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樋上 哲哉 理事長の独自取材記事

凌駕クリニック樋上本院

(神戸市須磨区/東須磨駅)

最終更新日:2024/01/10

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院 main

2023年5月より診療開始の「凌駕クリニック樋上本院」は、超音波メスによる内胸動脈採取法の開発に携わった樋上哲哉(ひがみ・てつや)理事長が開業。樋上理事長が専門とする循環器内科をはじめ、高い専門性を持つ医師が幅広い診療科目を担当する。CTなども導入し、健康診断や人間ドックにも対応。また「通院が困難な患者も訪問診療で定期的に見守りたい」との想いから開業した「凌駕さくらクリニック」や「凌駕さくら訪問看護ステーション」とも連携して診療にあたる。「医療は患者さんのためのみにある」という理念を持ち、手術手技の開発やスキルの向上などに取り組んできた樋上理事長に、これまでの経歴や開業の経緯、診療ポリシーなどについて話を聞いた。

(取材日2023年5月8日)

心臓外科のスペシャリストが心の通った質の高い診療を

先生のご経歴と、開業までの経緯をお聞かせください。

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院1

神戸大学医学部を卒業後、同大学附属病院、兵庫県立姫路循環器病センター、米国ミシガン大学などを経て、心臓を専門とする講座を立ち上げたいとお声がけいただいた島根医科大学(現・島根大学)の第一外科教授に就任。その後、札幌医科大学の第二外科教授に就任し、ここでも心臓血管外科を中心とした臨床・教育・研究に約10年間携わらせていただきました。その後、心臓専門病院である神奈川県の葉山ハートセンターに院長として迎えられ、心臓外科を続けてまいりました。そして2020年3月に、特別養護老人ホームやグループホームを運営する社会福祉法人三桂会の理事長となり、法人内になかった医療部門として、凌駕さくらクリニックを開業、2023年に外来を担当する当院のスタートに至りました。この医療部門を土台に、将来的には急性期に対応する理想の病院の設立をめざしています。

クリニックの特色を教えてください。

当グループ施設の入居者の健康管理や訪問診療の拠点としての役割を持つほか、これまで手術を担当した方の外来診療を行います。私は心臓外科を専門とし、全国各地で手術を行ってきました。定期的にさまざまな地を訪れ、そこで診療することもありますね。一方で患者さんがこちらまで来られない問題もあるため、オンライン診療や訪問診療にも取り組むことで、患者さんのお顔を見てお話ができる環境を整えています。理念とするのは、心の通った質の高い医療を実践し、患者さんが長年住み慣れた地域で安心して生活が続けられるようにサポートすること。グループ内の医療機関とも連携し、患者さんの病気・問題点についてホームドクターとして解決に努め、専門の医師の受診が必要であれば速やかに対応します。ニーズに合わせた医療を提供しますので、お気軽にご相談ください。

そもそもなぜ、心臓外科に進んだのですか?

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院2

私はもともと設計士になろうと考えていたくらい、物理が得意でした。医学の道に進むと、人体の血流や血圧は、電流と電圧のようなものだと知ったのです。物理的な要素が強いことから、自分の強みとする分野だと感じて循環器領域を選びました。当時の循環器内科はカテーテル治療などの手法が現在ほどなく、患者さんを助けるための方法は投薬くらいしかありませんでした。一方で、外科は手術によって回復をめざせます。学生の時にこの光景を目の当たりにし、直接命に関わることができる心臓外科に進んだのです。もちろんその分責任も大きく、予定外のことが起これば患者さんの命に直結します。自分の技術を磨かないと患者さんを救えないというプレッシャーもありましたが、それがやりがいでもありました。

心臓手術手技の開発に従事。全国で後進指導も

診療ポリシーをお聞かせください。

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院3

「医療は患者さんのためのみにある」と常に考えています。大学病院などでは限られた時間の中で外来を担当しますから、その日に何十人という患者さんを診るとすれば、診療は流れ作業になりがちです。しかし私はそういったことを絶対にしたくありません。患者さんも私も、命は1人1つ。その1つの命を持って来てくださるのだから、たった1つの命として向き合うことを大切にしてきました。医療が存在するのは、私の技術を上げるためでも名声を得るためでもなく、患者さんのためのみです。その想いで、腕を磨いたり新しい手術方法を開発したりと、さまざまなことに積極的に取り組んできました。

