田中 慶介 院長の独自取材記事
AMAレディースクリニック
(尼崎市/尼崎駅)
最終更新日:2023/09/14
阪神本線尼崎駅から徒歩2分の商業施設、アマゴッタの4階に位置する「AMAレディースクリニック」。2023年3月に、院長の田中慶介先生が開業した婦人科・産科を専門とするクリニックで、月経異常や更年期障害の診療から、妊婦健診、婦人科系がんの検診、予防接種に至るまで女性の体の悩みに幅広く対応している。田中院長は、三重大学医学部附属病院や兵庫医科大学病院をはじめ、大規模病院の産婦人科で多くの患者を診てきた。また大学院で、不妊症と関連する子宮内膜の遺伝子に関する研究に携わった経験も持つ。「一人ひとりの患者さんに寄り添い丁寧に診察したい」という思いで、地域医療に貢献するために開業した田中院長。「人を大事にするクリニック」をモットーに掲げる同院の特徴や、診療の際に心がけていることなどについて話を聞いた。
(取材日2023年4月22日)
人を大事にするクリニックでありたい
開業の経緯について教えてください。
兵庫医科大学を卒業した後、地域の中核病院の産婦人科にいる時から、いつか地域医療に貢献したいという思いがありました。大きな病院ではたくさんの患者さんを診ることはできますが、一人ひとりの患者さんに寄り添うことはなかなか難しい面があります。質が高く患者さんの心に響く医療を提供したい、それが自分にとっての地域医療なのではないかと思うようになったのです。そんな中で、あるご縁から開業させていただく機会に巡り合いました。不安も少しありましたが、「人を大事にするクリニック」を実現できるチャンスだと考え、思いきって当院をオープンした次第です。地域医療に貢献するためにたくさんの患者さんに長く通っていただきたいという思いから、内装は女性目線で決めるのが良いと思い、妻に任せました。清潔感があって、居心地の良い空間になったのではないかと思っています。
モットーの「人を大事にするクリニック」について、具体的に教えてください。
「人」というのは、私にとっては患者さんとスタッフですね。先ほど申し上げたように、患者さん一人ひとりに寄り添い、じっくり診ていきたいと思っています。患者さんの悩みを少しでも解決したいと思えば、何でも打ち明けていただけるクリニックでなくてはいけません。そのためには、私だけでなく女性スタッフの力が大きな助けとなります。特に「こんなことを聞いたら恥ずかしい思いをするのではないか」「変だと思われるかもしれない」と心配されないような雰囲気づくりにはとても力を入れています。スタッフの採用時に人柄も重視したのは、悩みを持つ方に寄り添うことができ、当たり前のことをきちんとやっていく姿勢が患者さんに信頼されると思うからです。スタッフ一同がこのクリニックを盛り上げようと積極的に動いてくれるので、とてもありがたいと思っています。
予防接種にも対応されていますが、子宮頸がん9価ワクチンが公費で受けられるようになったそうですね。
はい。これまで子宮頸がんの予防接種では2価や4価ワクチンがあったのですが、2023年4月から新たに9価ワクチンも公費で接種できるようになりました。これは9種類のヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を防ぐためのワクチンとなります。婦人科だけでなく内科、小児科でも接種することができるのですが、一部ではあまり積極的に推進されていない現実があるため、婦人科の医師としてワクチン接種の必要性をぜひ訴えていきたいですね。子宮頸がんは性交の経験がある方ならどなたでもかかる可能性のある病気で、残念ながら国内における罹患数は近年増加傾向にあるといわれています。子宮頸がんになる方を一人でも減らすために、啓発活動に注力していきたいと考えています。
患者の緊張と不安に配慮し、痛みの少ない診療をめざす
診療内容について教えてください。
月経異常をはじめ、性感染症、更年期障害など幅広い年代の女性のお悩みに対応しています。妊婦健診では4Dエコーを追加費用なしで提供しており、保健指導や分娩する医療機関のご紹介もしっかりフォローいたしますので、ぜひ地域の妊婦さんに受診していただけたらと思います。また予防医療にも力を入れ、子宮頸がん検診や卵巣がん検診、肝炎ウイルス検診、特定健診も行います。不正出血など気になる症状がある場合は、子宮頸がんの検診時に子宮体がんについて検査することも可能ですので事前にご相談ください。さらに予防接種としては、先ほどふれた子宮頸がんに加え、風疹、インフルエンザですね。他にはピルの処方や日帰り手術も受けつけています。かかりつけ医として幅広く対応できるように、勉強会に出席するなどしてブラッシュアップを続けていますので、何でもご相談いただけたらと思っています。
婦人科を受診するべきタイミングはありますか?
