロゲンの分泌が低下すると、骨吸収が優位になって骨を壊す方向に傾いてしまいます。また糖尿病や甲状腺など、持病や服用している薬が原因となって発症する骨粗しょう症もあります。痛みなどの自覚症状がないため、検査や骨折をして初めて知るケースも非常に多いです。治療を受けずに重症化してしまうと、転倒やくしゃみなどのわずかな衝撃でも骨折してしまうことがあります。
- Q検査を受けるタイミングを教えてください。
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A
女性の場合は閉経を迎える50歳頃から骨密度が低下していきますので、まずは一度骨密度検査をして、自分の骨の状態を知ることが大切です。また年齢を重ねるとともに「身長が縮んできた」「背中や腰が曲がってきた」と感じる人も多いと思いますが、年だからとそのままにしていませんか? 身長の低下や姿勢の悪さなども骨粗しょう症のサインですので、一度検査を受け、早期発見、早期治療に役立ててほしいと思います。骨密度検査はいくつかの方法がありますが、当院ではDEXA法を用いて、骨折しやすい腰椎、大腿骨の2ヵ所を測定します。加えて骨密度の低下があれば血液検査で骨代謝のバランスを確認。検査を複合的に組み合わせて診断します。
- Qどのような治療法があるのでしょうか?
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A
治療の中心は薬物療法です。大きく分けて骨が破壊されるのを抑制するための骨吸収抑制剤や、骨を作るための骨形成促進剤があります。経口薬、注射薬など、さまざまなタイプの薬があるので、個々の患者さんの症状や重症度、生活スタイル、希望を加味した上で治療を進めていきます。加えて食事と運動も大切です。骨にはカルシウムが大事といいますが、それだけではなくコラーゲンやビタミンDなどもバランス良く摂取することが必要です。また骨を刺激する適度な運動習慣を身につけることは進行の抑制に有用です。かかと落としなど、無理なくできることから始めていきましょう。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1医師による問診
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患者の主訴に加え、骨折経験の有無、実母の骨折歴、糖尿病があるといった既往歴など、幅広く丁寧に話を聞いてくれる。また身長が縮んできた、背中や腰が曲がってきたなどの小さな変化が、病気の発見につながることもあるため、気になっていることがあれば具体的に医師に伝えよう。
- 2骨密度検査
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着用している服によってはそのままでも可能だが、検査着に着替えて、骨密度の測定を行う。同クリニックでは骨密度が下がると骨折しやすい部分である腰椎と大腿骨の2ヵ所を計測。所要時間は10分程度で、測定自体にかかる時間はどの部位も1分程度。ベッドの上に寝転んでいるだけで終了する。その後、骨の新陳代謝を調べるため処置室で血液検査を行う。
- 3検査結果の説明と治療法の選択
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検査が終わったら、診察室で検査結果の説明を受ける。骨密度検査の結果はすぐに出るが、血液検査には時間がかかるため、合わせて聞きたい場合はその日はそのまま帰宅して、約1週間後に来院する。若い年代の平均値と比較した場合どの程度の骨密度か、現在の骨折のリスク、骨粗しょう症に該当しているかなどを説明してもらう。治療が必要な場合は、治療計画についても説明される。わからないことがあればなんでも質問してみよう。
- 4治療開始
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経口薬がいいのか、注射薬がいいのか、経口薬であっても毎日服用するタイプや、月1回のものなどさまざま。病気の重症度に加え、患者の希望や生活スタイルを加味した上で決めた治療方法で治療を行う。単なる薬物療法だけでなく、食生活の改善や運動習慣の獲得にも大きな意味がある。まずはできることから取り組み、継続することが大切だ。同院では日常に取り入れやすい食生活や運動についてのパンフレットを提供している。
- 5定期的な通院
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月1回程度のペースで通院する。3ヵ月ごとに血液検査、半年に1度はDEXA法による骨密度検査を行う。薬の副作用がないか、骨密度の変化を観察する。骨粗しょう症は今日薬を飲んだからといって明日に骨の状態が変わるというものではない。また、状態の変化を感じにくいことも手伝って、自己判断で治療を中断する人も少なくないが、定期的に経過観察をしながら、治療を継続することが何より大切だ。