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佐藤 直子 院長の独自取材記事

なみファミリークリニック

(品川区/旗の台駅)

最終更新日:2025/01/09

佐藤直子院長 なみファミリークリニック main

旗の台駅から徒歩1分のイオンタウン3階に、2023年4月に開業した「なみファミリークリニック」。佐藤直子院長は、カルマン症候群・思春期遅発症や思春期早発症など遺伝子異常に関わる疾患の研究・臨床に20年以上携わっているエキスパートだ。思春期遅発症などを見逃すと、子どもの学校生活、その後の社会活動に影を落としかねないという。「もしかしてと思ったときの最初の相談の場として、また成長していくお子さんの相談の場としてお役に立てればと考え開業しました」と話す。かかりつけ医として地域に住む人たちの健康を守る役割も大切にしながら、患者と不安や悩みを共有しながらともに歩んでいこうとする深い愛情が言葉や表情ににじむ佐藤院長に、成長・発達関連の疾患、治療で心がけていることなどを詳しく聞いた。

(取材日2024年9月25日)

低身長・思春期遅発症などの専門的な治療にも対応

小児科、内科のほか、低身長や思春期早発症・思春期遅発症などの専門的な治療に対応されているそうですね。

佐藤直子院長 なみファミリークリニック1

20年以上にわたって遺伝子異常による先天性疾患の研究と臨床に携わり、現在も研究と診療を両立しています。かかりつけ医として地域の皆さんの日常的な体調不良を診ると同時に、これまで培ってきた専門性を生かし、低身長や思春期遅発症・思春期早発症の患者さん、もしくはそれらの疾患があるかもしれないと考えている方の「相談のきっかけ」になればと考えて当院を開業しました。クリニック名を「ファミリークリニック」としたのは、患者さんご家族を丸ごと診られる場所でありたいとの思いからです。また、「低身長や先天性疾患の治療を受けて成長した後も通える場所に」との願いも込めました。実際、お子さんを契機としてご自身の漠然とした体調不安をご相談に来られる大人の患者さんも多く、専門的な面でも、日常的な不調でも皆さんの道しるべになれたらと思って日々診療しています。

発達に関する疾患を早期に発見するには、どのようなタイミングでの受診が望ましいですか?

思春期早発症では、女児において低学年などの早い時期に胸の膨らみや初経が出現し、男児では中学年以前に陰毛の出現、声変りが見られることがあります。思春期遅発症はその逆で、女児では初潮が来ない、胸の発育が見られないこと、男児では思春期になっても精巣が大きくならない、声変わりしない、ひげが生えず中性的な見た目であることなどの特徴があります。低身長については、計測した身長で成長曲線を描いてみて、基準となるラインを下回ったり、標準曲線から離れていったりする場合は受診していただけると良いですね。最近は成長を管理できるアプリも充実しているので、負担にならない方法で成長記録をつけてみてください。といっても、思春期の発達のペースには個人差があり、日常生活では見過ごされてしまうことも。風邪の診察時に偶発的に医師が気づく場合もありますから、そういう意味でも広く日常的なご相談に対応していきたいと思っています。

大人になってからも通える場所であることには、どのような意味があるのでしょう。

佐藤直子院長 なみファミリークリニック2

先天性疾患の患者さんは、小児期には専門的な外来を設けている大学病院などに通院し、年齢が上がると疾患に応じた診療科に通院するようになります。各領域の専門家の先生が診療を担当するようになるため、「体が小さく学校でサポートが必要だが、どうすればいいか」「専門施設で矯正治療を受けたい」といった生活に密着した相談や、ライフイベントに関わるプライベートな相談ができなくなり、困ってしまう方が少なくないのです。そうしたお悩みや困り事を気軽に打ち明け、一緒により良い道を考えられる場所が必要なのでは、と考えました。一般外来と成長・思春期の発達に関する外来は診療の時間帯を分けているので、相談内容に合わせてご来院ください。

対等な目線で接し、治療に対する自主性を育む

先生が普段の診察で心がけていることを教えてください。

佐藤直子院長 なみファミリークリニック3

まずは親しみやすい雰囲気をつくることです。最初の診察は誰でも緊張するものですから、私もスタッフもやわらかい雰囲気を意識して接するようにしています。当院のスタッフは、長く大学病院の小児科で勤務していた人や、子育て経験豊富な人が多く、みんな聞き上手なんですよ。親身になって話を聞いているのが伝わるのか、患者さんも話がしやすいようですね。また、診療の内容にかかわらず、患者さんご本人とご家族のそれぞれに丁寧に説明することも心がけていることの一つです。そのため、通常の診療の中で専門的なご相談があった場合には、成長の記録や検査記録などをもとにお話しできる時間をあらためて設けるようにしています。思春期の女の子など、男性医師に話しづらい場合も気軽に相談いただけるとうれしいです。

思春期遅発症などの専門的な治療で心がけていることはありますか?