先生が開発に取り組んだ心臓の手術手技は、全国で用いられているそうですね。

狭心症などの心臓バイパス手術では、詰まった冠動脈の先にバイパスを作ります。私が開発に取り組んだ超音波メスによる内胸動脈採取法とは、このバイパスの材料となる左右2本ある内胸動脈を、超音波メスを用いて採取する方法です。この方法は短時間で行え、長い動脈を左右2本採って心臓のどこにでもつなげることが可能です。内胸動脈は長持ちする血管とされていて、手術後の再発リスクの低減も図れます。内胸動脈採取法は現在、国内の多くの心臓バイパス手術で取り入れられていると聞いています。

後進育成にも積極的に取り組んでいると伺いました。

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院4

大学在籍時は当然のこと、大学から離れても手術の指導で後進を育成してきましたので、教え子たちは全国に散らばっています。現在、当院での私の診療は月曜と金曜で、その他は全国で手術指導や診療を行う時間に充てています。こうしたモチベーションを維持できるのは、やはり私を頼りにしてくれる患者さんがいるからこそ。近々、二十数年前に北海道で初めて手術した方の3回目の心臓手術を、九州の病院で実施予定です。「私の手術を受けたい」と言ってくださる患者さんがいるうちは、仕事を辞めるわけにはいかないなというのが素直な気持ちです。

患者第一の「理想の病院」設立をめざして

こちらでは人間ドックなどを通じて病気の早期発見に努めているそうですね。

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院5

心筋梗塞や脳卒中などは、一度発症するとそれまでの生活が一変し、命に関わることも少なくありません。だからこそ、病気の原因になりうる問題点を早めに発見し対処することが大切です。そのため当院では、循環器疾患やがんなどの早期発見に向けて、健康診断や人間ドックに力を入れています。院内に各分野のエキスパートがいますので、精密な診査・診断が可能なことに加え、異常が見つかった場合もスムーズに治療に入れるのが強み。また、患者さんの希望に合わせてオーダーメイドの検査項目を設定できるのも特徴です。検査にあたっては、スケジュール管理の徹底により待ち時間を減らし、患者さんの負担軽減に努めています。わずか数時間の検査が人生を救う大きな一手となるかもしれません。ぜひ定期的な受診をお勧めします。

今後考えている取り組みはありますか?

現在クリニックでの外来、手術、後進の指導などを行いながら、2つ研究が進んでいます。1つは手術器具、1つは再生医療を含めた生体材料の各開発です。休みを利用して実験などを行い、欧米での試験利用や治験なども決まっていたのですが、コロナ禍の影響で現在はストップしています。本格的な進行は来年以降の予定ですが、だいぶ形になってきたので楽しみですね。日本発のもので世界中の人たちの役に立てたらと思います。また、それなりの年齢になり時間的な余裕はあまりないですが、自分の理想とする病院を築き、患者さんに貢献できたらと考えています。

先生が求める病院像について教えてください。

樋上哲哉理事長 凌駕クリニック樋上本院6

患者さんが「ここに来て良かった」と思える場所にしたいですね。患者さんは、命がどうなるかわからないという不安な気持ちで入院されるわけですから、少しでも居心地の良い所で過ごしていただきたいのです。ですから、最先端の医療の提供をめざすのはもちろん、心のケアや生活のサポートも一流ホテル並みに整えたいと考えています。この「一流」の意味するものは豪華さではありません。たとえ小さくとも、人を大切に思う気持ちを持つホテルこそが一流であるように、患者さんを理解し、患者さんにとって一番良い環境を整えられる一流の病院にしたいと考えています。

読者へのメッセージをお願いします。

当クリニックは診療科目ごとに経験豊富な医師がそろっており、CTなどの先進の検査機器も整えています。たとえ同じ病名でも一人ひとり病態は違いますし、それぞれに合う治療法も異なります。循環器系はもちろん、ほかに疾患があって疑問に思うことがある方や、これまでの治療に納得できずに悩んでいる方などがいらしゃったら、いつでもご相談ください。お話をお聞きすれば解決できることがあるかもしれません。「あの先生に聞けば、納得できる」と思っていただけるような医師でありたいですね。

自由診療費用の目安

自由診療とは

人間ドック/4万4000円(コースによって変動あり)

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