患者さんで比較的多いのは、不正出血やかゆみ、月経に関するトラブルですが、どんな症状にも関わらず、日常生活に支障が出るような状態はもちろん、何かいつもと違うなと感じたときは一度受診していただけたらと思います。月経困難症や子宮内膜症の方でしたら鎮痛剤などの処方に加え、低用量ピルによる治療の選択肢も考えられます。超音波検査をはじめ、必要に応じてさまざまな検査を行う体制も整えておりますので、どうぞ気軽な気持ちでお越しください。
診察の際に心がけていることを教えてください。
一番は緊張と不安を取り除く診療ですね。若い女性を中心に、婦人科の診察に不安を抱えている方は少なくありません。そうした気持ちを和らげるために特に心がけているのが「痛くない診察」です。女性医師を希望される方もいらっしゃる中、男性医師としてできることは、「痛みに配慮した診察と治療」を追求することだと考えています。例えば、内診でも痛いと思われないように気を配ります。誰でも自分が見えない部分の検査や治療は緊張するものですよね。緊張すれば体がこわばり、それが痛くなる原因ともなります。ですから患者さんの不安に配慮しながら、私やスタッフから「痛かったら遠慮なく言ってくださいね」とお声がけしています。患者さんがクリニックから帰られるときには、すっきりした気持ちになっていただけたらといつも思っています。
身近なかかりつけとして何でも相談してもらえる存在に
医師としてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
最近のことで言うと、来院される患者さんたちが口をそろえて「ここに女性クリニックができて本当に良かった」とおっしゃってくださるのはうれしいことですね。聞くと、皆さん以前はかなり遠方まで通われていたようなんです。かかりつけとなると、やはり通いやすさということも大事な要素だと思います。「気になる症状があるけれど行きづらい」となると、どうしても足が遠のいてしまいがちですが、その間に症状が悪化してしまうこともよくあることなのです。当院は駅の近くにあるということで喜んでくださる方が多く、開業して本当に良かったなと思いました。
日々お忙しいことと思いますが、どんなことを楽しみに感じていらっしゃいますか?
気がつくといつも仕事のことばかり考えています。「今日はあの患者さんはどんな感じで来るのかな」「それに対して自分はどういうふうに対応しよう」といったことを考えることが一つの楽しみでもあります。開業による不安もありますが、自分がどこまでできるのかチャレンジしていきたいですね。自分一人の力には限界もありますが、その分スタッフそれぞれが持つ力を十分に発揮してもらえれば、大きな力になるでしょう。そのためにも、良かったことはスタッフのおかげ、何かあれば自分に問題がなかったかと考える姿勢で、できるだけストレスなく長く働けるような環境にできたらと思います。スタッフが気持ち良く働ける場所であれば、患者さんにとっても心地良いクリニックになるのではないでしょうか。
最後に地域の方へのメッセージをお願いします。
患者さんファーストで地域の皆さんのために頑張りたいと思っています。近隣に婦人科がないと受診がおっくうになり、何かあっても「まあ、いいや」となってしまいがちです。開業したからにはこの地域の方々がそうしたことにならないよう、地域に根差したクリニックとして長く続けられるように努め、小さなことでも不安な症状を気軽に相談していただける存在になりたいですね。おかげさまで患者さんからのご紹介で受診してくださる方も増えています。私に加え、話しやすい女性スタッフも多数おりますので、ぜひお越しいただけたらと思います。お待ちしております。