鈴木 咲子 院長の独自取材記事
さきデンタルクリニック
(横浜市中区/馬車道駅)
最終更新日:2026/10/15
馬車道駅から徒歩2分のビル2階にある「さきデンタルクリニック」。ピンクを基調にした温かな色調と花柄の壁紙が迎える院内は、歯科医院というよりカフェのような心地良さが漂う。院長の鈴木咲子先生は、大学病院や訪問診療など多様な現場を経て2023年に開業。患者の暮らしに寄り添った訪問診療の経験を通じて、町の身近なかかりつけ医のように気さくに関わるスタイルが自分に合っていると気づいたという。かつて一緒に働いていたスタッフに背中を押されての開業だったが、その温かな信頼関係は今も変わらない。「患者さんにもスタッフにも、なんでも話しやすい院長でいたい」と語る穏やかな人柄には、自然と心を開きたくなるような親しみやすさがある。地域に根差した診療への思いやスタッフへの感謝を聞いた。
(取材日2026年9月16日)
経験を重ねてたどり着いた「町の身近な歯科医院」
先生のこれまでの歩みについてお聞かせください。

鶴見大学を卒業後、大学病院や父の歯科医院、六本木の歯科医院、訪問診療など、さまざまな現場を経験しました。中でも特に影響を受けたのは訪問診療です。それまでに勤めていた歯科医院の中には、患者さんとの会話が治療に関する内容に限られ、日常的な雑談をする機会がほとんどないところもありました。でも訪問診療に携わると、患者さんとの距離が一気に近くなったんです。友達を思い出すように「あの方、旅行に行けたかな」とふと顔が浮かぶようになって。孫のように慕ってくださる方もいて、私生活での大きな変化をご報告した際にも、温かく受け止めてくださいました。そうした日々の中で、きちっとした歯科医師よりも、町の歯医者さんのように気さくに関わるスタイルが自分に合っていると気づいたんです。入れ歯の調整や作製にやりがいを感じたのも、訪問診療があったからこそですね。
歯科医院を開業された経緯を教えてください。
正直なところ、開業はまったく考えていなかったんです。決めたのは開業のわずか半年前でした。訪問診療に携わっていた当時、一緒に働いていたスタッフから「先生が歯科医院やってくれたらいいな」と声をかけてもらって。冗談交じりかもしれませんが、「じゃあやるから、ついてきてくれる?」と返したら、本当にみんなついてきてくれたんです。年齢的にも挑戦しなければという思いがありましたし、ちょうどこの場所が見つかったのも重なって、思いきって踏み出しました。今いるスタッフは全員、その頃からの仲間です。以前の職場で築いたアットホームな関係性を引き継いで、開業後も変わらない温かな雰囲気の中で日々の診療を続けています。
院内のこだわりを教えてください。

歯科医院らしくない空間にしたいという思いが一番にありました。タイルや花柄の壁紙を選び、ピンクを基調にした温かい色味でまとめています。歯科医院は青や白が多いと思いますが、かわいくないと面白くないなと。帰り際に口もとを確認できるよう、メイク用のミラーも設けました。レイアウト面では、診察スペースを一つ一つ広めに確保し、ベビーカーや車いすのまま入れるゆとりを持たせています。あえて完全個室ではなく半個室にしたのは、スタッフ同士がお互いの状況を把握しやすく、スムーズに連携できる環境を大切にしたかったからです。バリアフリー設計でエレベーターもありますので、どなたでも気負わずに過ごしていただけると思います。
一人ひとりの暮らしに寄り添い、なんでも話せる関係を
診療で大切にしていることは何ですか?

