三島 康大 院長の独自取材記事
テスラクリニック
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2026/05/26
福岡市地下鉄空港線・赤坂駅から徒歩7分。大通り沿いのビル4階にある「テスラクリニック」は、心療内科・精神科を標榜するクリニックだ。院内は、落ち着きと清潔感のある雰囲気でまとめられている。院長の三島康大先生は、穏やかな口調で一つ一つの質問に丁寧に答える姿が印象的だ。近年はうつ病や不安障害、発達特性に伴う生きづらさ、不登校や職場適応の問題など、心の不調に関する相談が増加。一方で、精神科・心療内科は初診予約が取りづらい状況も続いており、「困った時に相談できる場所をつくりたい」という思いから同院を開業したという。薬物療法や精神療法に加え、rTMS治療(反復経頭蓋磁気刺激)など新しい治療の選択肢にも目を向けながら、一人ひとりの状態に合わせた診療を行っている三島院長に、同院の特徴や診療への思いを聞いた。
(取材日2023年3月20日/情報更新日2026年5月18日)
心の不調を抱えた人の「受け皿」でありたい
クリニックについて教えてください。

当院は、2023年2月に開業した心療内科・精神科クリニックです。不眠や気分の落ち込み、不安、パニック症状、強迫症状といった精神症状に加え、ADHDやASDなど発達特性に関する相談、不登校や職場への適応困難、認知症や物忘れの相談まで、幅広く対応しています。精神科・心療内科は、受診したくても初診予約が数週間先になることも少なくありません。症状がつらい時ほど、「今相談したい」と感じる方は多いと思います。そのため当院では、平日は20時まで、土日診療にも対応し、できる限り早いタイミングで相談につながれる体制を整えています。また、診察だけでなく、必要に応じて心理検査やカウンセリングなども組み合わせながら、患者さんご自身が「今どういう状態なのか」を整理していくことも大切にしています。心の不調を抱えた方にとって、一度立ち止まり、体勢を立て直せる“安全地帯”のような場所でありたいと考えています。
開業までの経緯をお聞かせください。
開業する前は、ブレインクリニックという東京・名古屋・大阪に展開する精神科クリニックに勤めていました。脳神経科学を踏まえた検査や治療に触れる中で、多くの知識や経験を得ることができました。その後、福岡で診療に携わる予定でしたが、地域によっては専門的な精神科医療へのアクセスがまだ限られている現状を強く感じたのです。特に、発達特性や慢性的な生きづらさ、不安症状などを抱えながら、「どこに相談したらいいかわからない」という方も少なくありません。そうした方々の受け皿になりたいと思い、自ら開業することを決めました。通院のしやすさも重視し、駅から近く、仕事や学校帰りにも立ち寄りやすいこの場所を選びました。
テスラクリニックの名前の由来は何でしょうか?

磁束密度の単位名「テスラ」のもととなった、電気の交流システムを発明した科学者の名前に由来したものです。新しい発想や技術に挑戦した人物であり、その姿勢に影響を受けました。ただ、クリニックが「大手門テラス」というビルに入っているので、「テラスクリニック」と間違われることも多いんです(笑)。患者さんにとって、少しでも安心できる場所になれれば、名前以上にそのことが大切だと思っています。
治療の選択肢を広げ、一人ひとりに合った方法を考える
うつ病や不安症状に対して、どのような治療を行っていますか?

精神科・心療内科の治療では、薬物療法や精神療法、環境調整などを組み合わせながら、その方に合った方法を一緒に考えていきます。近年は、rTMS治療(反復経頭蓋磁気刺激)など、新しい治療選択肢も広がってきています。私も注目している治療法で、磁気刺激を用いて、薬物療法だけでは改善が難しい場合や、薬の副作用が気になる方などに対して、選択肢の一つとなることがあります。ただし、どの治療法にも向き・不向きがあります。当院では、「この治療さえ受ければ大丈夫」という考え方ではなく、患者さんの状態や生活背景、希望を踏まえながら、一緒に整理していくことを大切にしています。発達特性のある方についても、単に診断や投薬だけを行うのではなく、「どこで困りやすいのか」「どのような場面で負荷が強くなるのか」を整理しながら、生活しやすい形を一緒に考えていくことを重視しています。
治療法が多様になってきているのですね。
ええ、そうなんです。ただ、rTMS治療については2019年から保険適用になりましたが、さまざまな条件があり、一般的なクリニックではまだまだ浸透していないのが現状のようです。それでも、より早くうつ病を治したいと思っている方をはじめ、薬を飲むことに抵抗がある方、薬の副作用に悩む方などにとって、選択肢が増えることは大きな希望の光になるのではないかと考えています。
診療で心がけていることはありますか?

患者さんの話を丁寧に聞くことです。精神科では、症状そのものだけでなく、「なぜ今つらくなっているのか」「どういう背景があるのか」を整理していくことが重要だと思っています。また、診断名だけで患者さんを見ないようにも意識しています。同じ「うつ状態」でも、その背景には仕事のストレス、人間関係、発達特性、生活リズムの問題など、さまざまな要因があります。治療内容についても、なるべくわかりやすく説明し、不安を減らせるよう努めています。精神科の治療は、患者さんとの信頼関係が土台になります。当たり前のことかもしれませんが、あいさつや声かけなど、小さな積み重ねを大切にしています。また、「通院を続けること」だけを目的にするのではなく、「どうなったら今より生きやすくなるのか」というゴールを患者さんと共有しながら診療を行うことも意識しています。
「安心して相談できる場所」をめざして
先生が精神科の医師を志した理由を教えてください。

子どもの頃は機械や工学に興味がありました。医学部に進学した後、研究にも関心を持っていましたが、実際に患者さんと接する中で、臨床の面白さを感じるようになりました。
その中でも精神科は、「同じ症状に見えても背景がまったく違う」という奥深さがあります。患者さんとの関わり方一つで、その後の人生が変わることもあるため、大きな責任を感じる一方で、非常にやりがいのある分野だと思っています。
心療内科・精神科を受診するタイミングを教えてください。
「眠れない」「学校や仕事に行くのがつらい」「以前より気力が落ちている」など、日常生活に影響が出始めた段階で、早めに相談していただければと思います。精神的な不調は、我慢を続けるほど受診自体が難しくなることがあります。「こんなことで受診していいのだろうか」と迷う方も多いのですが、状態を整理するために相談すること自体に意味があります。当院では診察室やカウンセリングルームを個室にし、プライバシーにも配慮しています。また、必要に応じて臨床心理士によるカウンセリングも行っています。「行こうと思った時に相談できること」も大切だと考えており、予約状況をできるだけわかりやすくし、通院につながりやすい環境づくりにも取り組んでいます。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

精神科や心療内科に対して、「受診するのはハードルが高い」と感じる方は少なくありません。しかし、心の不調も身体の病気と同じように、早めに相談することで選択肢が広がることがあります。当院では、症状だけを見るのではなく、その方が「どういうことで困っているのか」を一緒に整理しながら診療を行っています。また、長く不調が続いている方に対しても、焦って結論を出すのではなく、少しずつ体勢を立て直しながら、その人なりの「生きやすさ」を一緒に考えていくことを大切にしています。「まだ受診するほどではないかもしれない」と迷っている段階でも構いません。必要な時に相談につながれる場所として、お役に立てればと思います。