治療を受けるお子さんだけに我慢を強いることがないよう、ご家族も一緒に治療に向き合えるようにすること、将来を見据えてお子さんが主体的に治療に関わっていけるようにすることを重視しています。治療の初期段階から、将来のリスクなどについても詳しくご説明し、お子さん自身が服薬や注射の管理ができるようサポートしているのもそのためです。例えば思春期遅発症が性腺機能低下症という疾患によるものだった場合、不妊の原因になることもあります。自分の将来のために治療が必要であることを理解し、自らの意思で治療に取り組めるようにすることがとても大切なんですよ。

お子さんとも対等な立場で対話をされるのですね。

佐藤直子院長 なみファミリークリニック4

お子さんを心配するあまり、親御さんから「先天性の病気であることを知らせずに治療できないか。心に傷を持たせたくない」と言われた経験もあるのですが、やはり患者さん自身に疾患を理解していただくことが重要だと思います。ご両親と十分に話し合いをしてご承諾を得た上で、お子さんに疾患と治療について説明をすると、「自分も年相応に成長したい」と強い意志を持って自ら治療に取り組んでくれるケースがあるんです。疾患を知ることで、身体的にも精神的にも大人になっていく様子を目の当たりにできるのは、この上ないやりがいですね。

黎明期から関わってきた研究を日々の診療にも生かす

そもそも先生が医学の道に進まれたきっかけは何だったのですか?

佐藤直子院長 なみファミリークリニック5

医学を学ぶ者が多い家系で、もともと医学は生活の一部のようなものでした。とはいえ一時はほかの道も考えていたのですが、高校時代の恩師がドクターの資格を持ちながら医学研究を行う方で、その恩師に研究の面白さを教えてもらったことが医師をめざすきっかけの一つになりました。もう一つのきっかけは、家族が目の前で倒れたとき、医師である家族が的確に命を助ける動きをしているのを見たことです。当時高校生だった私はなすすべもありませんでしたが、医学の道に進もうと背中を押された思いがしました。中でも小児科を選んだのは、外来をする母への憧れや小さい頃から子どものお世話をするのが好きだったことに加え、実習でお世話になった小児科の教授の人柄と、臨床と研究を大切にしていらっしゃる姿勢に感銘を受けたことが大きな理由です。

そうした出会いを経て、思春期遅発症などにつながる研究にも多く関わってこられたのですね。

大学卒業後に勤めた東京都立清瀬小児病院がとても風通しが良く、小児科の先生たちも臨床・研究どちらも深く経験されていました。「研究をすることで臨床の見方が変わってくる」と夜遅くまでカンファレンスをする環境に身を置けて、とてもありがたかったですね。その後、国立小児医療研究センターに遺伝子研究の立ち上げメンバーとして在籍し、カルマン症候群(Kallmann症候群)という先天性疾患の、日本における研究の黎明期に関わることができました。その後、米国のエモリー大学への留学や、国立成育医療研究センターでの研究を経て、現在に至ります。

最後に、今後の展望や読者へのメッセージをお願いします。

佐藤直子院長 なみファミリークリニック6

小児科を中心に、ご家族で一緒に受診できるファミリークリニックとして診療しています。一般的な疾患だけでなく、成長や思春期の発来についてのご相談も受けつけています。お子さんによっては、疾患が学校生活に影を落とし、心の傷になることもあります。親御さんと学校がしっかりとお子さんの成長に目を配れるようサポートしてまいりますので、お子さんの成長や思春期の発来に不安を感じたら、気軽に不安を打ち明けに来てください。皆さんの不安や日々のお悩みに耳を傾け、ともにより良い道を探していきたいと思っています。

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