隠れた大人の発達障害
うつ病再発の要因となる可能性も
テスラクリニック
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2025/05/21


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子どもが成長する過程で見つかりやすい発達障害だが、大人になるまで本人が気づかないケースは少なくない。そもそも発達障害による困り事は、自分の感覚と社会の常識との間に生じる「ズレ」に起因することが多いという。「テスラクリニック」の三島康大院長は、「それまでご自身の努力で補正できていたズレが、さまざまな理由で補正が追いつかなくなって顕在化するのが大人の発達障害ともいえます」と話す。社会とのズレから生きづらさを感じ、それがうつ病や適応障害といった二次障害の要因になり得るという。「うつ病を繰り返してしまう場合も、要因の一つに発達障害が関連していることがあります。まずは早めに精神科に相談していただけたら」と三島院長。そこで今回は、大人の発達障害や、うつ病などの二次障害について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年12月25日)
目次
社会との「ズレ」により顕在化しやすい大人の発達障害。うつ病などの二次障害を防ぐためにも早めの受診を
- Q子どもの病気として耳にする発達障害。大人でもなりますか?
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A
▲「患者の心の問題をしっかり解決していきたい」という思いがある
そもそも発達障害とは、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、知的能力障害、限局性学習障害の4つがからまり問題が起きやすい特性です。ただ、その特性を持っていても、成人するまで発達障害が自覚されないこともあります。大人になって気づく場合、忘れ物が多い、人の気持ちが理解できないといった社会のルールや周囲の人とのズレがきっかけになることが多いですね。子どもの頃はズレを補正できても、大人になって環境が変化したりストレスが増えたりして補正が追いつかず、顕在化しやすくなります。またズレが補正できないことで、適応障害、不安障害、うつ病といった二次障害が起きやすくなるので注意が必要です。
- Q繰り返すうつ病と発達障害が関連する可能性があると聞きました。
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A
▲完全予約のオンライン予約制。当日の予約も可能
環境ストレスやその方の性格特性など、繰り返すうつ病にはさまざまな要因が関与します。ただしその中で、発達障害があることで再発を防ぎにくいケースは見られます。発達障害によるズレのせいで、仕事がうまくできず怒られるという悪循環につながりやすいからです。うつ病を繰り返す方で発達障害がその要因の一つであれば、根本にあるズレを改善しない限り、うつ病の治療をしても再発する可能性があるでしょう。発達障害を自覚していない方は早く気づけるかが一つの鍵となるので、早めに精神科を受診していただきたいですね。また休職を繰り返している方は、精神科受診に加え、リワークプログラムなどによるサポートを受けるのも良いでしょう。
- Q発達障害は具体的にどういった検査を行い診断するのでしょうか?
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A
▲患者一人ひとりと誠実に丁寧に向き合うことを重視
インターネット上でも発達障害のチェックリストはあるので、その傾向があるかはある程度わかるかもしれません。ただ、専門機関を受診しなければ適切な診断も治療もできません。当院では病歴や社会生活でどんなことに困っているか問診を行い、必要に応じて心理検査も用いて診断します。例えばADHDであれば、初診から6ヵ月にわたって家庭や職場など2ヵ所以上の環境で困っているかなど、多様な観点から診ていきます。ASDではコミュニケーションのズレ、感覚過敏、小さい頃から症状がある、社会生活に支障を来しているかといったことが診断上重要になります。場合によっては必要な福祉支援につなぐため、IQテストを行うこともあります。
- Q受診のタイミングについても教えていただけますか?
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A
▲周囲から勧められて来院する人も。まずは訪れることが大事
生活や仕事の中で、「ズレによって困っている」と感じればそれが受診の目安です。気分の落ち込みが1週間以上続いて眠れないなど、仕事に影響が出るのであれば早く精神科を受診したほうが良いでしょう。ADHDの方に多いのは、悪気なく5〜10分の遅刻を繰り返す、書類の提出が毎回遅れる、軽微な交通・社内規則違反を繰り返すといったパターンです。本人はズレを自覚していないこともあるので、周囲から受診を勧めていただいても良いかもしれません。中には診断基準に満たないグレーゾーンの方もいますが、発達障害の診断がつかなくても、ズレによるストレスなどから生じた不眠症や適応障害の症状のほうから治療を進めていくことも可能です。
- Q発達障害はどのように治療していくのでしょうか?
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A
▲オンライン診療にも対応している
視力に例えると、目が悪い方は眼鏡なしで仕事をするのは難しいですよね。眼鏡がなければ、目をパソコンに近づけることで画面の一部が見えても、全体の情報は視野に入りません。そうしたピントのズレを合わせていくのが発達障害の治療です。主な方法としては薬物療法があり、その方の悩みに応じて処方していきます。例えば、情報の取捨選択をサポートするための薬や、脳が過活動状態で情報をうまく理解できない場合には落ち着けるようにするための薬などを用います。他にも、心理療法や環境調整、周囲の理解やサポートといった方法を組み合わせ、包括的な治療・支援を行うことが大切です。それによって、今よりもっと生きやすくなるはずです。
自由診療費用の目安
自由診療とは医療相談:15分 3300円