教科書どおりの治療だけでなく、患者さん一人ひとりの生活背景を踏まえた方針を立てることを大切にしています。部活や受験を控えた学生さんや仕事で忙しい会社員の方、皆さんそれぞれ通える頻度もタイミングも違いますよね。来られない時期があるなら、それまでに何をどこまで進めるか、その間はどう過ごしてもらうかを一緒に考えます。費用面のご事情も含めて、柔軟に対応することを大切にしています。当院でできない治療も正直にお伝えした上で、「どのように治療を進めていきましょうか」と一緒に相談しています。「先生がそこまで考えてくれたなら」と納得してくださる方も多いですね。私自身が受付に立つこともあるのですが、そこで耳にしたご家族の話や通院のご事情を次の治療に生かすこともあります。
患者さんが気兼ねなく相談できるよう、心がけていることはありますか?
治療が終わる度に「気になることがあればいつでも電話してくださいね」と必ずお伝えしています。痛みがあるのに次の予約まで我慢してしまう方がいらっしゃるんですよね。電話したら迷惑かなと遠慮されるのが一番つらくて、そのハードルを下げたいんです。1本お電話をいただければ「この痛みは治療上のものですから心配ありませんよ」とお伝えできますし、それだけで安心につながると思います。もう一つ意識しているのは、私自身もオープンでいること。患者さんの暮らしに寄り添うには、こちらも心を開く必要があると感じています。患者さんの好きな音楽を院内でかけて緊張をほぐしたり、私の近況を気さくに話したり。そうするうちにお互いの事情を理解し合える関係が自然と生まれていくんです。
日々の診療でやりがいを感じる瞬間はありますか?

これまでいくつもの歯科医院を転々としてきた方が「ここなら通えます」と言ってくださった時は、開業して良かったなと思いますね。患者さんの中には、「まずはしっかり話を聞いてほしい」と考えて来院される方もいらっしゃいます。十分な説明を受けないまま治療が始まったり、できないと言われて相談が終わってしまったりした過去の経験から、不安や不信感を抱えている方も少なくないのです。当院ではそうした方ともじっくり向き合うようにしています。印象深いのは、開業前の内覧会にお一人でいらした奥さまが、翌日ご主人を連れて再び来てくださったこと。それ以来ご夫婦そろって通ってくださっていて、当院の開業記念日を覚えていてくださり、ケーキを届けてくださることもあります。ご家族を紹介して一緒に通ってくださる方も多くて、帰り際に「ありがとう先生、バイバイ」と気軽に声をかけていただける瞬間が、何よりのやりがいです。
スタッフへの感謝を胸に、温かな歯科医院をこれからも
院内の温かな雰囲気も印象的ですが、スタッフの皆さんについて伺えますか?

正直なところ、私よりスタッフのほうがよく考えてくれているなと感じる場面がたくさんあります。お昼を食べながら「この患者さん、こんなことを話していたよ」と共有すると、スタッフはスタッフでその方と別の会話をしていて、情報が自然とつながっていくんですね。趣味の話で患者さんと一緒に和気あいあいと盛り上がっている姿を見ると、本当にほほ笑ましくなります。小さなお子さん連れの患者さんにも同じ温かさで接してくれますし、家族のような関係だからこそ、チームとして一体感のある診療ができていると感じます。
スタッフの皆さんへの想いと、今後の展望をお聞かせください。
重く聞こえるかもしれませんが、今のスタッフがいなければ開業もしていませんし、みんなが辞めたら閉めるくらいの気持ちでいます。信頼していますし、感謝しています。だからこそスタッフにも生活のバランスを大切にしてほしいんです。仕事でも個人的なことでも、気を遣って言い出せないことがないよう、相談しやすい存在でいたいと思っています。患者さんが増えても、アットホームな雰囲気は守りたいですね。「先生と話す時間が減った」「距離を感じる」と思わせたら本末転倒ですから、スタッフとの意思疎通を続けていきたい。皆で楽しく長く働ける関係性を育むことが、患者さんに安心して通っていただける歯科医院づくりにもつながると考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

忙しくてずっと通えなかった方や、以前怒られた経験から治療そのものが怖くなってしまった方の最初の一歩になれたらと思っています。当院でできない治療があれば適切な医療機関を紹介していますので、お口の環境を整える入り口としてぜひ気軽にお越しください。どなたにでも足を運んでいただきやすいよう、土日にも診療を行っています。赤ちゃん連れの方もベビーカーのまま診察室に入れますし、バリアフリーでエレベーターもありますので、車いすの方やお体に不自由のある方も安心してお過ごしいただけます。「聞いていいのかな」と迷うようなことでも遠慮なくお話しください。私も気楽にやっていますので、構えずに来てもらえたらうれしいです。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

